著者
足立 邦子
出版者
日本認知心理学会
雑誌
認知心理学研究 (ISSN:13487264)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.85-95, 2004-05-31 (Released:2010-10-28)
参考文献数
22
被引用文献数
1 1

なぜ人は錯誤を含む確率判断をする場合があるのだろうか.本研究では確率の概念モデル(Hawkins & Kapadia,1984)に対応するメンタルモデル(伊東,1995)を再検討し,確率判断における思考プロセスを探究する.そのため確率について専門的な知識をもたない学生や社会人を対象に,日常体験すると考えられる状況設定をした課題を提示し,生起確率とその判断理由を自由に記述してもらった.その結果,確率定義運用型・確率定義誤運用型・算術運用型・非算術運用型の4種類の判断タイプがあり,確率定義運用型以外のタイプの判断を行ったときに認知バイアスが生じることがわかった.人は確率判断におけるそれら4つの型の認知的枠組みをもつのではないかと考察された.それら判断型の使い分け方は,アロケーション・システム(allocation system)における機能のしかたと類似するものであることが考察された.
著者
山 祐嗣 川崎 弥生 足立 邦子
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.100, 2007

後知恵バイアスとは、結果を知ったときに、それがあたかも最初から予想できていたかのように考えてしまう傾向である。本研究では、結果を知った場合と知らない場合の主観的生起確率の差として定義した。日韓英仏比較文化研究を行ったところ、東洋人は比較的後知恵バイアスが強い。これは、西洋人が分析的思考傾向であるのに対して、東洋人が全体的思考としての複雑なモデルを抱いているという仮説で説明可能である。