著者
古賀 裕紀子 大住 伴子 東 泉 黒木 賀代子 陳 克恭 佐加良 英治
出版者
九州歯科学会
雑誌
九州歯科学会総会抄録プログラム
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.13, 2003

第2世代ソフト電解水・AP水の口腔内適用における局所毒性ならびに全身毒性について,マウスを用いて観察し安全性評価を試みた.AP水は,マウスに給水瓶から飲水として7日間自由に摂取させた.対照群には飼育施設常用の飲水を与えた.その結果,一般症状,体重増加,摂餌量,剖検,臓器重量において異常は認められなかった.摂水量はAP水群で,対照群よりもわずかに減少傾向がみられたが,有意差はなかった.肝,腎,舌の病理組織学的観察,下顎臼歯の表面形態のSEMによる観察においても異常は見られなかった.以上のことから,AP水を含嗽,口腔内洗浄などに用いた際に,全身的あるいは局所的な毒性を発現する可能性は極めて低いことが示唆された.
著者
寺下 正道 庄野 庸雄 陳 克恭 北村 知昭 農蘇 千絵 諸冨 孝彦 矢野 淳也 河野 直博
出版者
九州歯科学会
雑誌
九州歯科学会雑誌 (ISSN:03686833)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.236-242, 2002
参考文献数
10

ハイドロキシアパタイト(HAP)を種々のフッ素濃度の溶液と反応させると, より耐酸性のフルオロアパタイト(FAP)やフッ化カルシウム(CaF_2)が生成される.CaF_2よりFAPの方がより安定した結晶構造を有し, 耐酸性を獲得するにはより有効である.HAPからFAPを生成させる至適フッ素濃度を求めるためにHAPから生成したFAPの量を測定することが必要である.この方法として現在用いられている電子スピン共鳴により測定する方法(ESR法)と1M KOHによりCaF_2を溶出させる方法(KOH法)とを比較した.ESR法ではフッ素濃度100 ppm以下の時にFAPの生成が最大を示し, 浸漬した溶液のフッ素濃度を増大させるにつれてCaF_2の生成が多くなり, FAP生成が抑制された.これは, X線回折による定性結果と一致していた.一方, KOH法では, フッ素濃度の増大とともにFAPの生成も増大するという結果が得られ, X線回折による定性結果とは異なっていた.以上の結果から, HAPから生成するFAPを定量する方法としてESR法の方がKOH法より有効であることが明らかとなった.
著者
寺下 正道 庄野 庸雄 陳 克恭 北村 知昭 農蘇 千絵 諸冨 孝彦 矢野 淳也 河野 直博
出版者
九州歯科学会
雑誌
九州齒科學會雜誌 : Kyushu-Shika-Gakkai-zasshi (ISSN:03686833)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.236-242, 2002-12-25

ハイドロキシアパタイト(HAP)を種々のフッ素濃度の溶液と反応させると, より耐酸性のフルオロアパタイト(FAP)やフッ化カルシウム(CaF_2)が生成される.CaF_2よりFAPの方がより安定した結晶構造を有し, 耐酸性を獲得するにはより有効である.HAPからFAPを生成させる至適フッ素濃度を求めるためにHAPから生成したFAPの量を測定することが必要である.この方法として現在用いられている電子スピン共鳴により測定する方法(ESR法)と1M KOHによりCaF_2を溶出させる方法(KOH法)とを比較した.ESR法ではフッ素濃度100 ppm以下の時にFAPの生成が最大を示し, 浸漬した溶液のフッ素濃度を増大させるにつれてCaF_2の生成が多くなり, FAP生成が抑制された.これは, X線回折による定性結果と一致していた.一方, KOH法では, フッ素濃度の増大とともにFAPの生成も増大するという結果が得られ, X線回折による定性結果とは異なっていた.以上の結果から, HAPから生成するFAPを定量する方法としてESR法の方がKOH法より有効であることが明らかとなった.
著者
田島 清司 陳 克恭
出版者
九州歯科大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
1997

モンテカルロ法を利用した有限要素法による応力解析と構造信頼性工学を応用することで,コンポジットレジン修復歯の信頼性(コポジット充填時のエナメル質亀裂の発生率)の評価を試みた.モデル外形は上顎中切歯を唇舌方向に二分割した断面をトレースにより作成し,窩洞形態はバットジョイント単純窩洞とした.レジン,エナメル質および象牙質の各弾性率ならびにレジンのゲル化後の重合収縮値に対し,モンテカルロ法を用いて不確かさを考慮にいれた.すなわち,今までに報告されている各物性の平均値と標準偏差をもとに乱数を用いて,各物性値を50個分サンプリングした.次に,サンプリングされた物性値を用いて有限要素法による応力解析を50回繰り返すことで,窩洞窩縁部エナメル質内の最大引張主応力の平均値と標準偏差を求めた.さらに求められた最大引張主応力の確率分布に対して,正規分布の適合性をカイ二乗検定により確認後,構造信頼工学における静的破壊を考えた応力-強さモデルを適用した式により窩洞窩縁部エナメル質の破損率を算出した.その結果、下記の結論が示された解析に用いたモデルにおいて,レジンの重合収縮に起因して窩洞窩縁部エナメル質内に発生した最大主応力は用いたレジンによって異なり,平均値で9.7MPaから77.5MPaの範囲であった.いずれのレジンの場合にもエナメル質内に発生した応力の確率分布としては正規分布を適用できることが統計的に示された.レジンの重合収縮に伴う応力に起因する窩洞窩縁部エナメル質亀裂の発生確率は用いるレジンにより異なり,0から98.9%の範囲であった.窩洞窩縁部エナメル質亀裂発生確率とレジン重合収縮値およびレジン弾性率との関係をみると,エナメル質亀裂発生確率とレジン重合収縮値との間に高い相関がみられたが,レジンの弾性率との間には相関はみられなかった.
著者
野田 尚昭 陳 克恭 田島 清司
出版者
九州工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

ヒトの歯の形状が複雑であることを考慮して, 介在物角部に生じる特異応力場の強さを有限要素法で精度良く解析する方法を検討し, ヒトの歯に生じたくさび状欠損修復後の咬合による影響を考察した.