著者
若田 忠之 齋藤 美穂
出版者
Japan Society of Kansei Engineering
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18845258)
巻号頁・発行日
vol.13, no.5, pp.591-601, 2014 (Released:2014-12-26)
参考文献数
24
被引用文献数
5 3

Classification of fragrances has not accepted widely, because the range of stimuli was very wide and words of evaluation were a little. This study picked up essential oils, and selected words from prior questionnaire. Purpose of this study was to classify fragrances by psychological method. This study consisted of 2 experiments, A and B. The same materials and procedures were used in both experiments. Subjects were asked to evaluate fragrances by SD(semantic differential) method. In experiment A, a total of 220 subjects were joined and 15 pair words were used. In experiment B, 75 subjects were joined and 18 pair words were used. Cluster analysis and Factor analysis were used for analyzing the data. As a result, in both experiments, 11 clusters and 3 factors were observed, and clusters of citrus fragrances were showed. The factor of “Pleasantness” was showed in the first factor. This factor was common both experiments.
著者
山田 雅子 齋藤 美穂
出版者
一般社団法人日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.73-85, 2004-06-01
参考文献数
9
被引用文献数
8

顔から性別を判断する際、最も有用な手がかりとなるのは形態的情報である(Bruce et al.,1993)。本研究は肌色や唇色といった色彩にも同様にその判断を左右する効果があるということを明らかにした。第一実験においては性別が曖昧な2種の線画(男性平均顔・男女平均顔)を用い、各々2タイプの肌色(色白・色黒)、2タイプの唇色(唇色なし・薄紅)を設けた。139名の被験者には各刺激に対する性別判断と丸みの判断を課した。その結束、男女平均顔においては色白肌が女性判断を促し、更に、肌色が明るい場合には有意に丸みの判断が高まることが分かった。更に第二実験ではコンピュータで合成された顔3種を素材とし、男性-女性、色黒-色白の2軸について0から100の数字による評定を課した。各パタンにっき5段階の明度レベル、2段階の唇色パタンを設け刺激として準備した。肌の色が明るく感知された場合には、同じ造作であってもより女性的に捉えられる傾向が得られた。また女性的形態が伴う場合には肌色の評価が明るい方向に有意に偏る傾向が得られた。つまり、主観的に判断される性別と明度とは不可分の関係にあり、物理的に等価であっても付帯する色情報及び形態情報によって両者は強く支配されていると言い得る。
著者
益子 行弘 齋藤 美穂
出版者
Japan Society of Kansei Engineering
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18845258)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.483-490, 2012 (Released:2012-06-12)
参考文献数
22
被引用文献数
1

The relationship between expressions of a class teacher on the class atmosphere was investigated. First, the frequency a teacher showing six basic expressions was assessed. Secondly, the atmosphere of the class was evaluated and factors that composed class atmosphere were subjected to factor analysis, which indicated that class atmosphere consisted of Unity, Friendly, and strict Factors. A model how expressions of a teacher affected the atmosphere of a class was developed using Covariance Structures Analysis (CSA). The results indicated that the expressions of a teacher had a significant effect on class atmosphere.
著者
横井 梓 齋藤 美穂
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.78, no.683, pp.1-7, 2013-01-30 (Released:2013-05-30)
参考文献数
10
被引用文献数
6 3

The purpose of this study is to show the peculiarity of mood and impression evaluation in the VR system for the simulation of a residential environment using a large screen. We conducted a psychological evaluation for a virtual space and real room using the SD method and found that the VR space brought a pleasant mood, but the first experience of a virtual space caused a nervous condition. Moreover, it was difficult for them to acquire a fresh feeling as well as a sense of width and depth in a virtual space, in contrast to a real space. Furthermore, it was easier to express beauty, simplicity and youthfulness, but more difficult to express warmth and individuality in a virtual space.
著者
三浦 久美子 堀部 奈都香 齋藤 美穂
出版者
一般社団法人日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.74-84, 2008-06-01
被引用文献数
4

本研究では、色彩の持つ印象及び気分の作用を整理し、色彩に対する調和香を検討することを目的とした。実験は、100名(男性42名/女性58名)の対象者に、18色のカラーカード(3トーン、5色相の有彩色及び3色の無彩色)の印象評定(SD法)及び気分評定を課すと同時に、各色彩に対する8種の香り(シナモン、ペパーミント、バニラ、ローズマリー、レモン、アニス、ペッパー、 ローズ)の調和度を評定させる(4件法)という手続きによって行われた。色彩の印象評定及び気分評定、各々の結果に対しクラスタ分析を施し、18色を分類した結果PALE系(ペールピンク、ペールイエローなど)、COOL系(ペールスカイ、ビビッドグリーンなど)、VIVID系(ビビッドレッド、ビビッドイエロー)、DARK系(ダークレッド、オリーブなど)、MONOTONOE系(ダークブルー、ブラックなど)の5クラスタに分類された。これらの各クラスタに対する調和香を検討した。その結果、概して、PALE系にはバニラ、COOL系にはペパーミントやローズマリー、VIVID系にはレモン、DARK系にはシナモンやローズ、MONOTONOE系にはペッパーやアニスが調和する傾向が得られた。
著者
張 粤 齋藤 美穂
出版者
一般社団法人日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.328-337, 2005-12-01
被引用文献数
1

共産主義の政治色としての赤は、今日相変わらず中国の最たるイメージ色であり続けている。本研究は現代の中国人学生の赤のイメージに対する解釈を試みたものである。本研究は中国の北京、武漢、杭州、重慶の4つの地域において、536名の大学生(男性294名, 女性232名)に対し、赤系色票を提示したうえ、赤に対する認識、赤に対する嗜好、赤い物の所有状況、赤からの連想語、日中のイメージ色、色彩に対する態度などに関するアンケート調査を行った。その結果、中国人学生は赤を嗜好する傾向が見られた。彼らにとって、赤は伝統、政治、機能などの意味が込められる色であることが分かり、特に、代々受け継がれてきた伝統の「めでたい」意味が強く赤の嗜好を左右することが分かった。また、文化交流と時代の影響で赤が持つ意味も変化してきていることが示唆された。
著者
齋藤 美穂
出版者
一般社団法人日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.1-10, 1992-05-01
被引用文献数
17

日本における色彩嗜好研究の中で「白」に対する嗜好は近年比較的安定した傾向と考えられている。本研究では, 日本での色彩晴好を, 地理的にも文化的にも近い韓国と比較してみた。調査は東京 (100名) とソウル (99名) の被験者に対し, 同一の65色からなるカラーチャートを呈示し, 好きな色 (嗜好色) と嫌いな色 (嫌悪色) を3色づつ選択すると同時に選択理由も明らかにしてもらうという方法により実施した。選択された色に対しては, 両国の嗜好色と嫌悪色における一般的な嗜好順位を比較し, 色相別・卜ーン別に傾向を検討した。更に両者の嗜好傾向の特徴を明らかにするために双対尺度法 (DUAL-SCALING) による分析を施し, またX^2検定により有意差を検討した。その結果, 「白」や「ビビッドブルー」は両国に共通して好まれるものの, 色相やトーン別に検討した場合, 好みの傾向には交叉文化的な違いがあることが明らかとなった。
著者
野嶋 栄一郎 浅田 匡 齋藤 美穂 向後 千春 魚崎 祐子 岸 俊行 西村 昭治
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

授業中に発現する能動的学習行動が学習促進に及ぼす効果に関する実証的研究をテーマとして、本研究は進められた。この研究は、1)教室授業場面における児童の挙手行動と2)ノートテイキィング、3)テキストへのアンダーライニングおよび4)eラーニングを併用した講義型授業におけるeラーニングの利用の様態についての研究がまとめられている。それらの結果は、以下のようにまとめることができる。1)実際の教室授業場面の観察を通し、児童の挙手行動のメカニズムの検討を行った。その結果、挙手は児童個人の信念だけではなく、児童の授業認知などの学級環境要因によって規定されていることが示された。2)講義におけるノートテイキング行動と事後テスト得点との関連について検討した。講義の情報をキーセンテンスごとに分類し、ノートテイキングされた項目とその量について調べ、授業ごと2週間後に課したテストの得点との関係について分析した。その結果、直後テスト、2週間後のテスト、どちらにおいてもノートテイキング量とテスト得点の間に強い相関が認められた。3)テキストを読みながら学習者が自発的に下線をひく行為が、文章理解に及ぼす影響について章の難易度と読解時間という2要因に着目し、テキストにあらかじめつけておいた下線強調の比較という観点から、実践的に検討した。その結果、テキストの下線強調は、文章の難易度や読解時間の長さにかかわらず、強調部分の再生を高める効果をもつことが示された。4)講義型授業をアーカイブ化したeラーニング教材を、講義型授業に付加する形で用意した。講義型授業を受講した後、アーカイブ化したeラーニング教材がどのように利用されるか検討した。その結果、学習者は学習中の自己評価から授業を再受講する必要性を感じた場合に、授業をeラーニングで再受講することが確認された。
著者
横井 梓 齋藤 美穂
出版者
人間・環境学会
雑誌
人間・環境学会誌 (ISSN:1341500X)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.11-20, 2014

本研究は、大型スクリーンによる立体視およびウォークスルーが可能なバーチャルリアリティ(VR)を使用して作成した提示刺激の心理的特徴を明らかにし、写真やCG刺激との心理評価の比較からVRの有用性を検証することを目的とした。本研究における提示内容は室内空間を設定し、実空間との比較を行った。調査は、SD法による各提示刺激と実空間の印象および気分、空間の特性に関する評価で構成され、調査結果より各提示刺激別の評価の特徴を抽出し、刺激間での比較を行った。その結果、写真は実空間とほぼ同等の印象、気分を与え、「現実感」、「質感」を表現しやすく、さらに実空間よりも暖かい印象を与える可能性がある刺激であることが示唆された。しかし、「奥行き」や「臨場感」を表現するには至らない結果が窺えた。CGは「明るさ」や「冷たい」印象を他刺激よりも与えやすく、実空間と同程度の印象、気分や現実感等を他刺激よりも与えづらい提示刺激であることが示された。一方で、VRは空間内で感じられる気分に関して実空間と同等の気分を与えることが困難であるという結果が得られたが、「上品さ」や「親しみやすさ」、「好感」を与え、「楽しさ」を他刺激よりも多く与える結果を得た。さらにVRは、「現実感」に加え、「臨場感」を表現しやすく、「広さ・高さ・奥行き」といった寸法感を表現することにも長けていることが示された。
著者
三浦 久美子 齋藤 美穂 Kumiko Miura Miho Saito 早稲田大学大学院人間科学研究科 早稲田大学人間科学学術院 Graduate School of Human Sciences Waseda University Faculty of Human Sciences Waseda University
出版者
日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 = Journal of the Color Science Association of Japan (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.256-267, 2007-12-01
参考文献数
15
被引用文献数
5

本研究は、香りの持つ印象及び気分の作用を整理し、香りに対する調和色の法則性の検討を目的とした。実験は、100名(男性42名/女性58名)の対象者に、8種の香り(シナモン、ペパーミント、バニラ、ローズマリー、レモン、アニス、ペッパー、ローズ)の印象評定(SD法)及び気分評定を課すと同時に、18色(3トーン、5色相の有彩色及び3色の無彩色)により構成されたカラーチャートから、調和色及び不調和色をそれぞれ3色まで選択させるという手続きによって行われた。因子分析の結果、香りの印象評定主軸として<MILD>、<CLEAR>、 <DEEP>、気分評定主軸としてはくPLEASANT>、<GLOOMY>、<SERIOUS>の3因子が、各々抽出された。香りに対する調和色は、特に香りの印象との関わりにおいてその法則性を見出すことができた。すなわち、香りが<MILD>な場合は赤や紫、 <CLEAR>な場合は青や緑の色相が調和するとされ、さらに<DEEP>因子が高得点の場合は低明度色、<DEEP>因子が低得点の場合は高明度が調和すると判断される傾向にあることが示唆された。Based on the impression of a fragrance and its effects on the mood of individuals, we studied how individuals associate fragrance with color. One hundred subjects (42 male and 58 female) were randomly assigned eight fragrances (cinnamon, peppermint, vanilla, rosemary, lemon, anise, pepper, and rose) , and were requested to describe the impression (SD method) of fragrances and their effect on the mood. In addition, the subjects were asked to select, two sets of three colors each from color charts consisting of 18 colors (3 tones each from 5 hues and 3 achromatic colors) , such that one set matched a fragrance, and the other did not.The following three factors were obtained by factor analysis for the impression of each fragrance : <MILD>,<CLEAR>, and <DEEP>. The factors for the effect on mood were : <PLEASANT>,<GLOOMY>, and <SERIOUS>. Based on the results, we found the following associations between fragrance and color : red and purple for <MILD> fragrances (high factor score) , blue and green for <CLEAR> fragrances (high score). Moreover, for <DEEP> fragrances, bright color showed a low score, while dark color showed a high score.
著者
後藤 典子 熊坂 聡 三瓶 典子 澤 恩嬉 齋藤 美穂 山上 龍子
出版者
山形短期大学
雑誌
山形短期大学紀要 (ISSN:13477366)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.13-26, 2010-03

はじめに インドネシア・フィリピンとの経済連携協定(EPA)による看護師・介護士を目指す外国人の来日で、看護・介護分野と日本語教育との連携の必要性が認識され始め、介護のための日本語の教科書や補助教材が作成されてきている。本学には、日本の大学に進学するための日本語を学ぶ留学生別科と介護士を養成する人間福祉学科があり、人間福祉学科では今年度から留学生も受け入れることになった。しかし、山形で外国人介護士の教育を行う場合、上記のような教材を利用しても、特に地域語を話す介護保険施設利用者(以下利用者)との会話などは簡単ではないと予想されることから、両学科の教員が連携して、介護のための地域語教材を開発することになった。実際には外国人介護士に対してどのような日本語が話されることになるのかを調査するために、まず利用者と留学生の実際の会話を録音し、その録音資料を基に、どのような方言が使用され、それらは外国人にどのように聞こえ、どのように理解されているかをみることにした。
著者
若田 忠之 齋藤 美穂
出版者
一般社団法人日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.147-158, 2015-07-01

本研究ではPCCSトーンおよび音楽の調性の変化に伴う高音の変化に着目し,それらの調和関係と印象次元における関係を検討することを目的とした.実験1では音楽刺激として2つの曲を8つの調性に変化させた刺激および色刺激としてPCCSトーンを用いた.被験者は刺激の印象評価を行い,音楽刺激に対する調和色の選択を行った.その結果,音楽の高さと色の明度の間に関連が見られた.そこで,実験2では音楽刺激の音域を拡げた上で再度検討を行った.その結果,色と音楽に共通する印象次元として,力量性因子,活動性因子が見られた.力量性は明度および音の高さと,活動性は彩度と対応することが示された.活動性因子と対応する音楽の属性は本研究からは明らかにすることはできなかった.音楽の印象は主に高音の変化に伴っており,これらは与えられた刺激の中で相対的に評価されていることが示唆された.本研究からは,"cross-modal研究においてPCCSトーンは感覚間のイメージをつなぐ表象として用いることができる可能性が示唆された.
著者
齋藤 美穂 野嶋 栄一郎 松居 辰則 石川 真 野嶋 栄一郎 松居 辰則 石川 真
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究では、小学校の一斉授業場面において、教師と生徒のノンバーバルなコミュニケーションの手段であり、また教師のソーシャル・プレゼンスの一要因でもある表情を分析することにより、表情が学級風土に与える影響を検討した。教師の特徴的な表情や表出程度、印象などを多角的に検討した結果、表出される表情や程度は教師によって様々であったが、教師の表出する表情は、教師自身の印象や児童との一体感、学級風土に影響を与えることが明らかとなった。
著者
益子 行弘 萱場 奈津美 齋藤 美穂
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.186-197, 2011-04-15 (Released:2011-07-08)
参考文献数
32
被引用文献数
1

これまで「笑顔」は「喜び」の感情が表出した表情として扱われてきた.しかしながら「笑顔」には「喜び」といったポジティブな感情だけでなく,「苦笑い」などネガティブな感情を示す語も日常的に用いられる.本研究では,日常用いられ,意味の違う5種類の「笑い」語から表出された表情について,表情の変化量とポジティブ度から分類を行った.クラスター分析およびクラスター間に検定を行い,変化量が小さくややネガティブな笑顔,変化量が中程度でポジティブ度も中程度の笑顔,変化量が大きくポジティブ度も大きな笑顔の3つのクラスターを設定した.さらにこれらの特徴を検討するため,運動解析ソフトを用いて顔の各部位の変化量を測定した.その結果,ポジティブ度が高くなるにつれ,眉尻は上がり,目の縦幅は狭くなり,口の縦幅は広くなるが口角の変化は小さくなることがわかった.特に変化の小さな笑顔は,口の変化量に対して眉・目は変化量が小さいため,口元の変化を元に笑顔の度合いが判断される可能性があると考えられる.3種の笑顔の心理的な影響を検討するため,それら笑顔について,人物印象評定を行った.因子分析の結果,[好感度][活力性][支配性][女性らしさ]の4因子まで検討した.変化が大きくなるほど[活力性][支配性][女性らしさ]が高いと評定されるが,[好感度]については変化量が大きくなるほど低くなることが明らかとなった.
著者
齋藤 美穂
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.204-213, 1996-08-26 (Released:2010-07-16)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

Using 176 Japanese and 132 Indonesian university students as subjects, the author investigated the preference for light complexions and the cultural influence on it from the viewpoint of the psychological structure of the aesthetic preference for white. In the first survey, the subjects were asked to choose their preferred colors from a color chart in order to know their general preference for white. In the second survey, the subjects were asked to answer a questionnaire designed to discriminate personal images for the four stimuli of different complexion. The results showed that positive images were associated with a fair complexion in Japan. In Indonesia, on the other hand, the images associated with a fair complexion were rather negative although white itself was highly accepted. Association with images of rareness and scarcity for a fair complexion was, however, common to both countries. This may suggest that the preference for white and whiteness derives from images of something unique and special.
著者
若田 忠之 森谷 春花 齋藤 美穂
出版者
一般社団法人 日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3+, pp.96, 2018-05-01 (Released:2018-07-17)
参考文献数
2
被引用文献数
1

前報であるWakata&Saito(2017)に引き続き,複数の感覚間の関係性に着目したCross-modal 研究における,色(視覚),音楽(聴覚),香り(嗅覚)の3つの感覚に共通する印象次元を抽出し,その印象次元における各感覚の関係性の検討および前報の結果に加えて香り,音楽に対する調和色の傾向と印象との関係性を検討することを目的とした.その結果,色の明るさとあざやかさと対応する印象次元が認められ,特に因子1は明るさ,あざやかさの判断と関連し,その判断が香りと色,音楽と色の感覚間の調和関係に影響を与える傾向が示された.
著者
益子 行弘 萱場 奈津美 齋藤 美穂
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.186-197, 2011-04-15
参考文献数
32
被引用文献数
1

これまで「笑顔」は「喜び」の感情が表出した表情として扱われてきた.しかしながら「笑顔」には「喜び」といったポジティブな感情だけでなく,「苦笑い」などネガティブな感情を示す語も日常的に用いられる.本研究では,日常用いられ,意味の違う5種類の「笑い」語から表出された表情について,表情の変化量とポジティブ度から分類を行った.クラスター分析およびクラスター間に検定を行い,変化量が小さくややネガティブな笑顔,変化量が中程度でポジティブ度も中程度の笑顔,変化量が大きくポジティブ度も大きな笑顔の3つのクラスターを設定した.さらにこれらの特徴を検討するため,運動解析ソフトを用いて顔の各部位の変化量を測定した.その結果,ポジティブ度が高くなるにつれ,眉尻は上がり,目の縦幅は狭くなり,口の縦幅は広くなるが口角の変化は小さくなることがわかった.特に変化の小さな笑顔は,口の変化量に対して眉・目は変化量が小さいため,口元の変化を元に笑顔の度合いが判断される可能性があると考えられる.3種の笑顔の心理的な影響を検討するため,それら笑顔について,人物印象評定を行った.因子分析の結果,[好感度][活力性][支配性][女性らしさ]の4因子まで検討した.変化が大きくなるほど[活力性][支配性][女性らしさ]が高いと評定されるが,[好感度]については変化量が大きくなるほど低くなることが明らかとなった.