著者
酒井 克彦
出版者
中央ロー・ジャーナル編集委員会
雑誌
中央ロー・ジャーナル (ISSN:13496239)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.99-124, 2015-12-20

いわゆる馬券訴訟においては、納税者が勝ち馬券から得られた所得の所得区分が争われている。最高裁判決は刑事訴訟において、かかる所得を雑所得であると判断した。そもそも、所得税基本通達はかような所得を一時所得に該当するものとして通達しており、課税実務においては勝ち馬券に係る所得は一貫して一時所得と取り扱ってきた。しかしながら、およそ日本中のほぼすべての競馬レースの馬券を継続して購入しているような極めて異例のケースについてまでをも果たして一時所得と判断することが妥当であるのかという点は議論の余地がある。そもそも、一時所得に区分されると、直接要した費用の額のみしか控除できないという問題があり、負け馬券の購入代金を所得金額の算定上引くことができないことになる。そこで、上記最高裁判決とは、納税者は一時所得ではなく雑所得に該当すると主張したという事例であった。さらに、東京地裁では類似の事例において一時所得と判断されたことから、注目を集めている。本稿は、上記最高裁の判断を検討し、その判断枠組みの妥当性を論証した上で、さらにその射程範囲について検討を行ったものである。
著者
酒井 克彦
出版者
中央ロー・ジャーナル編集委員会
雑誌
中央ロー・ジャーナル (ISSN:13496239)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.39-61, 2016-03

本稿は、短期前払費用に係る国税庁の通達の取扱いの法的根拠とそこに包含される問題点の分析を通じて、法人税法22条4項にいう「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」のあり方についての検討を行っている。
著者
長坂 将史 酒井 克彦 鈴木 康夫
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集 2010年度精密工学会秋季大会
巻号頁・発行日
pp.177-178, 2010 (Released:2011-03-10)

セミドライ加工が注目される中、一般にドライ加工が行われている鋳鉄品の切削加工にアルカリ電解水を用いたミスト加工を適用することで、鋳鉄品の切削における加工効率や作業環境を悪化させることなく工具寿命の改善を行えないかを検証した。
著者
酒井 克彦
出版者
中央ロー・ジャーナル編集委員会
雑誌
中央ロー・ジャーナル (ISSN:13496239)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.83-102, 2017-06-30

Much litigation has taken place on the scope of salary income. The Decisions reflect two patterns. One pattern involves consideration of labor. The other involves consideration of the employee's position. Matters of labor, by themselves, are insufficient to resolve the question. Employee status also is a crucial factor. As to that, one important factor is whether the worker is subordinate to the company or-alternatively-is not independent of the company. The former focuses on working conditions; the latter is concerned with who bears risks and expenses.
著者
酒井 克彦
出版者
慶應義塾大学大学院法務研究科
雑誌
慶應法学 (ISSN:18800750)
巻号頁・発行日
no.12, pp.1-25, 2009-01

はじめにI 行政手続法の租税行政領域への大幅な適用除外II 行政手続法適用拡張についての検討III 文書回答手続の拡充結びに代えて慶應義塾創立150年記念号下巻論説
著者
酒井 克彦
出版者
中央ロー・ジャーナル編集委員会
雑誌
中央ロー・ジャーナル (ISSN:13496239)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.47-62, 2017-03-31

平成23年に国税通則法が改正され、税務調査手続に関する各種の規定が設けられた。そこでは、修正申告の勧奨をすることができる旨の規定は新設されたものの、その勧奨の在り方に関する規定は存在しない。これまでは、納税者の明確な拒絶に反して繰り返し修正申告を勧めるといったケースなど、法の趣旨を逸脱すると認められる場合に当たらない限り、修正申告の勧奨の違法性が問われることはなかったと思われる。しかしながら、投資者保護あるいは消費者保護法制が想定するような「誤解をさせる行為」や「困惑をさせる行為」は、修正申告の勧奨の場面においても同様にあるのであるから、これらの行為が抑制されるような立法的手当はあり得るのではなかろうか。本稿では、この点についてのルール化を図る必要性について論じている。
著者
鈴木 康夫 酒井 克彦 忠政 明彦 小林 直樹
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
生産加工・工作機械部門講演会 : 生産と加工に関する学術講演会
巻号頁・発行日
vol.2001, no.3, pp.59-60, 2001-11-20
被引用文献数
1

The purpose of this paper is to investigate the potential application of the cutting in the nitrogen atmosphere. In order to clarify the effects of the nitrogen atmosphere, cutting tests were carried out on plain carbon steel S45C with carbide tool. Cutting tests were conducted in the sealed chamber of which the atmosphere was changeable. Nitrogen, argon, carbon dioxide gases and air were used as the atmosphere.
著者
清住 沙代 雨宮 智美 大屋 朋子 多比良 祐子 高柳 奈見 奥井 沙織 馬場 里奈 藤平 弘子 相川 真澄 並木 修司 會田 貴久 酒井 克彦 山崎 喜範 蔵本 千夏 渡邊 裕 外木 守雄 武井 泉 山根 源之
出版者
一般社団法人 日本老年歯科医学会
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.382-386, 2011 (Released:2011-05-25)
参考文献数
18

東京歯科大学市川総合病院 (以下当院) では, 内科, 歯科·口腔外科 (以下当科), 眼科の3科が共同で, 糖尿病患者の状態把握を行う合同調査を開始した。その結果から, 65歳以上の糖尿病患者の口腔衛生状態を調査し, 歯科衛生士がどのように介入すべきか検討を行った。対象は, 平成19年11月から平成20年10月までの1年間に, 当院内科を受診し, 当科の受診に了承された糖尿病患者142名のうち, 65歳以上の有歯顎者43名 (男性20名, 女性23名, 平均年齢69.2歳) とした。診査内容は性別, 年齢, 糖尿病の罹患期間, 網膜症の有無, 糖尿病の治療方法, HbA1c, 歯槽骨吸収程度, 現在歯数, PCR, BOPの10項目である。網膜症は, 糖尿病合併症のうち, 早期に症状が現れるため, 眼科医と協力し診査内容に含めた。今回, これらの診査内容から, 年齢, PCR, BOP, 現在歯数, HbA1cの5項目に着目し検討を行った。年齢とPCR, BOP, 現在歯数の検討を行った結果, 年齢が高い程, PCRとBOPの値は高い傾向を示し, 相関性を認めた。また, 現在歯数は70~74歳で最も多く, 75歳以上では減少傾向を示した。HbA1cとPCR, BOP, 現在歯数の検討を行った結果, 相関性は認められなかった。年齢と口腔衛生状態には相関性が認められ, 糖尿病の病態と口腔衛生状態に相関性は認められなかったことから, 糖尿病罹患の有無にかかわらず, 高齢者の増齢に伴い歯科衛生士による口腔衛生指導が重要であると考えられた。