著者
吉田 昭仁 田村 幸雄 趙 康杓
出版者
一般社団法人 日本風工学会
雑誌
日本風工学会年次研究発表会・梗概集
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.27, 2004

台風Maemiは韓国において、人的被害130名(死者117名、行方不明者13名、10月20日現在)と未曾有の大被害をもたらした。また、物的被害額は10月20日現在で4兆7810億ウォンとなっており、最終的には5兆6000億ウォン(日本円で約6000億円)を超える史上最大規模となることが見込まれている。特に、釜山では11台のコンテナクレーンが倒壊もしくは脱線するなどの被害を受けた。また、この台風の影響により韓国国内での物価が上昇し、農作物などの価格が急騰するなど、非常に多くの影響をもたらした。
著者
田村 幸雄 趙 康杓 吉田 昭仁 菅沼 信也
出版者
東京工芸大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
2000

昨年度までの実験的検証によって、RTK-GPSの観測可能振幅レベル、振幅分解能、周波数分解能等の基礎資料が整理できた。本年度は,高さ108mの鉄塔上にGPSユニツトを設置し、地震時および強風時の応答観測を行い,観測可能レベル、周波数分解能,使用に当たっての種々の制約や問題点の抽出を行った。日照や強風等の影響のない夜間の鉄塔静止位置を長期間にわたって観測し、その平均的な位置を厳密なゼロ点とした。これを基準にして、日照による熱変形の把握、台風時の挙動等をとらえることができた。強風時の応答からは、観測振幅の範囲では高周波数領域でのノイズレベルがやや高いが、加速度計による観測結果との十分な整合性が確認でき、以下の事柄が明らかとなった。つまり、(1)GPSにより動的変位のみならず,静的変位成分も計測可能である。(2)現状のGPSにより、固有振動数2Hz以下、つまり建物高さ約30m以上の建物が、振幅2cm以上の振動をしているときに計測が可能である。したがって、(3)10m高さでの平均風速が春一番程度の15m/sの場合、建物高さ80m以上、平均風速が台風なみの25m/sのときは、建物高さが60m以上で観測が可能である。次いで、GPSを利用して、都市建物群の健全性を管理する手法の検討のため、設計図書に基づきFEM解析モデルを作成し、固有値解析等でその妥当性を検討した上で、GPS変位時の任意部材の応力の時刻歴をモニタリングするシステムを構築した。未だ初歩的であるが、GPSによる都市建物群の性能モニタリング手法を開発し、未来型都市防災システムの在り方を示し得た。