著者
源 直人
雑誌
研究報告電子化知的財産・社会基盤(EIP) (ISSN:21888647)
巻号頁・発行日
vol.2016-EIP-71, no.10, pp.1-6, 2016-02-12

現在多くの新聞はパソコンやタブレット・スマートフォンなど紙を使わずに読めるようになっている.「電子新聞は紙の新聞より消費エネルギーが少ない」 ということは以前から言われていたことであるが,定量的な比較を行った研究は少ない.いくつかの先行研究があるが,通信インフラが現在と異なることや,国による新聞事情の違いにより,現在国内で通用する結果とは言い難い.本稿では,現在の通信インフラとパソコンやスマートフォンなどのデバイスの技術を前提にして,国内における紙の新聞と電子新聞のエネルギー比較を試みた.想定通り,電子新聞のほうが紙の新聞よりも消費エネルギーが少ないという結果となったが,現在サービスされている電子新聞のデータ量が先行研究よりかなり大きいため,通信インフラが消費するエネルギーが無視できないことが分かった.
著者
佐藤 友範 渡邊 大記 林 和輝 近藤 賢郎 寺岡 文男
雑誌
研究報告電子化知的財産・社会基盤(EIP) (ISSN:21888647)
巻号頁・発行日
vol.2019-EIP-85, no.18, pp.1-8, 2019-09-12

第 5 世代移動通信方式 (5G) では超高信頼低遅延通信や大容量モバイル通信などの高機能な通信サービスが提供され,自動運転や高精細な拡張現実感 (AR) のようなサービスが普及すると考えられている.本稿はエッジサーバ,フォグサーバ,クラウドサーバを含むような 5G コアネットワークを 1 台の計算機のように見せる処理基盤として Application Function Chaining (AFC) を提案する.AFC は高精細 AR のようなアプリケーションを小機能(Application Function; AF) ごとに分割し,AF の連接によってアプリケーションを構成する.アプリケーションは Pub/Sub 方式または HTTP リクエストにより AFC を利用する.AFC 内ではアプリケーションメッセージ単位で AF が適用される.本稿では,プロトタイプ実装により AFC の基本性能を評価した.AFC の確立では AF の設置よりも AF の連接にかかる時間的オーバーヘッドが大きく,AFC 上でのデータ通信ではアプリケーションメッセージ長が10KB 以上の場合で 90% 以上の帯域使用率となった.
著者
湯淺 墾道
雑誌
研究報告電子化知的財産・社会基盤(EIP) (ISSN:21888647)
巻号頁・発行日
vol.2019-EIP-84, no.16, pp.1-8, 2019-05-27

本稿においては,アメリカにおける選挙のサイバーセキュリティに関する近時の動向について検討する.アメリカにおいては,選挙管理システムが重要インフラ指定を受けており,選挙システムのセキュリティに関する訴訟も提起されるようになってきている.それに加えて 2018 年 9 月に発出された大統領令 13848 により,外国政府または外国人等が選挙に干渉した疑いがある場合に連邦政府が調査を行うことが定められた.調査の対象は,政治団体,選挙運動又は候補者のインフラストラクチャーとされており,選挙管理システムよりも広範となっている.また調査の結果,外国政府または外国人等が選挙に干渉したことが明確となった場合には,経済制裁を行う旨を規定している.本稿では,これらのアメリカにおける選挙サイバーセキュリティ対策の現状とその問題点,日本への含意等についての検討を行うこととする.
著者
折田 明子 田代 光輝 吉川 厚 江口 清貴
雑誌
研究報告電子化知的財産・社会基盤(EIP) (ISSN:21888647)
巻号頁・発行日
vol.2016-EIP-72, no.12, pp.1-6, 2016-05-26

無料通話アプリである LINE は,若年層ほど利用の頻度が高く,日常的なコミュニケーションツールとして利用されている.一方で,いじめや誘い出しといった事件において LINE との関わりが報道されることもあり,若年の利用者当事者の立場や視点に立ったリテラシー教育には難しさもあった.本発表では,LINE 株式会社と共同制作したマンガ教材の作成ならびに中学校での実践について報告する.
著者
板倉 陽一郎 寺田 麻佑
雑誌
研究報告電子化知的財産・社会基盤(EIP) (ISSN:21888647)
巻号頁・発行日
vol.2022-EIP-96, no.8, pp.1-6, 2022-06-02

欧州・米国間では,個人データの移転のために,欧州の十分性認定制度を前提としつつも,セーフハーバースキーム,プライバシーシールドが採用されてきたが,それぞれ,欧州司法裁判所によって無効とされてきた(SchremsI,SchremsII).プライバシーシールドに対する十分性認定が無効となったのちの,欧米間の個人データ移転のための交渉は表面化していなかったが,2022 年に入り,新たな大西洋横断データプライバシー・フレームワーク(Trans-Atlantic Data Privacy Framework)が検討されていることが公表された.本発表では,同フレームワークについて,現状と課題を述べる.
著者
加藤 尚徳 森田 朗 鈴木 正朝 村上 陽亮
雑誌
研究報告電子化知的財産・社会基盤(EIP) (ISSN:21888647)
巻号頁・発行日
vol.2021-EIP-92, no.1, pp.1-6, 2021-05-31

2021 年 2 月 1日,欧州委員会は "Assessment of the EU Member States' rules on health data in the light of GDPR" を公開した.これは,GDPR におけるヘルスケアデータについて,加盟各国の国内法の整備をはじめとした影響評価について調査されたものである.EU 加盟国間で起こりうる相違点を調査し,医療,研究,イノベーション,政策決定を目的とした EU における保健データの国境を越えた交換に影響を及ぼす可能性のある要素を特定することを目的としている.本稿では,この影響評価について EU 域内においてヘルスケアデータ活用のためどのような法制度の整備がなされているか分析する.その上で,我が国におけるヘルスケアデータ活用のために必要な法制度について検討する.
著者
加藤 尚徳 森田 朗 鈴木 正朝 村上 陽亮
雑誌
研究報告電子化知的財産・社会基盤(EIP) (ISSN:21888647)
巻号頁・発行日
vol.2022-EIP-96, no.16, pp.1-4, 2022-06-02

2021 年 2 月 1 日,欧州委員会は "Assessment of the EU Member States' rules on health data in the light of GDPR" を公開した.これは,GDPR におけるヘルスケアデータについて,加盟各国の国内法の整備をはじめとした影響評価について調査されたものである.EU 加盟国間で起こりうる相違点を調査し,医療,研究,イノベーション,政策決定を目的とした EU における保健データの国境を越えた交換に影響を及ぼす可能性のある要素を特定することを目的としている.本稿では,この影響評価におけるデータ主体の権利を中心に概観する.
著者
金子 啓子 原田 要之助
雑誌
研究報告電子化知的財産・社会基盤(EIP) (ISSN:21888647)
巻号頁・発行日
vol.2018-EIP-79, no.7, pp.1-10, 2018-02-09

情報システム部門は,情報セキュリティだけではなく,現実の運用やコストダウンの要求への対応,新たなシステムの企画 ・ 開発 ・ 導入など,様々な要請を解決する立場にあり,必ずしも情報セキュリティが優先されるわけではない.権限分離を考えると,情報セキュリティの社内ガバナンスは情報システム部門とは異なる別の部門が担当するべきかもしれないが,情報システム部門との緊張関係も生じ,リソースやスキル上の重複という課題もある.この論文では,情報セキュリティ大学院大学原田研究室のアンケート結果の分析等により,CISO を始めとした情報セキュリティガバナンス体制の現状と課題を分析し,あるべき体制を考察する.
著者
佐藤 将也 谷口 秀夫 仲村 亮祐
雑誌
研究報告電子化知的財産・社会基盤(EIP) (ISSN:21888647)
巻号頁・発行日
vol.2020-EIP-89, no.9, pp.1-6, 2020-09-03

仮想計算機で動作するオペレーティングシステム(ゲストOS)のセキュリティを向上させるために,仮想計算機モニタがハードウェアブレークポイントの設定によりゲスト OS の動作を監視する手法(ゲスト OS 動作監視手法)がある.しかし,デバッグレジスタはゲスト OS から読み書き可能である.このため,悪意のあるプログラムは,デバッグレジスタを読み書きすることで,ゲスト OS 動作監視手法を検知または無効化できる.そこで本稿では,ゲスト OS によるデバッグレジスタの読み出しと書き込みの隠蔽手法を述べる.提案手法は,ゲスト OS によるデバッグレジスタの読み出しと書き込みを仮想計算機モニタにより検知し,読み出しと書き込みが成功したようにゲスト OS に見せる.これにより,ゲスト OS 動作監視手法の検知や無効化を防止する.また,性能評価により提案手法がゲスト OS の性能へ与える影響を示す.
著者
板倉 陽一郎 寺田 麻佑
雑誌
研究報告電子化知的財産・社会基盤(EIP) (ISSN:21888647)
巻号頁・発行日
vol.2016-EIP-71, no.2, pp.1-6, 2016-02-12

行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律 (平成 25 年法律第 27 号) においては特定個人情報の提供が制限されている (法 19 条柱書).番号利用法は行政法規の一種であるため,本条項の違反において主観面は問題にならないことが原則であるが,特定個人情報には個人番号それ自体が含まれるとされており,文字通り解釈すれば,ランダムな 12 桁の数字を述べるだけでも違法になり,12 桁の数字をすべて読み上げると膨大な違法行為をすることになる.そのような解釈はあまりにも現実離れしたものであるが,主観面の要件がない中で,どこまで違法性に制限を設けることが出来るか,考察する.
著者
本田 正美
雑誌
研究報告電子化知的財産・社会基盤(EIP) (ISSN:21888647)
巻号頁・発行日
vol.2015-EIP-68, no.13, pp.1-6, 2015-05-22

選挙期間中のインターネットの利用は,公職選挙法で定めるところの選挙期間中の文書図画の使用制限に抵触するとして,これまでは禁止されてきた.しかし,2013 年の公職選挙法改正により,選挙期間中のインターネットの利用が認められ,例えば,候補者が選挙期間中に自身のWebサイトを更新することや電子メールを利用した選挙運動も行うことが出来るようになった.ところで,公職選挙法では,選挙運動は選挙期間中にしか行えないとされている.選挙運動とは,特定に選挙において特定の候補者への投票や非投票を促す行為を指し,広く政治的な運動全般を指す政治活動にも包含されている.選挙期間以外で選挙運動を行うと,事前運動として取り締まりの対象とされていたのである.本研究は,2013 年のネット選挙の解禁後の選挙運動のあり方を見ることで,ネット選挙の解禁に結実した情報技術の浸透が公職選挙法の想定するところの政治活動と選挙運動の区別という枠組みを融解させたことを明らかにする.この作業を通して,日本の選挙制度について再考の必要性があることにつき議論を行いたい.
著者
須川 賢洋
雑誌
研究報告電子化知的財産・社会基盤(EIP) (ISSN:21888647)
巻号頁・発行日
vol.2017-EIP-78, no.20, pp.1-6, 2017-11-22

他人の無線 LAN アクセスポイントを踏み台としてネットワーク犯罪が行われることが大きな問題となっている.東京地判 H 29.4.27 では,WEP キーを解読し他人のアクセスポイントに接続しただけでは電波法違反とはならないとの判断がなされた.本稿はこのような場合における不正アクセス禁止法等の諸法の可能性について考察する
著者
神橋 基博 原田 要之助
雑誌
研究報告電子化知的財産・社会基盤(EIP) (ISSN:21888647)
巻号頁・発行日
vol.2017-EIP-75, no.13, pp.1-8, 2017-02-10

IT マネジメントに関する代表的なガイドラインとして 「金融機関等のシステム監査指針」,「システム管理基準」,「情報セキュリティ管理基準」 がある.これらのガイドラインが ISO / IEC 38500 の EDM モデルと,どの程度関連しているかを分析するため,テキストマイニングを用いて関連性を定量的に評価し,企業がこれらのガイドラインを使用して IT ガバナンスを構築 ・ 運用する際にチェックポイントの追加が必要となる領域を提言する.
著者
吉見 憲二
雑誌
研究報告電子化知的財産・社会基盤(EIP) (ISSN:21888647)
巻号頁・発行日
vol.2016-EIP-72, no.10, pp.1-5, 2016-05-26

一部の人気スポーツを除いて,地域のプロスポーツチームでは経営や集客に苦労している現状がある.しかしながら,大口のスポンサーの維持・獲得は容易ではなく,少ない予算や人員での広報活動を余儀なくされているチームも少なくない.こうした状況ではソーシャルメディアの活用に対する期待も大きいが,現状の広報においてどの程度ソーシャルメディアが活用されているかについてまとまった調査・研究があるわけではない.本研究では,主にプロサッカーの下部リーグを対象に,各チームのソーシャルメディア利用の現状を把握するとともに,その活用上の課題について明らかにすることを目的とする.
著者
齋藤 歩記 小林 和人 平塚 三好
雑誌
研究報告電子化知的財産・社会基盤(EIP) (ISSN:21888647)
巻号頁・発行日
vol.2016-EIP-73, no.8, pp.1-4, 2016-08-26

近年深層学習 (ディープラーニング) の飛躍的な進歩により,人工知能 (AI) が日常生活の様々な場面で応用され始めている.一方で,これまで自然人の領分とされてきた創作活動をAIが行うようになり,それによる創作物の保護についても注目が集まっている.本研究においては,政府の検討委員会による見解を参考に,人工知能 (AI) が主体となって発明を行った場合についての発明の保護の在り方について検討する.特に AI の本質的な機能と役割,自然人と AI との関わりといった点に注目し,議論を行う.
著者
長門 正貢 小林 和人 阿部 仁 安高 史郎 平塚 三好
雑誌
研究報告電子化知的財産・社会基盤(EIP) (ISSN:21888647)
巻号頁・発行日
vol.2015-EIP-69, no.18, pp.1-7, 2015-09-03

人工知能の研究が加速しており,人類の暮らしを革新的に変化させる日が近づいている.今後多くの企業が,人工知能を用いた事業展開を図るのではないかと考える.ソフトフェアがソフトフェアを,機械が機械を製造・発明する時代となっていくと予測する.世間では 「シンギュラリティ (技術的特異点)」 と呼ばれており,未来学者であるレイ・カーツワイルさん等が,コンピュータ技術や生命科学などの進歩・発展により 2045 年頃に,これまでの世界とは全く異なる世界がやってくると予測している.反対に,理論物理学者のスティーブン・ホーキング博士等はやがて全ての人間の雇用を奪うのではないかと警鐘を鳴らしている.そのような時代になった際,現在の知的財産権法では対処しきれない問題が浮かびあがる.過去の事例と未来の予測を軸にし,自然人以外が発明を行なったら知的財産権はどこに帰属されるのかなどに焦点をあて,研究を進めている.