- 著者
-
近藤 慶一
- 出版者
- 横浜市立大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2009
(緒言)腎細胞癌株及び臨床検体ではHypoxia Inducible Factor(HIF)αサブユニット(1αおよび2α)の発現パターンが異なることが知られています。構造的には非常に近似しているサブユニットなのですが、どのような機能の相違を有しているのかは明確になっておりません。そこでこのテーマを検討するために、それぞれのサブユニットに対して特異的に結合する蛋白を検索することを目的として実験を行いました。(方法) VHLが正常に発現されており、さらにHIF1α及びHIF2αの双方を低酸素環境で発現しうる腎細胞癌株としてACHN及びSN12Cの細胞株の抽出液からそれぞれのHIFαサブユニットに対する免疫沈降を行いました。HIFαと共沈降してきた蛋白をSDS-PAGEで分離し、銀染色を用いて発現量を比較しました。(結果と今後の展開)コントロール抗体に対して発現の違いが見られるバンドが複数種検出されており、この結果を2次元電気泳動にかけて確認しました。その結果を元にゲルから目的とするスポットを切り出して質量分析を試みたのですが、ゲル内に含まれている蛋白の量があまりにも微少で、信頼のおける解析結果がまだ得られておりません。同定されていない以上、この蛋白の細胞内での発現量を増加させることはできませんので、現在はHIFαとこの蛋白の親和性を増強させることを考えております。具体的には培養条件を変化させてHIF1αと2αがそれぞれ有為に発現するような環境を選び出し、その条件下での細胞抽出液を用いて親和性の変化を検証しているところです。