著者
松岡 正子 謝 茘 袁 暁文 李 錦 耿 静 蔡 清
出版者
愛知大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、2008年の.川大地震で被災したチャン族を対象として、復旧復興の現状と問題点を国家とチャン族の視点から分析し、民族文化創出のメカニズムについて考察した。被災地は、政府主導の「中国式復興モデル」によって急速に復旧し、街は近代化され、一部の農村は民族観光村に一変した。しかしそれらは外部者の政府側が主導し、住民は参画しなかったため、従来の自然と共生したチャン文化とは異なる文化が創出された。
著者
中西 裕二 白川 琢磨 末成 道男 島村 泰則 仲川 裕里 謝 茘 吉田 光宏 李 鎮栄 聶 莉莉
出版者
福岡大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

本研究は、日本の文化人類学会において検討される機会が少なかった、自社会研究としての文化人類学(Home Anthropology)の可能性を探るものである。研究は1)理論研究、2)東アジアにおけるHome Anthropologyの位置づけに関する比較研究、3)日本における現地調査研究を軸に進められた。これらの研究成果は以下の通りである。1)文化人類学を異文化理解の学と規定しても、それを他者性の理解という枠組みで把握する限り、Home Anthropologyは一般人類学に大きく貢献可能な学と言える。とくに自社会をフィールドとした文化人類学的研究は、従来の、海外をフィールドとした文化人類学的研究と比べ、他者との関係性がつねに問われる研究領域である。従って、他者性と他者理解を試みる文化人類学において、自社会研究の文化人類学は有益な理論的示唆を与えるものである。2)東アジア地域のHome Anthropologyは、それぞれの国家の近代史との関係の中で生成されている。従って東アジアにおけるHome Anthropologyは、各国により相対的な学問領域とも言え、それを一概に「東アジアのHome Anthropology」と範疇化することには無理がある。3)日本におけるHome Anthrologyは、日本文化研究という近代の枠組み、そして学のイデオロギー性を明らかにするために、非常に有効な手段と言える。