著者
木全 貴久 蓮井 正史 北尾 哲也 山内 壮作 下 智比古 田中 幸代 辻 章志 金子 一成
出版者
一般社団法人 日本小児腎臓病学会
雑誌
日本小児腎臓病学会雑誌 (ISSN:09152245)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.27-33, 2012-04-15 (Released:2012-12-22)
参考文献数
29
被引用文献数
1

近年,ステロイド依存性や頻回再発型のネフローゼ症候群に対する,リツキシマブ治療の有効性が相次いで報告され,難治性ネフローゼ症候群に対する新規治療薬として期待されているが,その投与法は確立していない。筆者らは「ネフローゼ症候群に対してリツキシマブを投与すると,末梢血B細胞は,平均100日間枯渇化するが,B細胞数の回復とともにネフローゼ症候群が再発する」との報告に基づいて,「リツキシマブ投与後3~4か月のB細胞数回復期に追加投与を行い,B細胞数を10個/μl以下に維持すれば,長期寛解を維持できるのではないか」と考え,リツキシマブ375mg/m2 (最大500mg) を3か月毎に4回反復投与する,という治療法の有効性と安全性の検討を行っている。本論文ではこのリツキシマブ反復投与法の自験例を紹介するとともに,難治性ネフローゼ症候群に対するリツキシマブ治療の文献的レビューを行う。
著者
木全 貴久 辻 章志 金子 一成
出版者
一般社団法人 日本小児腎臓病学会
雑誌
日本小児腎臓病学会雑誌 (ISSN:09152245)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.105-116, 2014 (Released:2015-05-11)
参考文献数
72
被引用文献数
2

小児の尿路感染症(UTI)は,一般的な感染症で,臨床的に上部UTI,下部UTI,無症候性細菌尿に大別される。乳幼児の上部UTI に対しては,しばしば適切な診断がなされないままに,抗菌薬が投与される。不適切な抗菌薬の投与は耐性菌を増加させ,高率に合併する膀胱尿管逆流現象(VUR)などの先天性腎尿路奇形の発見を妨げ,UTI の反復や腎の瘢痕化をきたし,腎不全に至ることもある。したがって私達小児科医は乳幼児の上部UTIを適切に診断し,管理する必要がある。発熱を呈する乳幼児において,感染巣が不明な場合には,UTI を念頭において抗菌薬投与前にカテーテル採尿を行い,KOVA slide 法で尿中細菌を確認することで診断率は向上する。上部UTI を起こした乳幼児にUTI を反復させないためには,基礎疾患(VUR や排尿異常)を発見することが重要で,そのためには排尿時膀胱尿道造影を施行し,高度VUR を認めた場合には最新のエビデンスに基づき抗菌薬の予防内服を行う必要がある。