著者
谷津 潤 山野井 貴浩
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.63-70, 2016-07-12 (Released:2016-08-09)
参考文献数
18
被引用文献数
1

近年, 生物の授業において, DNA抽出実験が, 頻繁に実施されるようになった. しかし, 現在実施されている実験形式では, 抽出物がDNAである(DNAを含んでいる)ことを納得できない生徒がいると指摘されており, 試薬を用いて抽出物がDNAであることを確かめる過程を導入することが必要と言える. そこで, 本研究では, 従来のDNA抽出実験の操作に, 対照実験を伴う検証過程を導入し, その導入が抽出物はDNAであると納得することに繋がるかどうかを明らかにすることを目的とした. 質問紙調査の結果, 検証前では抽出物がDNAであると納得できなかった生徒が全体の約1/3を占めたが, 検証後では, それらの生徒も, 抽出物がDNAであると納得したことから, DNA抽出実験における試薬を用いた検出の重要性が明らかになった. その際, 特に対照実験を伴う方がより生徒の納得につながることが明らかになった.