著者
進藤 雄三
出版者
日本家族社会学会
雑誌
家族社会学研究 (ISSN:0916328X)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.31-39, 2002-03-31 (Released:2010-11-18)
参考文献数
39

医療社会学からみた人間と家族というテーマのもとに, 1) 「医療化」という概念を基軸に, 人間・医療・家族との関係の現代的位相を整理し, 2) 家族社会学と医療社会学という2つの知識領域の近年における動向をポストモダン論と関連づけて概括し, 3) 双方の領域にとって戦略的に重要と思われる「個人化」と「臨床」という2つのトピックについて考察する。
著者
進藤 雄三
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.401-412, 2004-03-31 (Released:2009-10-19)
参考文献数
43

本稿の課題は, 現代社会における「個人化」現象が「医療」領域においてどのように顕現しているのか, そしてそれがいかなる社会学的含意を持っているのかを暫定的に素描するところにある.この目的にそって, (1) まず「個人化」概念の意味を確認し, (2) 次に「医療」領域においてそれが具体的にどのように現れてきているのかを, インフォームド・コンセントと自己決定医療, 遺伝学のインパクトという2つのトピックを素材に例証した上で, (3) それを「個人化」の2つの側面-選択と強制-と関連づけて整理し, (4) 最後に医療における「個人化」がいかなる社会学的含意を持つのかを検討する.「個人化」概念は「近代化」概念と切り離しがたく結びついて理解されてきた.現代において再度「個人化」が「問題」としてクローズァップされてきた背景はどこにあり, 古典的近代と現代における「個人化」はいかなる意味において質的に異なるといいうるのか, その問いに対する回答の一端を現代の「医療」状況において浮き彫りにすること, それが本稿のねらいである.