著者
田中 宏明 辻 利則 川瀬 隆千 竹野 茂
出版者
宮崎公立大学
雑誌
宮崎公立大学人文学部紀要 (ISSN:13403613)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.193-221, 2006

なぜ国際関係論を教育するかという問いに対してカントのコスモポリタニズムから回答できる。なぜならば、カントのみが戦争と平和、コスモポリタン秩序、そして世界市民教育ということを国際関係論において教育する理由をトータルに考える糸口を提供するからである。最初に、国際関係論におけるカント的伝統を否定的に規定している英国学派と、カントの平和論を肯定的に捉えそれに依拠するリベラリズムの代表的研究としてデモクラティック・ピース論を取り上げる。次に、カントのコスモポリタニズムについての理解を深めるために、国際関係論の議論の枠組みを越えて寺田俊郎らの哲学者の議論を踏まえ、カントのコスモポリタニズムについて考察する。ユルゲン・ハーバーマスによると、カントの平和連合の構想にいかなる問題があるか、そして現代のグローバルな情勢を踏まえて、カントのコスモポリタン秩序はいかに改めるべきかが明らかになる。さらに、カントのコスモポリタニズムの観点から、英国学派とデモクラティック・ピース論におけるカントのコスモポリタニズムの捉え方を批判する。最後に、世界市民教育とはどのようなものなのかをマーサ・ヌスバウムに依拠して考え、世界市民教育の立場から、国際理解教育とグローバル教育を批判的に検討する。
著者
金子 正光 辻 利則 Tadamitsu KANEKO Toshinori TSUJI
雑誌
宮崎公立大学人文学部紀要 = Bulletin of Miyazaki Municipal University Faculty of Humanities
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.237-254, 1999-03-20

我が国では、加速的に高齢化が進んでおり、2010年には4人に1人が65歳以上という超高齢化社会を迎えようとしている。宮崎県の場合、県内の高齢化は他の県に比べて早く進むことが予想されている。高度情報化社会の到来は、あらゆる分野において組織革命を起こすとともに、生活レベルにおいてもさまざまな側面で影響を及ぼし、コンピュータと情報ネットワークが福祉に対して重要な役割を果たすことが期待されている。本論文では、宮崎県内での事例を取り上げ、福祉に関しては障害者・高齢者にやさしい町づくりの観点から「タウンモビリティ」、そしてインターネットを用いた福祉情報としては障害者・高齢者が外出するときに必要な「車いす用トイレマップ」について述べる。
著者
辻 利則 本田 親久 内海 通弘 田中 祀捷 村岡 克紀 宅間 董 赤崎 正則 木下 文宏 片平 治
出版者
The Institute of Electrical Engineers of Japan
雑誌
電気学会論文誌A(基礎・材料・共通部門誌) (ISSN:03854205)
巻号頁・発行日
vol.115, no.7, pp.583-588, 1995-06-20 (Released:2008-07-15)
参考文献数
11
被引用文献数
2 4

It is highly important to clarify the basic characteristics of plasmas produced by laser focusing for investigating the possibility of laser-induced lightning. This paper reports the electron density, electron temperature and neutral particle density in laserinduced plasmas measured by Thomson and Rayleigh scattering techniques. The electron temperature increases to 2.5eV in maximum in 3 to 3.5μs after firing the laser, and then gradually decreases in several tens of microseconds. The Rayleigh scattering measurement has shown that the rarefied air region of lower neutral particle density takes a spherical shell profile in later stages after the laser firing. This has been also confirmed by the induced discharge paths through the circumference of a plasma after 500μs.
著者
辻 利則 大坪 昌久
出版者
宮崎公立大学
雑誌
宮崎公立大学人文学部紀要 (ISSN:13403613)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.223-231, 2006

送電線鉄塔の近くで住宅化が進み、近年になって住民からの騒音に対する苦情が発生している。鉄塔での騒音には、風による電線や鉄塔を切る音、そして鉄塔にある碍子(がいし)の汚染によって生じる放電の音(がいし放電音)がある。これらの音の中でがいし放電音を検出するのが本研究の目的となる。全ての計測は屋外で行われるもので、かつ騒音苦情という人を対象としたものになる。屋外で計測する音の難しいところは、車の音や風の音、虫や人の声など様々な環境ノイズが含まれてしまうことである。また、人の聴力を対象とする場合、環境ノイズが大きいと小さな放電音は隠れてしまい聞こえず騒音苦情には至らない。本研究は、これらのポイントと放電音の特性より、放電音を検出する標準偏差を用いたがいし放電音の解析手法を提案し、その手法の精度を向上するための方法を示したものである。