著者
松本 勝美 赤木 功人 安部倉 信 大川 元久 田崎 修 押野 悟
出版者
医学書院
雑誌
Neurological Surgery 脳神経外科 (ISSN:03012603)
巻号頁・発行日
vol.27, no.9, pp.831-835, 1999-09-10

I.はじめに 喫煙は血管の動脈硬化を促進し脳卒中のリスクを増加させる2,14,17,21).なかでも喫煙とくも膜下出血との関連性はmeta analysisでみると脳出血や脳梗塞に比べさらに強く,喫煙者のくも膜下出血の発症は非喫煙者の29倍となる14).Weir(1998)らのcooperative studyでは,喫煙者のくも膜下出血の発症率の上昇に加え,発症率と喫煙量が比例し,脳血管攣縮を合併する率が非喫煙者にくらべより高いという結果になった20).一方,くも膜下出血の原因となる脳動脈瘤がどう形成され破裂するかについては,hemodynamic factorや,中膜欠損,高血圧の影響など複数の要因が提唱されている7,11,18)が,喫煙がどう影響するかのメカニズムについてはいまだに解明されていない.また喫煙が動脈瘤の形成に関与するのか,破裂に関与するのかも明確ではない.今回くも膜下出血例および未破裂脳動脈瘤症例について,脳ドック受診者で動脈瘤が否定された症例をコントロールとし喫煙率の違いについて調査した.本研究の結果について喫煙が動脈瘤の形成や破裂に及ぼす影響について文献的考察を加え検討した.
著者
樗木 直也 吉田 雅一 石橋 裕喜 松永 俊朗 赤木 功
出版者
一般社団法人日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料學雜誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.86, no.6, pp.527-533, 2015-12-05

鹿児島県出水地域のソラマメ産地で発生しているさや綿状組織黒変障害(綿腐れ症)の原因を明らかにするために,農家ほ場の障害発生率や植物体の栄養元素含有率,土壌化学性の調査を2カ年にわたって行った.1年目の調査では,子実の各部位(さや・種皮・子葉)のホウ素含有率は健全>軽度障害>重度障害と障害程度が重くなるほど有意に低くなった.子実各部位と葉身・葉柄のホウ素含有率は,障害発生ほ場の方が障害未発生ほ場より低かった.2年目の調査では,各ほ場の障害発生率と子実各部位及び葉身・葉柄のホウ素含有率との間には有意な負の相関がみられ,植物体のホウ素含有率が低いほど障害発生率が高まることが示された.またホウ素欠乏症の確定診断に有効だと考えられている細胞壁ラムノガラクツロナンIIのホウ酸架橋率は,重度障害さやで健全さや及び軽度障害さやに比べて低い値を示した.これらの結果はいずれもさや綿状組織黒変障害がホウ素欠乏症であることを示唆しており,これまでにマメ科作物では類似のホウ素欠乏症状の報告は見当たらないが,本障害はホウ素欠乏によるものと考えられた.
著者
赤木 功 西原 基樹 上田 重英 横山 明敏 佐伯 雄一
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.78, no.2, pp.250-254, 2009 (Released:2009-05-22)
参考文献数
13
被引用文献数
1 4

九州南部の秋ダイズ栽培における晩播栽培がダイズ子実中のイソフラボン含有量に及ぼす影響について調査し,西南暖地に位置する当地域においてもイソフラボン含有量の向上に晩播栽培が有効であるか検証した.8月上・下旬播種の晩播栽培は,7月中旬播種の標播よりも登熟期後半(成熟期前30日間)にあたる平均気温が0.4~1.7℃低く経過し,成熟期は3~9日遅延した.イソフラボン含有量は晩播によって高まり,標播に対する増加率はアキセンゴクが16.1~34.9%,クロダマルが5.9~15.3%,ヒュウガが31.1~37.9%,フクユタカが44.4~58.0%であり,品種によって晩播に対する反応に差異が認められた.子実中のタンパク質,カリウム,マグネシウム含有量は晩播による影響は認められないものの,カルシウム含有量は晩播によって低下する傾向にあった.また,個体当たりの子実重は晩播によって最大で78%低下した.以上のことから,晩播栽培は収量低下を軽減できれば,西南暖地における高イソフラボン含有ダイズ生産のための栽培技術の一つとして有効であると考えられた.