著者
髙橋 佑太 稲村 浩 中村 嘉隆
雑誌
研究報告モバイルコンピューティングとパーベイシブシステム(MBL) (ISSN:21888817)
巻号頁・発行日
vol.2020-MBL-97, no.4, pp.1-9, 2020-11-17

Low-rate DDoS 攻撃は短いオンオフパルスを用いて,TCP/IP プロトコルやルーティングキュー管理機構の脆弱性を悪用することによって,低い平均通信量で TCP リンクの品質を低下させる.最も古典的な RTO ベースの LDDoS 攻撃(別名:Shrew 攻撃)における攻撃パルスの送信レートの理想値は標的ボトルネックリンクの帯域幅以上の値であり,攻撃者が適切な大きさの送信レートを設定できることが前提となっている.しかし,現実において攻撃者が常に標的ボトルネックリンクの帯域幅を把握しているとは限らない.本稿では,限定的な攻撃シナリオのもとで,帯域幅とバッファサイズが未知のボトルネックリンクに対する Low-rate Shrew DDoS 攻撃の実行戦略を提案する.提案する攻撃戦略は,標的ネットワーク内にボットノードを構築することで攻撃効果を推定しながら,探索的にパルスレートを増加することによって,攻撃トラフィックをステルスに保ちながら,標的ネットワークに対する特定サービスからの下りトラフィックを目的の品質まで妨害することを目的としている.提案戦略を ns-3 を用いたシミュレーションにより評価した結果,提案戦略を実行することにより,ボトルネックリンクの特性が未知の場合においても,攻撃パルスの送信レートを探索的に決定可能なことを示した.加えて,ボトルネックリンクのバッファサイズを増加することによって,提案戦略はステルス性を損ない,既存のフラッド型 DDoS 攻撃の検知スキームに発見されるリスクが高まることを示した.
著者
日下部 俊吾 渡邊 大記 近藤 賢郎 寺岡 文男
雑誌
研究報告モバイルコンピューティングとパーベイシブシステム(MBL) (ISSN:21888817)
巻号頁・発行日
vol.2019-MBL-90, no.17, pp.1-6, 2019-02-25

我々は赤外線で高速列車内の Wi-Fi ネットワークに高速インターネット環境を提供する研究を続けている.列車走行時ハンドオーバにより周期的バーストパケットロスが発生する.そこで我々は 2014 年にバーストパケットロスが Streaming Application に与える影響について調査した.その後様々な環境が大きく変化した.トラフィックが増大し通信端末が多様化した.HTTP2 や QUIC 等の新たなプロトコルが台頭しプロトコル環境が変化した.それにより高速列車での Streaming Applicationに要求される通信品質が高まっている.本稿では高速列車でのハンドオーバを模擬したネットワークを構築し Streaming Application の特性を評価した.プラットフォーム毎に周期的バーストパケットロスのパラメータを変更し脆弱性を検証した.各 Streaming Application のプロトコルの違いや特徴を分析した.周期的バーストパケットロスヘの耐性は向上しており実環境でのハンドオーバの中で十分に QoE を満たす.
著者
黒木 琴海 小寺 志保 倉田 成人 濱本 卓司 猿渡 俊介
雑誌
研究報告モバイルコンピューティングとパーベイシブシステム(MBL) (ISSN:21888817)
巻号頁・発行日
vol.2015-MBL-77, no.21, pp.1-8, 2015-11-25

本稿では,現在筆者らが進めている軍艦島モニタリングプロジェクトにおけるタスクスケジューリングについて述べる.軍艦島モニタリングプロジェクトは,現在建築構造物の崩壊が進んでいる軍艦島において映像や音声,加速度データといった建築構造物の崩壊現象のデータを収集し,建築構造解析に貢献することを目的としている.太陽光発電を電源として用いるモニタリングシステムにおいてエネルギーの利用を効率化するため,本稿では DC-LQ (Data Centric LQ-Tracker) と BLT Allocation (Battery Level Task Allocation) の 2 つの手法から構成されるデータ中心型のタスクスケジューリング方式として,BAAD scheduling (BAttery Aware Data centric scheduling) を提案する.シミュレーションによる評価の結果,BAAD scheduling が優れた性能を持っていることがわかった.
著者
大西 健夫 城島 貴弘
雑誌
研究報告モバイルコンピューティングとパーベイシブシステム(MBL) (ISSN:21888817)
巻号頁・発行日
vol.2016-MBL-79, no.26, pp.1-6, 2016-05-19

近年のスマートフォンの普及により、携帯端末において様々なアプリケーションの利用が可能となっている。このようなアプリケーションの多くはモバイルネットワークを介して通信を行っており、市街地や駅などの人口密集地帯においては多数の通信が集中することによる通信品質の劣化が発生する。ネットワーク側では、現状、端末の現在と過去の通信に基づいて通信リソースの割当制御を行っている。ネットワーク側で端末が今後行う通信を予測できれば、より効率的なリソース制御を行い、混雑地における品質劣化の緩和することが可能となると期待される。本稿では、スマートフォンにおける通信の特性を調査し、10 秒程度の近い将来においてスマートフォンが通信を行うか否かを予測するための方式を提案する。
著者
吉田 怜司 菅谷 みどり
雑誌
研究報告モバイルコンピューティングとパーベイシブシステム(MBL) (ISSN:21888817)
巻号頁・発行日
vol.2019-MBL-90, no.13, pp.1-5, 2019-02-25

センサデータを元に人の感情を推定する手法は数多く存在し,心拍や脳波などの生体情報を用いた感情解析が研究されてきた.生体情報を用いた感情推定手法はその精度を計るために,評価主の主観との一致度を求めるのが一般的であるが,そもそも評価主の主観が本心での感情と一致しているという保証がない.そこで,EQ 指標を用いて生体情報を用いた感情推定手法の評価を行った.結果,刺激に対する主観評価の信憑性を表す指標をしての有効性を示すことができた.また,本発表では生体情報を用いた感情推定の応用についても述べる.
著者
遠藤 崇 鈴木 浩 速水 治夫
雑誌
研究報告モバイルコンピューティングとパーベイシブシステム(MBL) (ISSN:21888817)
巻号頁・発行日
vol.2015-MBL-75, no.13, pp.1-4, 2015-05-21

PC のデスクトップにイラストのキャラクターを配置し,画像の連続差し替えや画像周辺のバルーンにセリフを載せて,あたかもそこに喋るキャラクターがいるような感覚を提供するアプリケーションをデスクトップマスコットという.デスクトップマスコットは有志や企業などで開発され,多くは Web でプログラムが公開されている.また,新規にキャラクターを追加できるようになっており,ユーザによるキャラクターデータの追加がよく行われている.しかし,プログラムダウンロードの手間が必要なことや,ユーザが追加したキャラクターデータの評価がデータ作成者へフィードバックされにくいといった問題点があった.そこで著者らはブラウザ上で動作する,キャラクターデータの投稿や共有,評価が可能な Web アプリケーションを開発した.Web アプリケーションとして動作することにより,キャラクターデータの配布に留まらず,フィードバックが可能になった.
著者
Yuka Noda Kazuhiro Imura Hideaki Nakajima Tadashi Okoshi Jin Nakazawa
雑誌
研究報告モバイルコンピューティングとパーベイシブシステム(MBL) (ISSN:21888817)
巻号頁・発行日
vol.2020-MBL-96, no.30, pp.1-8, 2020-09-22

In recent years, there has been an increase in the number of people suffering from bone related health issues. This can be attributed to our sedentary lifestyle, which allows us to go for days without getting adequate sunlight. Exposure to sunlight, or UV radiation is often associated with negative images of skin cancer and sun buns; however, adequate UV exposure is important in creating vitamin D, which plays a key role in maintaining the levels of calcium in our bodies. While many studies point out the benefits of exposure to sunlight, existing researches dealing with behavior change tries to promote sun protection behaviors or tries to prevent people from exposing themselves to UV radiation. This poses an alternate threat of bone related health issues towards those who are not getting enough sunlight. In order to motivate people to continue to get adequate sunlight exposure, we will create an application that provides interventions geared toward one's personality, as well as using context aware notifications to allow for behavior change. This system will employ the use of the OCEAN Model to determine the personality types of the users and will attempt to persuade the user to change their behavior with UIs that are designed specifically for those personality types.
著者
比嘉 健太郎 大村 廉
雑誌
研究報告モバイルコンピューティングとパーベイシブシステム(MBL) (ISSN:21888817)
巻号頁・発行日
vol.2016-MBL-78, no.6, pp.1-6, 2016-02-22

これまで,照明や空調といった設備やシステムにおいて人の検出を行うために様々なセンサが用いられているが,センサ自体が電力を消費することや指向性・検出範囲といった特性を考慮しなければならないという問題がある.本研究ではより低消費電力な人検出センサを開発することを目的として,レクテナ技術をベースにセンサ周囲のノイズを電源およびセンサの入力信号として利用することにより人検出を行うセンサを提案する.本稿では,開発したセンサの出力電圧等の基礎性能を測定し,約 30cm までの範囲において人が居るか居ないかの検出を行えたことを示す.
著者
服部 聖彦 大和田 泰伯 加川 敏規
雑誌
研究報告モバイルコンピューティングとパーベイシブシステム(MBL) (ISSN:21888817)
巻号頁・発行日
vol.2015-MBL-75, no.5, pp.1-4, 2015-05-21

本研究では大規模な災害の発生により,既存の通信インフラ (キャリア通信,公衆 WiFi) が不能になった環境を仮定し,現在地から最寄りの避難場所に移動する避難者の円滑な移動支援に焦点を当てる.具体的には避難者間で携帯端末のすれ違い通信を用いて避難経路情報を交換することにより,ボトムアップ的アプローチで群衆の移動情報を共有がどの程度出来るかを簡易的なシミュレーションにより検証した.シミュレーションでは,(1) 避難箇所の数,(2) 最近傍の避難所以外へ避難する人の割合の 2 つの観点から検証を行った.その結果,最近傍避難所以外の避難場所に避難する人の割合が増えることにより DTN 的な情報運搬が可能になり,結果として全体の経路情報共有率が向上することが明らかになった.
著者
落合 桂一 山本 直樹 濱谷 尚志 深澤 佑介
雑誌
研究報告モバイルコンピューティングとパーベイシブシステム(MBL) (ISSN:21888817)
巻号頁・発行日
vol.2019-MBL-91, no.5, pp.1-6, 2019-05-16

スマートフォンの利用状況から利用者の状態推定を行う研究が盛んに行われている.従来研究ではカテゴリごとのアプリ利用回数や利用時間などの基本統計量が特徴量として利用されていた.しかしながら,アプリの使用履歴からは基本統計量に限らず,アプリの利用順序やアプリ間の関係性など多様な特徴表現が生成可能であると考えられる.そこで本研究では,深層学習によるアプリ利用ログからの特徴抽出を行い,分類問題により特徴抽出の有効性を評価する.深層学習モデルとして LSTM や Graph Convolutional Networks など複数のモデルを検証する.
著者
福島 悠太 三浦 太樹 濱谷 尚志 山口 弘純 東野 輝夫
雑誌
研究報告モバイルコンピューティングとパーベイシブシステム(MBL) (ISSN:21888817)
巻号頁・発行日
vol.2017-MBL-85, no.25, pp.1-8, 2017-11-08

無線センサーネットワークにおいて,センサーに付随するマイコンの高機能化 ・ 省電力化が進めば,従来クラウドで行っていた学習や異常検出,判定などのタスク処理をセンサーネットワークにオフローディングし,データ発生場所に近い場所でそれらを効率よく行える自律的な知能センサーネットワークが実現できる.本研究では CNN を対象に,ローカルな無線センサーネットワーク内で分散実行する新しいアーキテクチャを提案し,そのための分散実行プロトコルならびにアルゴリズムを提案する.提案手法はメッシュ型の無線センサーネットワークが面的かつ定期的に取得するデータを対象とし,センサーノードに深層学習におけるユニットの役割を割り当てる.提案手法の有効性を評価するため,1,400 m² 超の実ラウンジスペースの 50 地点の温度データを用いて,通常の CNN による学習と提案手法による分散学習におけるデータ通信量と学習精度の比較を行った.その結果,十分妥当な通信量のもとで,通常の CNN と遜色ない学習精度を達成できることがわかった.
著者
中沢 実 鷹箸 孝典 阿部 拓真
雑誌
研究報告モバイルコンピューティングとパーベイシブシステム(MBL) (ISSN:21888817)
巻号頁・発行日
vol.2015-MBL-75, no.14, pp.1-8, 2015-05-21

近年,人の脳活動を読み取る研究の発展は目覚ましい.脳活動を読み取るには脳 (EEG) や機能的磁気共鳴画像法 (fMRI) など,いくつかの方法が存在する.非侵襲的な EEG においては,リアルタイムで利用者の思考や感情,表情の検出や脳波の生データへ容易にアクセスできる製品が世の中に出ている.また,これらの脳波データを用いた工業用製品も徐々にではあるが,登場してきている.そこで,本論文では,既存の基礎研究に基づいて,福祉分野における人の脳活動の活用を現実世界で適用させることを目的とし,利用者が初めて訪れる施設であっても脳波から利用者の意図を読み取り,容易に目的地まで辿り着くシステムの実現を目的とする.
著者
谷村 亮介 廣森 聡仁 梅津 高朗 山口 弘純 東野 輝夫
雑誌
研究報告モバイルコンピューティングとパーベイシブシステム(MBL) (ISSN:21888817)
巻号頁・発行日
vol.2015-MBL-75, no.32, pp.1-8, 2015-05-21

冬季に多量の積雪がみられる積雪都市においては,降積雪が交通流に大きな影響を及ぼしている.路面上に雪が堆積することにより,自動車が道路を走行しにくくなるだけでなく,堆積した雪が道路脇に積み上げられることで道路の幅員が狭くなるため,その道路の交通容量は大きく低下する.降積雪が道路交通に与える影響の把握は,積雪都市における交通計画管理上重要な課題である.本研究では,世界有数の積雪都市である札幌市において,ブローブカーデータから得られる道路交通情報,及び降雪量や積雪量などの気象データを収集し,これらのデータを重回帰分析によって分析することで,気象条件の変化に伴う道路交通速度の変動を推定するモデル式を作成する手法を提案する.札幌市内の実道路上のプローブカーデータを用いて提案手法によるモデル構築を行った結果,重相関係数が 0.844 の重回帰式を作成でき,雪道の交通速度の低下は気象データによってある程度説明可能であることを示した.また,複数の路線を対象にしたモデル構築の結果から,ある路線では積雪量以外にも前日最高気温が速度低下に影響を与えていたのに対し,別の路線では前日日照時間が速度低下要因となることなどがわかった.