- 著者
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築谷 朋典
妙中 義之
辻本 良信
堀口 祐憲
- 出版者
- 国立循環器病センター(研究所)
- 雑誌
- 基盤研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 2006
本研究では,従来の血液ポンプには見られない多段延伸ポンプの設計・製作を行い,血液ポンプとしての実用性を実験的に検証することを行う.本年度は,単体のポンプで血球を破壊せずに高圧を発生することが可能な血液ポンプという新たな医学的ニーズを反映した要求仕様を決定しそれに基づいてポンプの設計を行った.仕様として,特に低流量・高圧力である条件を考え,平均流量3.0L/min,発生圧力500mmHgを基準とした.従来よりも高揚程型とするために,以下にあげる特徴をもつ要素の設計を行った.1.高揚程化のためのサクションボリュート入口流路2.高圧用のインペラ翼形状(羽根枚数,出口角)3.ラジアルスラスト軽減のためのダブルボリュート出口流路ついでこれらの基本仕様にもとづいてポンプの試作を行い,基本性能を満たしていることを確認し,内部流れに関して数値流体力学を使用した解析を行い,血球破壊,血液凝固の観点から以下に示す設計変更を行った.・ 羽根車へのフロントケーシングの付与・ ダブルボリュートケーシングと羽根の距離拡大・ 案内羽根にシュラウドを設置試作機については,ポンプ内部の漏れ流量拡大等の影響により,水力学的性能は若干低下しているがその影響は軽微である.数値計算に基づいて形状変更を施した結果,ポンプ効率を大きく損なうことなくポンプ内部での溶血に関わる高いせん断応力の領域を低減し,血栓形成に関わる淀み領域の解消に成功した.