著者
重松 孝治
出版者
川崎医療短期大学
雑誌
川崎医療短期大学紀要 = Bulletin of Kawasaki College of Allied Health Professions (ISSN:02873028)
巻号頁・発行日
no.34, pp.47-51, 2014

本研究は,保育園への継続的な巡回相談を実施している自治体での実践について,その内容を報告するものである.本研究では巡回相談を,専門性をもつ者が援助対象に対して,問題状況とその援助の在り方について検討しあうプロセスであるコンサルテーションとしてとらえて検討を行っている.本研究での事例では,専門家への相談内容が各児童の保育上の相談に加え,各園の現状に応じた独自の相談や助言の要請が行われるようになってきている.そのため本研究での実践においては,従来の巡回相談における,特定の事例に対する問題解決型のコンサルテーション(児童への保育上の相談)に加え,研修型のコンサルテーション(保育者に対する研修の提供)やシステム介入型のコンサルテーション(園全体としての取り組みに対する助言や相談)を複合させながら進めてきたものである.こうしたことを実現するためには,各保育園側の知識や技術の積み重ね,専門家と保育園とが対等に話し合う関係の構築などが必要であると考えられる.今後もこうした実践を蓄積しながら,保育園を支えるためのより有用な援助が実施されるための検証が求められる.