著者
近藤 哲理 谷垣 俊守 日比野 真 大江 元樹 加藤 さくら子
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.63, no.10, pp.1325-1329, 2014

ドライパウダー吸入器(DPI)の吸気(内部)抵抗値は患者に即したDPI選択に重要な情報である.我々は過去にDPIと吸入指導器具の内部抵抗値を報告したが,今回は新規DPIと指導器具の内部抵抗測定を行った.方法:デバイスから様々な強度で吸引を行い,吸気圧と通過気流速度から抵抗値を求めた.結果:総てのデバイスで気流と圧に放物線関係を認めた.抵抗値はエリプタ^[○!R]8.44±0.45×10^<-2>(mean±SD),ブリーズヘラー^[○!R]5.53±0.13×10^<-2>,新規ディスクヘラー7.27±0.40×10^<-2>,スイングヘラー^[○!R]12.15±0.40×10^<-2>,ディスカス用新トレーナー7.07±0.24×10^<-2>,エリプタ用トレーナー8.72±0.45×10^<-2>√<cmH_2O>/L/minであった.一方,トレーナーの発音閾値はディスカス用38.1±5.1,エリプタ用39.9L/minであった.結論:ディスカスからエリプタへの変更に吸気速度の指導は不要である.ブリーズヘラーは低肺機能患者に適するが,過大な吸気速度の配慮も必要である.トレーナーは,発音開始より強めの吸気努力が適切である.

1 0 0 0 OA IV.呼吸器系

著者
近藤 哲理
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.89, no.12, pp.2435-2441, 2000-12-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
9

身体所見の診断率は一般的な呼吸器疾患で70%程度はあるが,身体所見は日常的な疾患を迅速かつ簡便に推定する技術と考えるべきである.これまでも多くの診察法の解説があるので,本稿では,頸部リンパ節腫脹での亜急性壊死性リンパ節炎, auscultatory percussionの手法,疾患による水泡音の発生時相の相異, COPDにおける身体所見と肺機能の相関などを紹介した.身体所見は地味であるが,臨床医として不可欠な技術である.
著者
廣川 豊 近藤 哲理 太田 保世 金沢 修
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.33, no.9, pp.940-946, 1995-09-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
21

誘発によらない自然発症時の過換気症候群 (HVS) の病態を解析する目的で, 過去11年間に当院を受診したHVS患者508名の病歴を検討し, さらに, 質問票を郵送して緩解期の症状と予後の調査を行った. 急性HVSは10歳代女性に多かったが, 5~85歳と幅広く分布していた. 主症状は呼吸困難やしびれが多く, 誘発試験の症状 (胸痛, 動悸等) と異なっていた. 誘因の多くは不安や悩み, 発熱, 嘔気・嘔吐で, 約20%の患者が不安神経症を併発していた. 約半数の症例は, 疾患の説明のみで症状の軽快を得ていた. 以上の結果は血液ガスを確認した群と臨床所見のみで診断した群で大きな差はなかった. 慢性HVSの頻度は約2%で, 中年女性に多かった. 急性・慢性のHVSの約半数で発作を反復しており, 約10%で反復期間は3年以上であった. 長期間急性発作を反復する症例では, 緩解期に空気飢餓感やため息を認めた. 以上より, HVSの診断における臨床所見の重要性を強調したい.
著者
近藤 哲理 田崎 厳 廣川 豊 谷垣 俊守 小野 容明 太田 保世
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.621-625, 1999
被引用文献数
8

1998年末に,わが国にドライパウダー(DPI)ステロイドが導入された.本研究では,DPI未導入時に以下の群のディスクヘラーの吸気気流(PIF)を検討した:器具に習熟した医薬情報担当者(EX群,5名),原理のみを理解している呼吸器科医(RP群,19名)および一般人(NM群,31名),ビデオテープによる簡易指導後の患者(TP群,93名).50l/min以下のPIFではブリスター内に高頻度に薬剤の残留を認めた.EX群のPIFは96.1±12.6l/m(平均±標準偏差)であった.PIFとマウスピース内圧(Paw)にはPIF=√^<16.3><Paw-1.19>,(r=0.97)の関係があったため,他の群では市販の気圧計を改造した携帯型圧力計により,Pawを測定してPIFを計算した.RP群のPIFは77.0±30.1l/mで,不適切と考えられるPIF(100l/m以上および50l/m未満)の者が36.8%存在した.NM群のPIFは53.5±20.4l/mでRP群より有意(t検定)に低く,不適切PIF者が54.8%存在した.TP群のPFは64.9±24.5lmでRP群よりも有意に低く,不適切PIF者は43.2%存在した.適切な吸入気量を効率よく達成するためには,PIFの定量的な表示が必要と思われる.