- 著者
-
豊岡 公徳
- 出版者
- 日本植物形態学会
- 雑誌
- PLANT MORPHOLOGY (ISSN:09189726)
- 巻号頁・発行日
- vol.28, no.1, pp.15-21, 2016 (Released:2017-04-14)
- 参考文献数
- 20
- 被引用文献数
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光−電子相関顕微鏡法(Correlative light and electron microscopy: CLEM法)とは,同一試料を光学顕微鏡と電子顕微鏡を用いて観察し,両顕微鏡により得られた像の相関を得る解析法である.これまでに様々なCLEM法が開発され報告されているが,主に動物の培養細胞等が用いられており,植物の組織や細胞に適した方法は報告例は乏しい.植物組織・細胞においても,GFP等の蛍光で標識した生体分子の局在を高分解能で正確に捉えるためにはCLEM法の開発が重要である.我々は植物材料において,GFP蛍光を放つ細胞小器官の超微形態を高分解能走査電子顕微鏡で可視化する「GFP-走査電子相関顕微鏡法」の開発を進めている.細胞小器官をGFPで標識したシロイヌナズナ形質転換体の根端や子葉などの組織・器官を固定・脱水後,樹脂包埋する.そして,ミクロトームにより準超薄切し,導電性スライドガラスに載せ,そのGFP蛍光を共焦点レーザー顕微鏡により検出する.その後,その切片を電子染色し,高感度な反射電子検出器をもつ電界放出形走査電子顕微鏡により,蛍光を撮影した同一箇所の微細構造を撮影する.最後に,蛍光像と電顕像を重ね合わせることで,蛍光を放つオルガネラを特定し,その超微細構造を明らかにする.本技術は,蛍光タンパク質が普及した植物科学分野の超微細構造解析研究に大きく貢献できると期待される.