著者
木全 貴久 蓮井 正史 北尾 哲也 山内 壮作 下 智比古 田中 幸代 辻 章志 金子 一成
出版者
一般社団法人 日本小児腎臓病学会
雑誌
日本小児腎臓病学会雑誌 (ISSN:09152245)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.27-33, 2012-04-15 (Released:2012-12-22)
参考文献数
29
被引用文献数
1

近年,ステロイド依存性や頻回再発型のネフローゼ症候群に対する,リツキシマブ治療の有効性が相次いで報告され,難治性ネフローゼ症候群に対する新規治療薬として期待されているが,その投与法は確立していない。筆者らは「ネフローゼ症候群に対してリツキシマブを投与すると,末梢血B細胞は,平均100日間枯渇化するが,B細胞数の回復とともにネフローゼ症候群が再発する」との報告に基づいて,「リツキシマブ投与後3~4か月のB細胞数回復期に追加投与を行い,B細胞数を10個/μl以下に維持すれば,長期寛解を維持できるのではないか」と考え,リツキシマブ375mg/m2 (最大500mg) を3か月毎に4回反復投与する,という治療法の有効性と安全性の検討を行っている。本論文ではこのリツキシマブ反復投与法の自験例を紹介するとともに,難治性ネフローゼ症候群に対するリツキシマブ治療の文献的レビューを行う。
著者
武輪 鈴子 谷口 奈穂 田中 幸代 中野 崇秀 蓮井 正史 金子 一成 野津 寛大
出版者
一般社団法人 日本小児腎臓病学会
雑誌
日本小児腎臓病学会雑誌 (ISSN:09152245)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.147-151, 2009-11-15 (Released:2010-05-31)
参考文献数
14
被引用文献数
2

腎性低尿酸血症は,human urate transporter1の異常により低尿酸血症をきたす疾患で,運動後急性腎不全の合併が多い。その発症機序について二つの仮説,すなわち「急性尿酸腎症説」および「活性酸素関与説」が提唱されているが,詳細は不明である。 本論文では,腎性低尿酸血症の患者において運動後急性腎不全の合併しやすい理由を過去の文献を参考に考察するとともに,筆者らが経験した腎性低尿酸血症患児において,運動負荷の上で酸化ストレス度と抗酸化力を測定した結果を紹介した。患児は対照成人と同様,運動負荷直後から酸化ストレス度の上昇を示したが,抗酸化力は対照成人と異なり,運動負荷後,急激に低下した。すなわち対照に比して運動負荷時の酸化ストレス増大に見合う抗酸化力を有していないことが示唆された。以上より,酸化ストレス急増時の抗酸化力の相対的不足が腎性低尿酸血症における運動後急性腎不全発症に関与しているものと思われた。
著者
小島 崇嗣 谷内 昇一郎 青木 孝夫 小野 厚 蓮井 正史 高屋 淳二 小林 陽之助
出版者
日本小児アレルギー学会
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.184-192, 2004-06-01 (Released:2010-08-05)
参考文献数
7

アレルギー疾患合併小児162例 (A群) (男/女: 92/70) とアレルギー疾患非合併小児47例 (B群) (男/女: 25/22) を対象としてインフルエンザワクチンの副反応を検討すると同時に, フマル酸ケトチフェンによる予防内服の有用性を調べた. A群のうち即時型の卵アレルギーを有する症例は15例であった. A群の79例とB群の15例 (計94例) ではワクチンの100倍希釈液で皮内テストを施行した. また, 全209例中44例でフマル酸ケトチフェンの予防内服を施行しその有効性を検討した. その結果, 皮内テスト施行例のうち皮膚スコア2 (発赤径20-39mm) を示した症例は, A群24% (卵アレルギー群での検討では13%), B群20%と差を認めなかった. しかし, 両群とも約10%に皮内テストから予測できない強い即時型局所反応がワクチン接種部位に認められた. 遅発型局所反応は209例中24例 (11%) に認められ, A群18例 (11%), B群6例 (11%) であった. 即時型局所反応ろコアとワクチン接種回数との関係では, 即時型局所反応スコアが2以上を示した割合はそれぞれ, 初年度例の6%, 2年度例の23%, 3年度例の26%, 4年以上例の42%であり, 複数回接種により接種部位の即時型局所反応が出やすくなることが判明した. また, 遅延型局所反応でも同様の関係が認められた. フマル酸ケトチフェンによる予防内服の効果に関しては, 即時型局所反応, 遅延型局所反応ともに有効性が認められた.