著者
宮脇 美保子 宮林 郁子 谷垣 静子 酒見 隆信
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

看護師がとるべき倫理的行動について判断できているにもかかわらず、その判断に従って行動できないことにより生じる「倫理的悩み」についてのインビューを中堅看護師を対象に行った。データをM-GTAを用いて分析した結果、【患者の尊厳を傷つけること】【看護師の都合を優先すること】【必要なケアを省略すること】【ケアの公平さを欠くこと】【患者に対して誠実さを欠くこと】【組織から行動を制約されること】の6つがカテゴリー化された。「倫理的悩み」は看護師に〈後ろめたさ〉〈あきらめ〉〈無力感〉〈感情の平坦化〉といった心理的ダメージを与え、看護の質に影響を及ぼしており、倫理的支援システム構築の重要性が明らかとなった。
著者
庄野 義幸 酒見 隆信 馬場 直樹
出版者
社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析療法学会雑誌 (ISSN:09115889)
巻号頁・発行日
vol.23, no.12, pp.1403-1405, 1990-12-28 (Released:2010-03-16)
参考文献数
7

アセタゾラミドは, 炭酸脱水素酵素を阻害する薬剤で, 現在利尿剤としてよりもむしろ緑内障の治療, あるいは小児のてんかん治療薬として使用されている. 私たちは, 緑内障合併に対してアセタゾラミドの内服をうけ, 数日後に意識障害をきたした慢性腎不全の2例を経験した. 症例1は2年前より維持血液透析をうけている62歳男性で, 緑内障発作に対してアセタゾラミド0.5g/日の内服後3日目に, 意識障害をきたした. 症例2は糖尿病性慢性腎不全 (Cr 6.2mg/dl) の54歳男性で, 緑内障合併のためアセタゾラミド0.75g/日の内服をうけ3日目に意識障害をきたした. いずれの症例も頭部CT検査で異常を認めず, 脳波上代謝性脳症を呈しアセタゾラミド中止により意識が回復したことより, アセタゾラミドが意識障害の原因と考えられた. 意識障害の機序は明らかでないが, 腎不全によるアセタゾラミドの蓄積が起こり, 脳への直接作用による脳内アシドーシスが関与している可能性が推定された.