著者
遠藤 美智子 中島 滋 中村 宗一郎
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 59回大会(2007年)
巻号頁・発行日
pp.228, 2007 (Released:2008-02-26)

<目的>高齢社会が進む日本と韓国において,近年,欧米化に伴うメタボリックシンドロームの発症率増加が懸念されている。そのため,健康長寿社会の構築を目指した調査が積極的に行われている。両国は同じ海を共有することから日常的に食べる食材も共通することが多いと考えられる。しかし,日本の平均寿命は男女平均82歳であるのに対し,韓国は77歳である。この差異には食べ方や調理法の違いが関連していると考えられる。そこで本研究では,日本と韓国で公表されている最新の国民健康・栄養調査結果をもとに両国の「食」の現状の比較を試みた。 <方法>日本及び韓国で公表されている最新の国民健康・栄養調査の結果(日本2004年,韓国2005年)をもとに,両国の食品群別摂取量および栄養素等摂取量の比較検討を行った。 <結果及び考察>両国の食品群別摂取状態の特長として,日本ではきのこ類,海藻類,乳類,調味料・香辛料類及び嗜好飲料類の摂取量が高く,韓国では種実類,野菜類及び肉類が高いことがわかった。また,日本の調査項目にある補助栄養素・特定保健用食品が韓国では調査対象ではなく,この項目が日本の食生活の中で重要視されていることが示唆された。栄養素等摂取量を比較したところ,韓国ではエネルギー源である炭水化物の摂取量が高く,日本では脂肪摂取量が高いことがわかった。韓国では日本より肥満の出現頻度が高い。この要因として,この炭水化物摂取量の高さが示唆された。ビタミン類では,両国を通じて,VA,VB群およびVC摂取量が高いことが示された。食物繊維では日本は韓国の2倍量近くを摂取しており,一方,ミネラル類では全体的に韓国が高いことが明らかになった。
著者
遠藤 美智子 松岡 孝
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.192-199, 2011 (Released:2011-04-22)
参考文献数
21

食酢は食後血糖値の上昇を抑制すると言われている.一方,食後血糖曲線は同一食品をほぼ同一条件で摂取しても個人差が非常に大きい.そこで健常な21歳の女子大学生13名を対象に,糖質を50 gに統一した検査食に食酢を組合せ,簡易型自己血糖測定器で食後の血糖値を経時的に測定し,個人別に食酢の食後血糖上昇抑制効果を検討した.炭水化物単独で摂取するより食酢を組み合わせた方が,食後血糖値の上昇は抑制された.米飯摂取後の血糖上昇曲線下面積で順位づけし,2分割とした下位の群を血糖低上昇群,上位の群を血糖高上昇群に分け検討した.血糖低上昇群では食酢の効果は軽度であったが,血糖高上昇群では食酢摂取後の血糖値は有意に低下した.また,食酢の食後血糖上昇抑制効果は10 mlでも認められるが,20 mlの方がより効果的であった.血糖高上昇群に食酢の効果が認められたことから,耐糖能異常に対して食酢が有効である可能性が示唆された.