著者
時澤 健
出版者
独立行政法人労働安全衛生総合研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、比較的安価な温度ロガーを用いて、日常生活の支障とならない末梢(手首)の皮膚温を測定することで、児童の生活リズムの評価を試みた。1日の変動は、就床前後にすみやかに上昇し、就寝中に高く、起床後すみやかに低下した。温度ロガーによる起床・就床時刻の算出結果と、行動ロガーによる算出結果に高い相関がみられた。児童を対象とした簡便で安価な生活リズム評価システムを構築できる可能性を示した。
著者
時澤 健 岡 龍雄 安田 彰典 田井 鉄男 ソン スヨン 澤田 晋一
出版者
独立行政法人 労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所
雑誌
労働安全衛生研究 (ISSN:18826822)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.79-82, 2015-09-30 (Released:2015-10-08)
参考文献数
11
被引用文献数
3 1

暑熱環境における作業は体温上昇をまねき,熱中症の発症を誘発する.作業中には身体冷却の方法が制限されることや,作業による筋活動の熱産生を抑えることは難しいことから,作業前や休憩中に身体冷却を行い,体温を低下させておくことが重要となる.我々は,労働現場で実施することが可能な実用的で簡便な方法による身体冷却について最近研究を行ってきた.従来,実験的な身体冷却方法は冷水への全身浸漬であり,大量の冷やした水とバスタブが必要であった.これは少数人に施す前提で大きな装置を必要とし,身体への寒冷ストレスが大きいというデメリットがあった.したがって,労働現場において多くの作業者が限られたスペースで実施でき,さらに寒冷ストレスがマイルドな身体冷却方法を考案する必要があった.本文では,扇風機とスプレー,少量の水による手足の浸漬とクールベストの着用の組み合わせによる身体冷却方法が,深部体温をどの程度減少させ,作業中の暑熱負担を軽減させるかについて我々の研究成果を中心に述べる.
著者
郭 洋 齋藤 美穂 男座 慶一 時澤 健 永島 計
出版者
一般社団法人日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.15-26, 2013-01-01

本研究は色光が手掌冷水刺激における生理的・心理的反応に与える影響を検討した.実験は,20代女子大学生10人を被験者として,白,青,赤それぞれの色光環境で被験者の左手掌を15℃の水に3分間つけさせて冷水刺激を与えた.実験中は被験者の皮膚温,皮膚血流,血圧,心拍などの生理的指標を継続的に計測した.また,3色の色光に対する印象,実験時の気分,温度感覚,寒冷による不快感および体温回復の主観的な感覚などの心理的指標をSD法およびPOMSにより計測した.生理的指標の測定結果から,青の色光環境において,冷水刺激により低下した皮膚温の回復がより速く,冷却側の皮膚血管の収縮が軽減され,皮膚血流量の回復が早いことが明らかとなった.心理的指標の測定結果から,3色の色光の軽快感や寒暖感における印象に差が見られた.また,色光により,実験中の気分および温度感覚が異なることが示された.具体的には,冷たい色と評価された青は寒冷による不快感を増強し,心理的覚醒を喚起する一方,暖かい色と評価された赤は寒冷による心理的不快感を軽減した.本研究で青の色光に特徴として見られた心理的覚醒は,皮膚交感神経活動の低下に関連すると考える.本研究の結果は色光は認知過程を通して,気分と温度感覚を変化させ,自律性体温調節反応にも影響を及ぼすことを示唆した.