著者
聶 莉莉
雑誌
東京女子大学紀要論集
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.155-162, 2001-09-21
著者
聶 莉莉 Nie Lili
出版者
国立民族学博物館
雑誌
国立民族学博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Ethnology (ISSN:0385180X)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.61-94, 1994-08-25

This article aims to describe and analyze the influence of Confucianismon Chinese peasant society. This analysis is based on field workin Haicheng Prefecture, Liaoning Province from August 1987 toSeptember 1988.The influence of Confucianism upon peasant society came throughvarious routes, such as:1) the influence of the intelligentsia.2) education.3) widely read pamphlets.4) folk entertainment.5) the law of the lineage.By these routes, the ethics of Confucianism deeply permeated the peasantsociety, influencing ideas and the form of social relations.On the other hand, Confucianism is, after all, a theory of Confucianscholars, and could not be realized completely in actual society.There are some gaps between the theory of Confucianism and its practicein peasant society. Confucianism maintains that morals have universality,but in peasant society morals are always closely related to specific people.Xiao (filial piety) is one of the most important moral concepts inConfucianism, and includes vang (support) , zang (funeral) , ji (holdingceremonies for the ancestors) , and a strong attachment to one'sparents. But in fact, the obligation of a son to look after his parents isalways related to the inheritance of property from the parents. He (harmony)is taken very seriously in Confucianism, and as a result, peasantsalso regard he as the most ideal moral state. But in the traditional extendedfamily, quarrels between married brothers and each nuclear familyoccur repeatedly.Because of such gaps, there is a dual character in peasant society.That is, although peasants claim to follow Confucian morals, in realitythey think of their own interests. In dealing with others, they make theirrequests in the language of Confucian ideals, but to themselves theyusually stress their own interests with various pretexts.
著者
中西 裕二 白川 琢磨 末成 道男 島村 泰則 仲川 裕里 謝 茘 吉田 光宏 李 鎮栄 聶 莉莉
出版者
福岡大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

本研究は、日本の文化人類学会において検討される機会が少なかった、自社会研究としての文化人類学(Home Anthropology)の可能性を探るものである。研究は1)理論研究、2)東アジアにおけるHome Anthropologyの位置づけに関する比較研究、3)日本における現地調査研究を軸に進められた。これらの研究成果は以下の通りである。1)文化人類学を異文化理解の学と規定しても、それを他者性の理解という枠組みで把握する限り、Home Anthropologyは一般人類学に大きく貢献可能な学と言える。とくに自社会をフィールドとした文化人類学的研究は、従来の、海外をフィールドとした文化人類学的研究と比べ、他者との関係性がつねに問われる研究領域である。従って、他者性と他者理解を試みる文化人類学において、自社会研究の文化人類学は有益な理論的示唆を与えるものである。2)東アジア地域のHome Anthropologyは、それぞれの国家の近代史との関係の中で生成されている。従って東アジアにおけるHome Anthropologyは、各国により相対的な学問領域とも言え、それを一概に「東アジアのHome Anthropology」と範疇化することには無理がある。3)日本におけるHome Anthrologyは、日本文化研究という近代の枠組み、そして学のイデオロギー性を明らかにするために、非常に有効な手段と言える。
著者
佐々木 衞 聶 莉莉 園田 茂人 伊藤 亜人
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

1,研究の目的中国朝鮮族家族の移住と定住、そして民族的アイデンティティの自覚とエスニシティの形成を、大都市に移住した家族と個人を対象に研究調査した。調査実施地は、北京、青島、上海、深〓および韓国ソウルであった。2,調査概要主な調査内容は次のものであった。(1)都市に居住する中国朝鮮族の移動と就業状況について、政府機関や報道機関および大学に勤務するもの、私営企業家、都市に出稼ぎに出てきている家族を訪問し、インタビュー記録を整理した。(2)韓国ソウルでの海外出稼ぎ者に対する訪問調査とその支援組織の活動を調査した。(3)延辺朝鮮族自治州創立50周年記念事業、青島における中国朝鮮族の運動会、朝鮮族学校など大都市における民族的な文化活動を調査した。3,調査から得られた暫定的な知見(1)都市への移動者(1)都市への移動は学歴・職歴が鍵になっている。大学卒業者もしくは軍隊経験者は、新しく企業を始めるにも文化的な資原を経済的な資源に転換している。これに対して、一般の地方出身者の多くは雑業層に就く。(2)「運動会」の挙行は、移住地にあらたな絆と凝集を構成する機会を提供している。(3)出稼ぎ者が集住する地域は、アメリカ社会学のシカゴ学派がtransition zone(推移地帯)と見なす地域である。(2)家族・親族の絆の再構成(1)同郷・親族ネットワークが相互支援のために不可欠の役割を果たしている。(2)誕生日や還暦の祝いが活発になっているが、家族における儒教的構成原理を状況主義的に再構成している。(3)エスニシティの構造(1)朝鮮族が「故郷」としての北朝鮮から自立的な立場を確立し、また、中国で生きる手段として中国語の習得を選択しているが、これらは「脱朝鮮族」の傾向を生んでいる。(2)他方では、朝鮮族であることが、韓国チャンネルとの接点を作り経済的な新たなチャンスとなっている。韓国にたいして「同胞」としての優遇を期待することも強くなっている。(3)中国朝鮮族としての自覚が高まっているとすれば、一種の「再朝鮮族」を見ることもできよう。4,これからの展開以上の研究成果をふまえて、論文集の刊行を計画している。