著者
藤井 千里 赤間 明子 大竹 まり子 鈴木 育子 細谷 たき子 小林 淳子 佐藤 千史 叶谷 由佳
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.1_117-1_130, 2011-04-01 (Released:2016-03-05)
参考文献数
42

本研究の目的は,訪問看護ステーションの収益と管理者の経営能力との関連を明らかにすることである。全国のステーション管理者を対象に質問紙調査を行い,有効回答数64ヶ所のデータを集計分析した。 その結果,次のことが明らかとなった。管理者が収支を予測したり,経営戦略の策定,経理・財務を理解している割合や他職種にステーションの過去の実績を示す,利用者獲得に向けた活動の評価について実施している割合が低かった。一方,従事者数や利用者数が中央値より多い,管理者が経営学を学んでいる,経営戦略や経営計画を策定し,採算性の評価をしている,必要な情報を収集・分析し,有効に活用しているステーションは,有意に収益が高かった。 以上より,ステーションの経営の安定化には,計画に基づいた事業の実施とその評価,利用者だけではなく,医師や介護支援専門員等の専門職を顧客と位置づけて営業活動を実施していくことの重要性が示唆された。
著者
小林 淳子 赤間 明子 大竹 まり子 鈴木 育子 叶谷 由佳 藤村 由希子 右田 周平
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

平成17年度は,妊娠を契機に禁煙した、あるいは喫煙を継続した女性喫煙者の「たばこに対する思い」を因子探索的に分析した。その結果,出産後まで禁煙を継続した女性では「子どものため,自分のため,他の人のために喫煙はやめるべき」という規範的意職と,「出産後のいたずら喫煙,育児の負担がなければ喫煙しない」という将来の再喫煙を避けるための対策の因子が抽出された。一方,再喫煙した女性では「また吸ってしまうかもしれない」という再喫煙の予感,「止めたいが止められない」という禁煙困難,「禁煙は考えていない」という無関心の因子が抽出された。「子どもと喫煙」に関するラベル数の割合が,禁煙継統群は喫煙再開群よりも明らかに高く,PRECEDEPROCEEDモデルの「実現要因」である喫煙環塊への対策に加えて,「前提要因」である「喫煙による子どもへの影響の認知」を高めるために,「強化要因」である医療関係者の役割の璽要性が示唆された。平成18年度は,地域における禁煙サポート源として看護職者が機能するために,看護職者よる禁煙・防煙支援の実態と関連要因を解明を目的とする質問紙調査を実施した。Y県内の55施設,所属する看護職1414名を分析対象とした。その結果、禁煙・防煙支援が業務としての位置づけられている407名(28.8%)、禁煙・防煙支援の経験あり267名(18.9%)と低率であり、禁煙支援・防煙支援の困難は189名(70.8%)が感じていた。同時に、禁煙・防煙支援の講習会の参加は250名(17.7%)に留まった。業務の位置づけがある群で支援経験ありは38.3%,位置づけが無い群では11.0%,しかし位置づけがあっても支援経験なしが61.7%を占めた。禁煙支援の自己効力感は100点満点で平均14.4(±12.3)点と低かった。以上の結果から,看護職者は禁煙支援・防煙支援を業務として位置づけられていても実施していない割合が高く,支援の自己効力感が低い点が課題であることが明らかとなった。
著者
小林 淳子 森鍵 祐子 大竹 まり子 鈴木 育子 叶谷 由佳 細谷 たき子 赤間 明子
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

出産後の母親の喫煙予防に資する基礎資料を得るために,母子手帳交付に来所した妊婦をコホートとして母子手帳受領時,妊娠末期,出産後の3回縦断的に調査した。その結果母子手帳受領時,出産後ともに喫煙には出産経験有,身近な喫煙者有が関連し,母子手帳受領時にはさらに若年齢が関連した。妊娠を契機に禁煙した妊婦は79.2%,その内出産後の再喫煙率は15.8%であった。妊娠が判明しても喫煙を継続した妊婦5名中4名(80.0%)が出産後は禁煙した。また,妊娠初期の禁煙支援として「意識の高揚」,「自己の再評価」を活用する妥当性が示唆された。