著者
中村 義男 辻 尚利 平 詔亨
出版者
JAPANESE SOCIETY OF VETERINARY SCIENCE
雑誌
Journal of Veterinary Medical Science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.1005-1007, 1994-10-15 (Released:2008-02-15)
参考文献数
9
被引用文献数
10 13

乳頭糞線虫感染幼虫(105/kg)を暴露したウサギはパテント感染成立後に食欲が激減し, 5羽中4羽が暴露後19-33日に死亡した. 衰弱進行期においでも異常心電図は認められなかった. 乳頭糞線虫の濃厚感染はウサギに食欲減退に基づく衰弱を起こすが, 心機能には直接影響を与えないことが示唆された.
著者
大田 方人 辻 正義 辻 尚利 藤崎 幸蔵
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.671-675, 1995-08-15
被引用文献数
4

北海道の褐毛和種牛の血液から分離した Babesia属原虫 (B. sp,1)の形態, 抗原およびタンパク質性状について, B. ovata(三宅株)との比較を中心に解析した. ギムザ染色後のB. sp.1感染血液塗抹標本を光学顕微鏡を用いて観察すると, B. ovataと類似した種々の形態を呈する虫体が認められた. しかし, 双梨子状虫体の長径, 短径および長幅指数は B. ovataより有意に大きかった. 酵素免疫測定法を用いて解析した結果, B. ovata抗原と β.sp.1抗原と B. ovata感染牛血清およびβsp.1抗原と B. ovata感染牛血清はそれぞれ交差反応性を有するが、いずれも同種の抗原と血清との反応よりは弱かった. また, B sp.1抗原に対して B. bonis および B. bigimina淑感染牛血清はほとんど反応しなかった. B. sp.1または B. ovata感染牛血清を用いたウエスタンブロット法によって, B. sp.1 と B. ovataとでは分子量の異なるタンパク質が抗原性を有することが明らかとなった. 二次元ポリアクリルアミド電気泳動後のタンパク質スポットパターンは, B. sp.1 と B. ovataとでは著しく異なった. 以上の成績から, B. sp.1 は B. ovataとは異なる種である可能性が示唆された.