著者
田中 裕 安梅 勅江 酒井 初恵 宮崎 勝宣 庄司 ときえ
出版者
日本保健福祉学会
雑誌
日本保健福祉学会誌 (ISSN:13408194)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.23-32, 2005-09-30 (Released:2017-09-15)

長時間におよぶ乳児保育利用児の5年後の発達に影響を与えている要因について、育児環境、保護者の育児意識、子どもの属性、子どもの社会適応、子どもの要因、保育時間等の関連を明らかにした。全国認可保育園71園において保護者と園児の担当保育専門職に質問紙調査を実施し、追跡可能であった30名を有効回答とした。その結果、5年後の子どもの発達への関連要因として、家族で一緒に食事をする機会が乏しい場合には「粗大運動」「対人技術」「理解」領域で、また育児支援者がいない場合には「粗大運動」「コミュニケーション」領域で、さらに育児に対する自信がない場合、保育園に適応していない場合には「微細運動」領域で、きょうだいがいない場合には「対人技術」領域で、有意にリスクが高くなっていた。「乳児保育の時間の長さ」はいずれの発達領域でも有意に関連しないことが示された。
著者
松本 美佐子 田中 笑子 篠原 亮次 渡辺 多恵子 冨崎 悦子 望月 由妃子 杉澤 悠圭 酒井 初恵 安梅 勅江
出版者
日本保健福祉学会
雑誌
日本保健福祉学会誌 (ISSN:13408194)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.3-13, 2014

目的 本研究は保育園で気がつく3歳時の気になる行動の推移、および2年後の社会能力を予測する行動の抽出を目的とした。方法 対象は全国32か所の認可保育園に在籍する幼児である。すでに障害の診断がついている児を除外した2007年、2008年の3歳児(485人、509人)を2年間追跡し主要な項目に欠損のない276人、243人をパネル化した519人を分析対象とした。調査内容は「気になる行動チェックリスト」と「就学前児用社会的スキル尺度」の記入を担当保育士に依頼した。対象者の内訳は男児274名(52.8%)、女児245名(47.2%)、きょうだいは無200名(38.8%)、有315名(61.2%)不明4名であった。5歳時の社会性を目的変数、3歳時の気になる行動を説明変数、性別ときょうだいの有無を調整変数としてロジスティック回帰分析を実施した。結果 5歳の社会能力の低さは3歳時の気になる行動で「音に対する反応の異常」が見られる場合Odds比38.86(95%信頼区間4.21-358.85)(以下同様)、「光に対する反応の異常」が見られる場合14.21(2.69-75.10)、「不自然な関係性」がみられる場合14.10(3.99-49.78)、「無関心」がみられる場合4.06(1.64-10.03)、「こだわり」がみられる場合5.53(2.33-13.12)、「激しいかんしゃく」がみられる場合2.44(1.10-5.40)、「多動」がみられる場合3.46(1.75-6.86)、「けんかが多い」がみられる場合2.47(1.02-5.98)「反抗がひどい」がみられる場合6.00(2.13-16.95)、「言葉に関する問題」がみられる場合6.34(2.97-13.53)、「ルール逸脱行動」がみられる場合9.10(3.73-22.22)、「年齢相応の生活習慣の遅れ」がみられる場合4.93(2.11-11.51)と有意に高くなる傾向が示された。結論 3歳時に音や光に関する反応の異常、不自然な関係性、無関心、こだわり、激しいかんしゃく、多動、けんかが多い、反抗がひどい、言葉に関する問題、ルールの逸脱行動、年齢相応の生活習慣の遅れなどの行動がみられた際は、後の社会能力の獲得に困難を示す可能性があり、幼児期早期から社会能力を育むための支援が求められる。
著者
安梅 勅江 田中 裕 酒井 初恵 宮崎 勝宣 小林 昭雄 天久 薫 枝本 信一郎 伊藤 澄雄 篠原 亮次 杉澤 悠圭 澤田 優子 童 連 田中 笑子 冨崎 悦子 望月 由妃子 渡辺 多恵子 恩田 陽子 徳竹 健太郎 平野 真紀 森田 健太郎 AMARSANAA Gan-Yadam 川島 悠里 難波 麻由美 呉 柏良 丸山 昭子
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

経年的な子どもの発達、社会適応、健康状態、問題行動の発現への影響を踏まえ、科学的な根拠に基づく「気になる子ども支援プログラム」の開発を目的とした。全国の0~6歳児と保護者約36,000組の12年間パネルコホート調査を用い、子どもの特性別に発達の軌跡と関連要因について分析した。その結果、家庭環境要因、子ども特性要因、家族特性要因、地域サポート要因の子どもの発達への影響の大きさと軌跡を明らかにした。