著者
山崎 正勝 雀部 晶 日野川 静枝 管 耕作 道下 敏則 藤村 淳
出版者
東京工業大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1984

1.史料収集:米国立公文書館等より市販されている原爆開発関係資料については、基本的に入手を終えた。主なものは、MED、ハリソン-バンディ、トップ・シークレット各ファイル、AEC関係資料、スチムリン日記などである。またブッシュ・コナント・ファイルの一部は、ゼロックス複写を得た。シカゴ治金研究所、ロスアラモス研究所関係の技術報告書の写しについても、重要資料については入手した。企業関係のものは、入手上の制約のため、デュポン社関係の一部を入手したに止まった。米国以外のものは、上記資料に含まれているものの他に、英国、日本における技術資料の一部を入手した。2.史料分析:爆弾構想の起源とその成立条件は、U、Pu爆弾についてほぼ全面的に明らかにされた。また、これと政策決定との相関についても明確となった。研究開発方式の選択・決定における軍の介入と科学者側との齟齬の問題については、その一部が明らかにされた。研究開発の諸側面については、軍事的要請が技術的変型を生んだ点がとくに注目され、平時では現実しない技術体系が、ウラン電磁分離法、プルトニウム分離における沈澱法、大型ウラン爆弾、大型インプロージョン装置などの採用と開発として、実現化したことが示された。投下目標については、政策決定者レベルでは、43年末まではドイツと日本が並列的に設定され、44年に、ドイツでの原爆開発が未完であることの察知と前後して、対日投下に一元化されたことが明らかにされた。また、投下の事前予測は相当正確になされたものの、その目的が実験と実戦使用における味方人員の安全確保におかれたため、不完全に終ったことが示された。科学者の動員、対応については、科学者がいくつかの階層構造を持つ点から分析が行われた。
著者
道下 敏則 髙橋 輝雄
出版者
京都大学大学院人間・環境学研究科
雑誌
人間・環境学 (ISSN:09182829)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.1-15, 2018

この論文で、可搬型で自立型の小型フ―コーの振り子が理想的な振る舞いを実現する新しい方法が記述される。振り子の回転角の位相とその角作用に対する二次元の摂動ハミルトン方程式の解析結果から、フーコーの振り子はフーコーの回転時間以上にわたり平均化された角作用がゼロとなる場合に理想的な振舞いを呈することが新たに予測された。これは、角作用の詳細な観測実験によって、充分に実証された。フーコーの回転速度自身は緯度に依存するが、開発された装置で異なる緯度における観測結果から、理想的フーコーの回転を実現する制御パラメーターの最適化条件自身は緯度依存性がない事が確認された。さらに、制御用パラメーターに依存して、振り子の回転のリミットサイクル運動や位相のロッキング現象も観測された。これらの現象の発生条件は、アドラー方程式を用いて検討された。