著者
久保田 智洋 谷口 圭佑 坂本 晴美 六倉 悠貴 巻 直樹 高田 祐 中村 茂美 黒川 喬介 岩井 浩一
出版者
特定非営利活動法人 国際エクササイズサイエンス学会
雑誌
国際エクササイズサイエンス学会誌 (ISSN:24337722)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.1-9, 2021 (Released:2023-01-24)

[目的] 地域在住の老々世帯における社会参加活動の特性を把握することを目的とする. [対象と方法] 地域在住の老々世帯に該当し,要介護認定を受けていない700名. [方法] 郵送調査.調査項目は,年齢,性別,家族構成,要介護認定の有無,「介護予防・日常生活圏域ニーズ調査」の「地域での活動について」の8項目.[結果] 前期および後期女性高齢者は,「趣味活動」と「学習活動」が男性に比べて有意に頻度が高かった.[結語]老々世帯において,これらの活動への参加を1つの指標と支援していくことが介護予防には必要である.
著者
山本 光 谷口 圭佑 滝澤 恵美
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2016, 2017

<p>【はじめに,目的】</p><p></p><p>要支援・要介護者の健康管理や在宅運動の習慣といった「自助」の促進は重要な課題である。ある行動の獲得や習慣化に際して自己効力感(self-efficacy:SE)が重要視されており,SEに関する報告は散見されるが,集団体操を通じたSEの変化に関する報告は少ない。そこで本研究は,「自助」の促進を目的とした集団体操が,健康管理に対するSE(健康SE)と在宅運動SEへの影響を検討することを目的とした。</p><p></p><p>【方法】</p><p></p><p>通所リハビリテーション利用者10名(男性5名,女性5名,年齢79.9±7.4歳)を対象とした。主疾患は中枢神経疾患2名,整形外科疾患7名,心疾患1名であった。Mental Status Questionnaire 8点未満の者は調査から除外した。集団体操は,1)遂行行動の達成(目標に対する達成度を対象者自身で記録),2)代理的体験(他者が称賛される様子を対象者同士が観察できるよう配置),3)言語的説得(称賛や励ましの声掛け),4)生理的・情動的状態(体操前後に血圧・脈拍を対象者自身で測定・記録)のSEを高める4つの情報源(石毛,2010)に対応させて実施した。集団体操は1回40分,週1~2回,3か月間実施した。なお,集団体操で実施した内容を自主トレーニングとして行うように指導した。介入前後で対象者の身体機能テスト5項目(握力,膝伸展筋力,5m最大歩行時間,Timed Up and Go test(TUG),Functional Reach(FR)),およびSE2項目(健康管理に対するSE尺度(横川,1999),在宅運動SE尺度(有田,2014))を調査した。統計学的解析はWilcoxonの符号付順位和検定を用い,統計学的な有意水準は5%とした。</p><p></p><p>【結果】</p><p></p><p>介入前後の結果を以下に示す(介入前/介入後,p値)。握力(kg)(22.0±5.4/22.1±5.4,p=0.95),膝伸展筋力(kg/体重)(0.37±0.12/0.38±0.11,p=0.41),5m最大歩行時間(秒)(5.2±0.9/5.2±1.1,p=0.51),TUG(秒)(12.1±2.1/11.8±2.4,p=0.38),FR(cm)(22.7±6.6/23.9±6.5,p=0.72)であり身体機能の有意な変化は認められなかった。一方,健康SE(42±4.9/45.5±4.5,p=0.02)では有意に上昇した。なお,在宅運動SE(18.2±4.8/22.3±3.9,p=0.05)は有意な変化を認めなかったが,介入前より介入後に上昇した。</p><p></p><p>【結論】</p><p></p><p>本プログラムによって身体機能に有意な変化は認めなかったが,健康SEの上昇の効果を認めた。セラピストと対象者,また対象者同士の関わりを工夫することで,対象者自身が健康を管理する動機付けを促進させると推察された。これより,集団体操はSEの変化に正の効果をもたらすと考えられた。健康SEを向上させた活動として,自己または他者のトレーニングの成功体験や代理的体験,さらに血圧・脈拍の自己管理の導入が考えられた。在宅運動SEは上昇傾向にあることから,今後,自宅での活動に変化が現れれば身体機能の維持・改善も期待される。今後はSEの上昇に伴う実際の行動変容を確かめる必要がある。</p>