著者
栖原 健太郎 辻 幸和 真下 昌章 小竹 弘寿
出版者
一般社団法人 セメント協会
雑誌
セメント・コンクリート論文集 (ISSN:09163182)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.166-172, 2019-03-29 (Released:2019-03-29)
参考文献数
4

膨張コンクリートの一軸拘束膨張試験方法のA法および一軸拘束膨張・収縮試験方法のB法について、JIS A 6202に規定されているダイヤルゲージ法だけでなくコンタクトゲージ法も併用し、A法およびB法のPC鋼棒とコンクリートとの付着が長さ変化率に及ぼす影響を実験的に検討した。その結果、A法では収縮率が-200×10-6程度まではB法と同様に収縮率が測定できることを、B法では収縮率が-300×10-6程度を超えるとPC鋼棒の転造ねじによる付着が端部で充分でなくなり、コンタクトゲージ法に比べて、ダイヤルゲージ法による収縮率の絶対値が小さくなることを、それぞれ明らかとした。B法における収縮率の適用範囲を限定する必要があること、およびA法にコンタクトゲージ法も併用すると、膨張コンクリートの一軸拘束状態の膨張率の測定を経た後の、拘束の無い収縮率も測定できる可能性を示した。
著者
杉山 隆文 清水 俊吾 RITTHICHAUY Worapatt 辻 幸和
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集
巻号頁・発行日
vol.2004, no.767, pp.227-238, 2004
被引用文献数
2

電気泳動法を用いて, イオン移動に影響を及ぼすモルタルの空隙構造を定量的に把握することを試みた. 定量化にあたって空隙率と屈曲度から構成される空隙構造係数を定義し, 定常状態におけるイオンの電気泳動より求めた実効拡散係数を用いて, この係数を計算した. 空隙構造係数は, 100nm~2μmの範囲の細孔量と概ね整合し, 置換率が30%のフライアッシュモルタルでは, 空隙率が大きいにもかかわらず屈曲度が増加するために, 空隙構造係数は小さくなることを明らかにした. そして, 空隙構造係数が小さい場合, 駆動力が濃度勾配である拡散では移動できない空隙が存在する可能性を示唆した. また, トレーサーイオンとして塩化物イオンの他に, カリウムイオンも同一の空隙構造係数を与えることを示した.