著者
郭 洋 齋藤 美穂 男座 慶一 時澤 健 永島 計
出版者
一般社団法人日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.15-26, 2013-01-01

本研究は色光が手掌冷水刺激における生理的・心理的反応に与える影響を検討した.実験は,20代女子大学生10人を被験者として,白,青,赤それぞれの色光環境で被験者の左手掌を15℃の水に3分間つけさせて冷水刺激を与えた.実験中は被験者の皮膚温,皮膚血流,血圧,心拍などの生理的指標を継続的に計測した.また,3色の色光に対する印象,実験時の気分,温度感覚,寒冷による不快感および体温回復の主観的な感覚などの心理的指標をSD法およびPOMSにより計測した.生理的指標の測定結果から,青の色光環境において,冷水刺激により低下した皮膚温の回復がより速く,冷却側の皮膚血管の収縮が軽減され,皮膚血流量の回復が早いことが明らかとなった.心理的指標の測定結果から,3色の色光の軽快感や寒暖感における印象に差が見られた.また,色光により,実験中の気分および温度感覚が異なることが示された.具体的には,冷たい色と評価された青は寒冷による不快感を増強し,心理的覚醒を喚起する一方,暖かい色と評価された赤は寒冷による心理的不快感を軽減した.本研究で青の色光に特徴として見られた心理的覚醒は,皮膚交感神経活動の低下に関連すると考える.本研究の結果は色光は認知過程を通して,気分と温度感覚を変化させ,自律性体温調節反応にも影響を及ぼすことを示唆した.
著者
五十嵐 暁郎 高原 明生 太田 宏 我部 政明 古関 彰一 佐々木 寛 余 照彦 郭 洋春
出版者
立教大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

本年度は、昨年度までの研究を継続するとともに、最終年度にあたり研究の集約と研究書および研究雑誌への論文掲載、また研究集会などにおける報告を主目的とした。各メンバーが執筆した論文については下記のリストを参照されたい。共同研究の成果は立教大学の平和・コミュニティ研究機構が出版している叢書、計3巻での執筆である。各巻の主題は、「コミュニティと平和」「移動するアジア」「ローカル・コミュニティにおける平和政策」であり、2007年度前半の刊行にむけて順調に進捗している。また、シュラーズと五十嵐は、環境問題と女性の政治参加について国会や全国の自治体の女性議員にインタビューを重ねてきた。その成果は日英両語で刊行する予定である。これらの研究にも表れているように、本研究ではグローバリゼーションの影響下における包括的安全保障の諸問題、その理論と実践を研究対象とするとともに、実践の主体として「市民」を想定しているが特徴である。すなわち、ローカルからリージョナル、グローバルの各レベルのコミュニティにおける包括的安全保障の諸問題に取り組むのは、コスモポリタンな価値観を共有し、それらを実現しようとする人々であり、NGOや自治体であるという観点からこの研究を行なってきた。市民の立場からする包括的安全保障の理論構築と実践の分析が、本研究に一貫した視点であった。