著者
西沢 竜生 近藤 仁之
出版者
史学研究会 (京都大学文学部内)
雑誌
史林 (ISSN:03869369)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.110-132, 1970-01

スペイン史学界の現況、並びに研究書誌につき一文をものすやう編輯子の依頼をうけたのは、昨年暮、筆者のマドリー滞在中であった。僅か一年そこそこの滞在であった上、明けて新年早々は帰国の旅に発つ身とあって、準備の暇もなく、取敢ずなほ年余に亙り滞在される近藤仁之氏(南山大学) に協力を仰いで快諾をえたのであった。ここに稿を起すにあたって最初にお断りしておきたいことは、この歴史的な「大国」の史学界につき紹介の筆を染めるのに筆者がいまだその任にたへぬ者であること、しかしならばこそまたなほのこと、拙文に盛られた以上に当の対象が遙かに深い奥行と大きな「問題」を含むことを御賢察いただきたいといふことである。従つて本篇の主たる内容は、生々しい現地報告もまじへた近藤氏の以下続篇に譲ることとし、ここでは僅かにその露払ひの役割を演じて当面の責を果すこととしたい。(西澤記)Al componer estas páginas bajo dicho título, he tenido el doble propósito de señalar importantes raíces de la historiografía moderna de España y de contribuir al estudio de la historia española en nuestro país, presentando un rico panorama de los rasgos fundamentales de esta ciencia : los archivos, colecciones de fuentes históricas, las revistas académicas etc., en un modo general. Acerca de los trabajos monográficos en cada ramo de investigación, esperemos que el señor profesor Y. Kondo los explicase profusamente en los números siguientes. R. N.