著者
佐藤 友範 渡邊 大記 林 和輝 近藤 賢郎 寺岡 文男
雑誌
研究報告電子化知的財産・社会基盤(EIP) (ISSN:21888647)
巻号頁・発行日
vol.2019-EIP-85, no.18, pp.1-8, 2019-09-12

第 5 世代移動通信方式 (5G) では超高信頼低遅延通信や大容量モバイル通信などの高機能な通信サービスが提供され,自動運転や高精細な拡張現実感 (AR) のようなサービスが普及すると考えられている.本稿はエッジサーバ,フォグサーバ,クラウドサーバを含むような 5G コアネットワークを 1 台の計算機のように見せる処理基盤として Application Function Chaining (AFC) を提案する.AFC は高精細 AR のようなアプリケーションを小機能(Application Function; AF) ごとに分割し,AF の連接によってアプリケーションを構成する.アプリケーションは Pub/Sub 方式または HTTP リクエストにより AFC を利用する.AFC 内ではアプリケーションメッセージ単位で AF が適用される.本稿では,プロトタイプ実装により AFC の基本性能を評価した.AFC の確立では AF の設置よりも AF の連接にかかる時間的オーバーヘッドが大きく,AFC 上でのデータ通信ではアプリケーションメッセージ長が10KB 以上の場合で 90% 以上の帯域使用率となった.
著者
日下部 俊吾 渡邊 大記 近藤 賢郎 寺岡 文男
雑誌
研究報告モバイルコンピューティングとパーベイシブシステム(MBL) (ISSN:21888817)
巻号頁・発行日
vol.2019-MBL-90, no.17, pp.1-6, 2019-02-25

我々は赤外線で高速列車内の Wi-Fi ネットワークに高速インターネット環境を提供する研究を続けている.列車走行時ハンドオーバにより周期的バーストパケットロスが発生する.そこで我々は 2014 年にバーストパケットロスが Streaming Application に与える影響について調査した.その後様々な環境が大きく変化した.トラフィックが増大し通信端末が多様化した.HTTP2 や QUIC 等の新たなプロトコルが台頭しプロトコル環境が変化した.それにより高速列車での Streaming Applicationに要求される通信品質が高まっている.本稿では高速列車でのハンドオーバを模擬したネットワークを構築し Streaming Application の特性を評価した.プラットフォーム毎に周期的バーストパケットロスのパラメータを変更し脆弱性を検証した.各 Streaming Application のプロトコルの違いや特徴を分析した.周期的バーストパケットロスヘの耐性は向上しており実環境でのハンドオーバの中で十分に QoE を満たす.
著者
大谷 亘 近藤 賢郎 ルーク コリー 甲斐 賢 植原 啓介 手塚 悟
雑誌
コンピュータセキュリティシンポジウム2021論文集
巻号頁・発行日
pp.148-154, 2021-10-19

TLS によるセキュリティモデルでは,host-to-host の通信路の識別・秘匿化 を可能にするが,PaaS プロバイダや CDN プロバイダなど複数のサービスプロバイダを跨がる Web サービスにおいて,TLS はサービスプロバイダ同士の関係性を保証できない.ユーザは第三者の攻撃やサービスプロバイダの運用事故などにより,サービスプロバイダの意図しない通信先に reroute される可能性がある.本稿では,サービスプロバイダ同士で相互に署名した TLS 公開鍵を DNSSEC で保護された権威 DNS ゾーンで公 開する,軽量な自己管理型相互宣言機構 M2DMRT を提案する.M2DMRT により,サービスプロバイダは第三者に頼らずサービスプロバイダ同士の関係性を相互に宣言でき,ユーザは署名を検証することで容易に関係性を信頼し脅威を回避することができる.本稿では M2DMRT における相互宣言の登録にかかるプロトコルを設計して,そのサーバサイドにおける Proof of Concept の実装を行い,基本性能を評価した結果,実用に耐えうる性能を持つことがわかった.
著者
近藤 賢郎 寺岡 文男
雑誌
研究報告高度交通システムとスマートコミュニティ(ITS) (ISSN:21888965)
巻号頁・発行日
vol.2018-ITS-73, no.39, pp.1-6, 2018-05-17

近年OpenFlow, segment routing,network service header に代表される要素技術をもとに最短経路に基づかない end-to-end の通信路をプログラマブルに構成するトラフィック ・ エンジニアリング (TE) 手法の開発が盛んである.しかし,これらの TE 手法では network service provider (core entity) と application service provider (end entity) 間でのセマンティクスの共有がなされず,core entity は endentity のセマンティクスに基づかない通信路しか形成できない.また end entity による通信路構築が適切かを core entity で検証する機構も存在しない.本稿では,インターネットに代表される Open Network 環境を対象とする,core entity と end entity との間でのセマンティクス共有を前提としたTE手法を提案する.共通のセマンティクス理解する entity 群は closed な overlay network (vAS: virtualized autonomoussystem) に属する.vAS では end entity と core entity の双方のセマンティクスを考慮した end-to-end の通信路が構成され,その通信路に従ってパケットは転送される.vAS 上でのパケット転送は既存の OpenNetwork 環境のパケット転送に failover 可能なので,end-to-end に渡った柔軟な通信路形成とその到達可能性が両立する.