著者
川島 永嗣 片山 順一 諸冨 隆
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.612, pp.23-30, 2001-01-26

表情に注意を向けていない場合の表情処理の特性を検討するためにBruce & Young(1986)の顔認識モデルにおけるいくつかの段階に課題を設定し, 12名の被験者からERPを記録した.既知性判断課題, 及び男女判断課題ではERP上に表情による差は見られなかったが, 物・顔判断課題では表情による差が見られ, その差は快-不快次元に沿った形で生じた.よって, 全く表情に注意を向けていない場合にも, 快-不快次元に沿った形で自動的, 前注意的に表情の処理がなされており, 既知性判断や男女判断といった高次な認知処理段階ではなく初期知覚の段階に情動が関与することが示唆された.
著者
片山 順一 馬渕 慶子 川島 永嗣 諸冨 隆
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.612, pp.61-68, 2001-01-26

顔に特異的なERP成分としてVPP(P170)とN170が知られている.このERPを詳細に検討するため, 12名の被験者から, 視覚呈示された顔, 眼, 物, 動物の顔, 単語に対するERPを記録した.写真および線画オッドボール条件, 課題を課さない線画反復条件を設けた.全条件で全ての刺激は後側頭部でN170を惹起し, 顔, 眼, 単語刺激に対してその振幅が増大した.耳を基準としたとき, 頭蓋頂でのP170は増大し明確な頂点を示した.頭皮上分布の分析から, これは顔に特異的な成分と考えるより, 処理の初期段階において注意が配分される程度を反映すると考えられる.
著者
村上 由則 諸冨 隆 村井 憲男
出版者
日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.35-42, 1993-01-30

2名の血友病児において、血友病性関節内出血と気象変動との関連を検討した。関節内出血の度数を月ごとに加算したところ、他の月と比較して4〜6月に出血が集中することが明らかになった。また、対象児の出血動態と気象要素との関連を分析したところ、平均気温の日間較差が、出血となんらかの関連をもつことが確認された。出血が特定の関節領域に集中しその度数が増大する悪化期には、出血の始発日前後1〜2日に気温の低下が観察された。この気温の低下傾向は、特定関節の出血以前に先行する出血がある場合に顕著であることも併せて明らかとなった。出血の少ない安定期や逆に出血が多発する頻発期には、気温の変動と出血との関連は明確ではなかった。これらの結果から、気温の変動は血友病性関節内出血に対し影響を及ぼすが、その影響は関節の破壊状況により異なることが示唆された。