著者
藤村 由希子 安藤 広子
出版者
岩手県立大学
雑誌
岩手県立大学看護学部紀要 (ISSN:13449745)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.83-91, 2004-03
被引用文献数
6

岩手県内における死産,早期新生児死亡における助産師・看護師の対応の現状について把握し今後のケアの検討資料とすることを目的に実態調査を行なった.24施設で勤務する助産師・看護師を対象に割り当て抽出法により質間紙を205部郵送し,178名から有効回答を得た (有効回答率86.8%).調査期間は2003年3-4月であった.調査対象者の年齢は30代が61名(34.2%)と最も多く,臨床経験年数は15.9(±8.7)年であった.児が亡くなった場合スタッフ間で毎回カンファレンスを行っているのは57名(32.0%)であった.亡くなった児の写真や足形などの遺品を渡しているのは28名(15.7%)であった.亡くなった児と母親との面会を積極的にすすめていろのは47名(26.4%),父親との面会を積極的にすすめているのは86名(48.3%)であった.退院後に何らかのケアを行っているのは54名(30.4%)であった.児を亡くした母親や家族と接する時に「悩んだことがある」は156名(87.6%)で,言葉かけや態度などについで悩んでいた.亡くなった児との面会は母親よりも父親の決定に委ねられていることや退院後のケアが行われていないことから,母親およびその家族への対応についての検討が必要である.また看護職者の多くがケアへの戸惑いや悩みを抱えているにもかかわらず,カンファレンスも少ないことから,今後のケアのあり方として,スタッフ間での情報や知識の共有の機会が必要である.
著者
小林 淳子 赤間 明子 大竹 まり子 鈴木 育子 叶谷 由佳 藤村 由希子 右田 周平
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

平成17年度は,妊娠を契機に禁煙した、あるいは喫煙を継続した女性喫煙者の「たばこに対する思い」を因子探索的に分析した。その結果,出産後まで禁煙を継続した女性では「子どものため,自分のため,他の人のために喫煙はやめるべき」という規範的意職と,「出産後のいたずら喫煙,育児の負担がなければ喫煙しない」という将来の再喫煙を避けるための対策の因子が抽出された。一方,再喫煙した女性では「また吸ってしまうかもしれない」という再喫煙の予感,「止めたいが止められない」という禁煙困難,「禁煙は考えていない」という無関心の因子が抽出された。「子どもと喫煙」に関するラベル数の割合が,禁煙継統群は喫煙再開群よりも明らかに高く,PRECEDEPROCEEDモデルの「実現要因」である喫煙環塊への対策に加えて,「前提要因」である「喫煙による子どもへの影響の認知」を高めるために,「強化要因」である医療関係者の役割の璽要性が示唆された。平成18年度は,地域における禁煙サポート源として看護職者が機能するために,看護職者よる禁煙・防煙支援の実態と関連要因を解明を目的とする質問紙調査を実施した。Y県内の55施設,所属する看護職1414名を分析対象とした。その結果、禁煙・防煙支援が業務としての位置づけられている407名(28.8%)、禁煙・防煙支援の経験あり267名(18.9%)と低率であり、禁煙支援・防煙支援の困難は189名(70.8%)が感じていた。同時に、禁煙・防煙支援の講習会の参加は250名(17.7%)に留まった。業務の位置づけがある群で支援経験ありは38.3%,位置づけが無い群では11.0%,しかし位置づけがあっても支援経験なしが61.7%を占めた。禁煙支援の自己効力感は100点満点で平均14.4(±12.3)点と低かった。以上の結果から,看護職者は禁煙支援・防煙支援を業務として位置づけられていても実施していない割合が高く,支援の自己効力感が低い点が課題であることが明らかとなった。