著者
安念 潤司
出版者
中央ロー・ジャーナル編集委員会
雑誌
中央ロー・ジャーナル = Chuo Law Journal (ISSN:13496239)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.139-167, 2020-12-20

受験界で広く知られる「LRAの基準」について、薬事法違憲判決が述べているところをできるだけ厳密に再構成し、その上で、2012年の司法試験(論文式)の憲法の問題(設問は、筆者が適当に修正した)に適用する手順を解説した。
著者
酒井 克彦
出版者
中央ロー・ジャーナル編集委員会
雑誌
中央ロー・ジャーナル (ISSN:13496239)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.99-124, 2015-12-20

いわゆる馬券訴訟においては、納税者が勝ち馬券から得られた所得の所得区分が争われている。最高裁判決は刑事訴訟において、かかる所得を雑所得であると判断した。そもそも、所得税基本通達はかような所得を一時所得に該当するものとして通達しており、課税実務においては勝ち馬券に係る所得は一貫して一時所得と取り扱ってきた。しかしながら、およそ日本中のほぼすべての競馬レースの馬券を継続して購入しているような極めて異例のケースについてまでをも果たして一時所得と判断することが妥当であるのかという点は議論の余地がある。そもそも、一時所得に区分されると、直接要した費用の額のみしか控除できないという問題があり、負け馬券の購入代金を所得金額の算定上引くことができないことになる。そこで、上記最高裁判決とは、納税者は一時所得ではなく雑所得に該当すると主張したという事例であった。さらに、東京地裁では類似の事例において一時所得と判断されたことから、注目を集めている。本稿は、上記最高裁の判断を検討し、その判断枠組みの妥当性を論証した上で、さらにその射程範囲について検討を行ったものである。
著者
酒井 克彦
出版者
中央ロー・ジャーナル編集委員会
雑誌
中央ロー・ジャーナル (ISSN:13496239)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.39-61, 2016-03

本稿は、短期前払費用に係る国税庁の通達の取扱いの法的根拠とそこに包含される問題点の分析を通じて、法人税法22条4項にいう「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」のあり方についての検討を行っている。
著者
伊藤 知義
出版者
中央ロー・ジャーナル編集委員会
雑誌
中央ロー・ジャーナル (ISSN:13496239)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.3-20, 2019-03-31

According to present Serbian law, a marriage is made between woman and man. Neither same-sex marriages nor legalized same-sex couples (civil unions or registered partnerships) are recognized. The drafting of the new Civil Code, which has taken more than ten years. does not propose legalizing them either. Among the countries that constituted the former Yugoslavia, Slovenia and Croatia have recognized same-sex couples. Serbia, Montenegro, Macedonia, Bosnia, Herzegovina have not. The countries enjoyed wide autonomy in making family law during the existence of the former Yugoslavia, and they maintained different family laws at that time too. Neighboring ex-socialist countries also have different stances. Hungary and Czech accept same-sex couples; Bulgaria, Poland, Romania, and Slovakia do not. What causes the difference in approaches? One possibility is that the more principles of modern society a country accepts, the more tolerance it has toward sexual minorities. For example, western countries as France, Germany, and England—located in the very center of modern law and society—legally recognize both same-sex couples and same-sex marriages. Let us divide European countries into three groups: western, central, and eastern. The western group recognizes same-sex marriage; the central one accepts same-sex couples but does not recognize same-sex marriage; the eastern group recognizes neither. This classification, while useful, is not perfect. For example, Italy—which is located in the western group geographically, historically, and culturally—recognizes only same-sex couples, not same-sex marriage. Poland, which would seem to belong to the central group, does not accept either. Modern elements, therefore, are not sufficient to clarify the situation. Religion is another factor. The deviation of Italy and Poland can be understood in this perspective. The power of the Catholic Church is very strong there. Religion exercises the biggest influence in the eastern group and the smallest in western one. Modern law has the biggest effect in the west, the smallest in the east. Though this is a rough sketch, it is helpful in understanding the strong homophobia in Russia, which is located very far from the birthplace of modern law and in which the impact of the Orthodox Church has been enormous since the collapse of communism. Like Russia, Serbia belongs to the eastern group. Its geographic and historical situation, however, is different. Serbia enacted a civil code as early as in 1844, and it remained in force till 1945, more than hundred years. The Code was under a decisive effect of ABGB and Code Civil, completely distinct from the Russian “Свод Законов Российской Империи” of 1832, which, according to its drafter Сперанский, was only slightly influenced by Roman law. This means that Serbia has a long history of accepting modern civil law. It could be a reason to expect Serbia to have a plan to legalize same-sex couples in the near future. Other reasons are the country’s desire to join the EU as soon as possible and pressure—both external and internal—to follow precedents of the European Court of Human Rights. That court has clearly declared that refusing to legalize same-sex relationships violates the European Convention on Human Rights. These circumstances will inevitably lead Serbia to change its position from the eastern to the central group.
著者
加藤 新太郎
出版者
中央ロー・ジャーナル編集委員会
雑誌
中央ロー・ジャーナル (ISSN:13496239)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.3-28, 2017-06-30

民事訴訟において刑事判決の理由として認定された事実に反する事実を認定することは妨げられない。このことは、裁判の独立、両者の証明度の差異など原理的観点から正当化されるが、民事事実認定と刑事事実認定とが乖離する場合には、相応の論拠が求められる。実際には、刑事訴訟で被告が有罪となった場合には、刑事訴訟の方が民事訴訟よりも事実認定における証明度が高いことから、民事訴訟にも影響が大きく、証拠関係が大きく異なることがなければ同様の事実認定(民事責任も積極)がされることになる。これに対し、刑事訴訟で被告が無罪となった場合には、刑事無罪判決(その事実認定)は、その方向を示す有力な間接事実とされるが、直ちに民事訴訟においても責任なしとなるとは限らない。しかし、民刑それぞれの事実認定は異なっても差し支えないという原理を硬直的に捉えた審理判断であってはならない。個別ケースの当てはめにおける法的吟味・経験則の適用の適否や証拠評価の不徹底に起因するものは論外である。両者で認定・判断が異なり、ひいては結論が生じるケースについて、それが生じる契機となる要因をみつけ、相応の論拠のない乖離を可及的に発生させないようにする解釈論・運用論を確立することが必要である。
著者
安念 潤司
出版者
中央ロー・ジャーナル編集委員会
雑誌
中央ロー・ジャーナル (ISSN:13496239)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.143-172, 2016-09

株式会社が支払う政治資金パーティーの対価のうち、当該パーティーに出席しなかった人数に対応する金額が政治資金規正法4条3項にいう「寄附」に当たるか、という問いに対して、出席の予定がもともとない場合であれ、あるいは、チケット購入時にはあったがその後の事情によって出席できなくなった場合であれ、対価の支払額が同法所定の上限額150万円以内であれば寄附には当たらない、と答えるものである。
著者
安念 潤司
出版者
中央ロー・ジャーナル編集委員会
雑誌
中央ロー・ジャーナル (ISSN:13496239)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.93-118, 2019-03

本稿の中心的な検討対象である伊方3号機広島高裁決定について、先行する裁判例を分析しつつ、その発想の特色を、立証責任の配分という法律家に馴染み深い考え方に沿って説明した。併せて、本決定がいかなる意味で「科学裁判」であるのか、そうであるとして、裁判所の判断能力が当然に劣るといえるか、についても検討した。
著者
安念 潤司
出版者
中央ロー・ジャーナル編集委員会
雑誌
中央ロー・ジャーナル (ISSN:13496239)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.103-123, 2014-12

本邦に在留しない外国人(いわば「在外外国人」)が日本国憲法上の権利を享受するのであろうか、また、享受するとしてどの程度においてなのであろうか。この問題は、マクリーン事件最高裁判決では明示的には触れられなかった。本稿では、外国法人の日本国内における行動が憲法上の保護を受けるのか、という問題を立てて、それを事例問題形式で考察した。解説の行論上、内閣総理大臣の行政各部に対する指揮監督権の意義についても触れた。

1 0 0 0 OA 判例について

著者
金築 誠志
出版者
中央ロー・ジャーナル編集委員会
雑誌
中央ロー・ジャーナル (ISSN:13496239)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.3-37, 2016-03-31

実定法上の判例の意義を念頭に置きながら、結論命題とともに一般的命題も主論となり得ることを明らかにしつつ、主論及び傍論の諸類型、決定方法等について論述する。
著者
安念 潤司
出版者
中央ロー・ジャーナル編集委員会
雑誌
中央ロー・ジャーナル (ISSN:13496239)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.127-146, 2018-12

火山噴火についての基礎的知識を整理した後、伊方原発3号機について火山影響評価がどのようになされたかを概観したもの。
著者
宮原 均
出版者
中央ロー・ジャーナル編集委員会
雑誌
中央ロー・ジャーナル (ISSN:13496239)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.85-101, 2014-12-20

本稿においては、先例拘束の国とされるアメリカにおいても、先例変更がかなり行なわれている点に着目し、その問題点を検討した。まず、先例変更がもたらすメリット・デメリットを指摘し、次に、先例拘束を根拠づける理論がいかに形成されてきたかに関して歴史的にフォローした。「法宣言説」や「議会沈黙論」に触れた後に、社会等の変化に対応するために先例変更も認められるようになってきたが、先例を信頼した当事者に対する不意打ちを避ける必要があることが強く認識されるようになった。そこで、「区別」等による先例への漸進的浸食の意義と将来効判決の必要性を指摘した。
著者
酒井 克彦
出版者
中央ロー・ジャーナル編集委員会
雑誌
中央ロー・ジャーナル (ISSN:13496239)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.47-62, 2017-03-31

平成23年に国税通則法が改正され、税務調査手続に関する各種の規定が設けられた。そこでは、修正申告の勧奨をすることができる旨の規定は新設されたものの、その勧奨の在り方に関する規定は存在しない。これまでは、納税者の明確な拒絶に反して繰り返し修正申告を勧めるといったケースなど、法の趣旨を逸脱すると認められる場合に当たらない限り、修正申告の勧奨の違法性が問われることはなかったと思われる。しかしながら、投資者保護あるいは消費者保護法制が想定するような「誤解をさせる行為」や「困惑をさせる行為」は、修正申告の勧奨の場面においても同様にあるのであるから、これらの行為が抑制されるような立法的手当はあり得るのではなかろうか。本稿では、この点についてのルール化を図る必要性について論じている。
著者
勝野 真人
出版者
中央ロー・ジャーナル編集委員会
雑誌
中央ロー・ジャーナル (ISSN:13496239)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.193-252, 2013-12

行政裁量行為に対する司法審査方式を参考にしつつ,経営判断原則及び我が国における取締役の経営判断についての司法審査方式の将来の方向性を考察するもの。
著者
齋藤 航
出版者
中央ロー・ジャーナル編集委員会
雑誌
中央ロー・ジャーナル (ISSN:13496239)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.71-98, 2019-06-30

Some cases of comparative negligence in contract law have found fault by the injured party in breaching a duty contemplated by the agreement. Other cases, however, have gone beyond that. They have found the injured party at fault because of unreasonable actions, despite the absence of a clear agreement.In contractual duty cases, the rationale of comparative negligence is based on the expression of the agreement of both parties. However, that analysis falters in non-contractual duty cases. Why should an injured party be required to behave reasonably in the absence of a contractual obligation? The presence of an agreement or contract is not enough to explain all cases of comparative negligence.
著者
齋藤 航
出版者
中央ロー・ジャーナル編集委員会
雑誌
中央ロー・ジャーナル (ISSN:13496239)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.43-67, 2019-03

The justification of "comparative negligence" has primarily been discussed in tort cases. The most popular explanation is "fairness" to both parties. Courts have adopted this approach and have considered the circumstances of victims that affected the damage caused by other parties. Counterarguments have been made, however, that "fairness" is too ambiguous to serve as a justification . In considering comparative negligence in contract cases, the behavior of parties can be thought to be regulated by their agreement . In other words, fault should be found in accordance with their contract. This opinion affected the 2017 amendment of the Civil Code.