著者
土田 耕司
雑誌
川崎医療短期大学紀要 = Bulletin of Kawasaki College of Allied Health Professions (ISSN:02873028)
巻号頁・発行日
no.35, pp.51-55, 2015

障害個性論とは,「障害は個性である」という趣旨を持つ言説の論争である.本研究においては.今までに論じられた障害個性論を,(1)いかなる時代背景,社会背景であったか.(2)どのような立場のものがいったか.(3)どのような意図を持っていったのか.(4)障害とはどのような障害者の障害を指しているのかの,(1)~(4)の検証課題に基づき検証することで,この論争の実体を整理した.その結果,障害個性論とは明確な理論体系を持っているとはいい難く,「障害は個性である」という趣旨を持った言葉が先行したことであって,体系づけられた論争ではないと考える.この「障害は個性である」という言葉は,標語のような役割を果たしたのではないかと考えられた.しかし,この言葉の賛否が論じられたことは,障害や障害者について社会が考え,議論する題材であり,その機会を与えてくれた.と考えることができた.
著者
土田 耕司
雑誌
川崎医療短期大学紀要 = Bulletin of Kawasaki College of Allied Health Professions (ISSN:02873028)
巻号頁・発行日
no.35, pp.51-55, 2015

障害個性論とは,「障害は個性である」という趣旨を持つ言説の論争である.本研究においては.今までに論じられた障害個性論を,(1)いかなる時代背景,社会背景であったか.(2)どのような立場のものがいったか.(3)どのような意図を持っていったのか.(4)障害とはどのような障害者の障害を指しているのかの,(1)~(4)の検証課題に基づき検証することで,この論争の実体を整理した.その結果,障害個性論とは明確な理論体系を持っているとはいい難く,「障害は個性である」という趣旨を持った言葉が先行したことであって,体系づけられた論争ではないと考える.この「障害は個性である」という言葉は,標語のような役割を果たしたのではないかと考えられた.しかし,この言葉の賛否が論じられたことは,障害や障害者について社会が考え,議論する題材であり,その機会を与えてくれた.と考えることができた.
著者
藤原 芳朗
出版者
川崎医療短期大学
雑誌
川崎医療短期大学紀要 (ISSN:02873028)
巻号頁・発行日
no.31, pp.51-55, 2011

我が国の経済が右肩上がりに成長を続けるにつれて,死の在り方や死の迎え方についても大きく変化してきた.病死や老衰による死が大半であったが,今や交通事故死,凶悪事件・事件による死,無差別殺人,安楽死,尊厳死,脳死,過労死,死刑死,人工中絶死等と死の在り方が広がるとともに事件や事故での死が日常化する方向へと変化してきた.一方で,延命措置の手控えや医療費の無駄を理由とする尊厳死の容認化傾向,PPK運動などは,速やかな死を促進する要因となり,要介護の状態が重くなり生活の大半を他に依存しなければならない状態になる,あるいは難病等で病状が進行することで自分らしさが消え,行動が制限され自由が失われることは,死を自己決定しても差し支えない風潮へと推し進めることにつながっている.また,無駄,無益,医療費の公平な使用ということから延命措置の手控えや,やりすぎ医療の見直しを理由にどれだけ速やかに人生を全うさせるかの方向へと転換してきている.しかし,生と死は表裏一体であり,死は一瞬の出来事ではなく長い生のプロセスの後に存在する.そこで,私たちは生かされて生きているという認識を持ち,死を受容することにより,逆に生に目を向け,残された時間をいかに有為なものにするかを考えながら余命を積極的に生き抜くことが生の意味を問うということにつながると思惟する.
著者
土田 耕司
出版者
川崎医療短期大学
雑誌
川崎医療短期大学紀要 (ISSN:02873028)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.41-45, 2010
被引用文献数
1

介護現場における人材不足の原因には,介護労働の現場が抱える低賃金,労働環境の悪さ,仕事のやりがいの低さ,介護労働のイメージの悪さ等の要因が挙げられる.もう一方では,介護サービスの利用者の急激な増加という社会構造の変化に介護現場への労働者の供給が追い付けていないという側面がある.この二つの側面が複雑に入り組んで,介護の人材不足を引き起こしている.しかし,政府はこれらに対する対策を図るよりも,介護人材不足を景気低迷からくる雇用状況の悪化への対応策に利用し,介護現場と介護の専門資格取得を失業者対策として位置付けた施策が行われている.国が介護現場を雇用のセーフティーネットとして位置付けることは,介護労働者イコール仕事のない人たちの就労先というようなマイナスイメージが植え付けられ,より介護人材不足の問題を複雑にし,悪化させる危険性を含んでいることを明らかにした.
著者
村中 明 林 明子 天野 貴司 荒尾 信一 成廣 直正 樋口 真樹子 西村 明久 今城 吉成
出版者
川崎医療短期大学
雑誌
川崎医療短期大学紀要 (ISSN:02873028)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.81-86, 2007

蛍光ガラス線量計をX線診断領域の線量測定に使用することを目的に,その基本特性について検討した.測定値はプレヒートを繰り返し行っても影響を受けず,線量を監視しながらの長期間の積算線量測定が可能であった.自由空間中でガラス素子を直接X線で照射した場合には,素子の線量読取り方向によって約5%の比較的大きな測定値の変動が認められ,ガラス素子内部の線量勾配と蛍光読取り機構のズレが測定値変動の要因の一つと考えられた.繰り返し読取り誤差,読取り方向による誤差,素子の感度バラツキを含んだ測定値の変動は,10mGy程度の線量では変動係数3%以下と良好であった.診断用X線のエネルギー範囲ではガラス素子の感度の変化は小さく,エネルギー補償フイルタ無の素子でも線量評価が可能であった.これらの結果から,蛍光ガラス線量計は患者被ばく線量や外部放射線量の測定評価に大変有用であると考えられた.
著者
藤原 芳朗
出版者
川崎医療短期大学
雑誌
川崎医療短期大学紀要 (ISSN:02873028)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.27-32, 2012

現代社会は,可能な限り死を遠ざけ,疎んじ,関わりを少なくしていこうとする風潮が蔓延している.しかし,死は自身が体験できない以上近親者の死等からしか,その意味や大切さは学ぶことができない.私たちは死を意識することで翻って今の生を見つめ,残された生の時間をよく生きていこうと気づくのであるが,死を直視しないことでこのことから疎外されている.いまこそ,死の尊厳性に気づき,死から目を逸らさず生命の有限性を自覚し,死を意識しながら今を生きる意味を感じ取ることができる方法を考えねばならない.
著者
入江 慶太 尾崎 公彦 青井 則子 秋政 邦江
出版者
川崎医療短期大学
雑誌
川崎医療短期大学紀要 (ISSN:02873028)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.33-38, 2012

本研究の目的は,総合表現(オペレッタ)において,自らの作品発表を客観的に振り返るための自己評価チェック項目を選定することである. 過去3年間の自己評価チェックシートの分析の結果,学生は第三者にどのように見えているかという「観る側の視点」まで十分に到達できずに,自らのイメージを具体的にどう表現するかという段階(創る側の視点)に留まっていること,教員提示のカテゴリが「創る側の視点」に偏っていることが明らかとなり,両者を改善する必要性が示唆された. 以上のことを踏まえ,4カテゴリ12チェック項目「コミュニケーション(双方向の話し合い・情報共有・他者理解)」「備品・施設の使用(正しい使用・決まりごとの順守・利用時の他者への配慮)」「制作上の工夫(効果的な指導の取り入れ・テーマの表現・表現分野の工夫)」「省察(既有知識の活用・客観的視点の保持・自己表現)」を自己評価チェック項目として選定した.
著者
伊藤 智里 青井 則子 秋政 邦江 尾崎 公彦
出版者
川崎医療短期大学
雑誌
川崎医療短期大学紀要 (ISSN:02873028)
巻号頁・発行日
no.30, pp.77-82, 2010

本研究は,オペレッタ授業を通して学生同士が学びと気づきを共有し,客観的に自らの作品発表を顧みる方法を模索することを目的とし,PPPチェックリストの様式を採用した自己評価シートを作成し,その内容について分析・考察した.自己評価するためのチェック項目を自分で作成することにより,学生が授業において感じていた思いや関心を浮き彫りにすることができた.また,教員がチェック項目を作成するためのカテゴリを提示したことで,学生は,授業の目的とねらい,達成目標を意識して確認することができた.他人に表現して観せる為には,創る側と観る側の2つの視点が必要であるが,観る視点を意識した指導をさらに強化することが今後の課題である.
著者
土田 耕司
雑誌
川崎医療短期大学紀要 = Bulletin of Kawasaki College of Allied Health Professions (ISSN:02873028)
巻号頁・発行日
no.37, pp.15-18, 2017

「障害者雇用促進法」の改正で2018年から,法定雇用率の対象として新たに精神障害者が加えられた.この法律は1960年に制定し,半世紀以上に渡り社会の変化に対応すべく改正が重ねられてきた.その変遷の過程から,身体障害者,知的障害者,精神障害者と順次,対象の拡大が図られてきた.その背景には,障害者団体の発言などの影響は歪められないが,それにもまして,常に国際関係においての影響を受けていたことが現実であった.「障害者雇用促進法」自体は,残念ながら事業主を主体とする法律であり,障害者の権利の主体とする法律ではないため雇用側の「雇用のしやすさ」に重点が置かれていることが問題でもある.今後の課題としては,労働市場として障害者雇用のあり方が問われるであろう.
著者
重松 孝治
出版者
川崎医療短期大学
雑誌
川崎医療短期大学紀要 = Bulletin of Kawasaki College of Allied Health Professions (ISSN:02873028)
巻号頁・発行日
no.34, pp.47-51, 2014

本研究は,保育園への継続的な巡回相談を実施している自治体での実践について,その内容を報告するものである.本研究では巡回相談を,専門性をもつ者が援助対象に対して,問題状況とその援助の在り方について検討しあうプロセスであるコンサルテーションとしてとらえて検討を行っている.本研究での事例では,専門家への相談内容が各児童の保育上の相談に加え,各園の現状に応じた独自の相談や助言の要請が行われるようになってきている.そのため本研究での実践においては,従来の巡回相談における,特定の事例に対する問題解決型のコンサルテーション(児童への保育上の相談)に加え,研修型のコンサルテーション(保育者に対する研修の提供)やシステム介入型のコンサルテーション(園全体としての取り組みに対する助言や相談)を複合させながら進めてきたものである.こうしたことを実現するためには,各保育園側の知識や技術の積み重ね,専門家と保育園とが対等に話し合う関係の構築などが必要であると考えられる.今後もこうした実践を蓄積しながら,保育園を支えるためのより有用な援助が実施されるための検証が求められる.
著者
藤原 芳朗
雑誌
川崎医療短期大学紀要 = Bulletin of Kawasaki College of Allied Health Professions (ISSN:02873028)
巻号頁・発行日
no.32, pp.27-32, 2012

現代社会は,可能な限り死を遠ざけ,疎んじ,関わりを少なくしていこうとする風潮が蔓延している.しかし,死は自身が体験できない以上近親者の死等からしか,その意味や大切さは学ぶことができない.私たちは死を意識することで翻って今の生を見つめ,残された生の時間をよく生きていこうと気づくのであるが,死を直視しないことでこのことから疎外されている.いまこそ,死の尊厳性に気づき,死から目を逸らさず生命の有限性を自覚し,死を意識しながら今を生きる意味を感じ取ることができる方法を考えねばならない.
著者
友光 達志 三村 浩朗 北山 彰 原内 一 荒尾 信一 天野 貴司 村中 明
出版者
川崎医療短期大学
雑誌
川崎医療短期大学紀要 (ISSN:02873028)
巻号頁・発行日
no.31, pp.45-50, 2011

Microsoft Excelを用いて2次元高速フーリエ変換を行い,空間周波数領域で画像処理する方法の構築を目的とした.検討には,処理対象画像として胸部骨シンチグラム像を,解析アプリケーションソフトにはMicrosoft Excel 2007とImage Jをそれぞれ用いた.なお,Microsoft Excelでの高速フーリエ変換は,処理時間を短縮するためマクロを構築した.その結果,Microsoft Excelでの処理画像は,核医学のデータ処理専用装置のそれとの間に殆ど差が認められなかった.これにより,我々が構築したMicrosoft Excelを用いた画像処理法は,十分に使用可能なことが証明された.
著者
平田 貴子
出版者
川崎医療短期大学
雑誌
川崎医療短期大学紀要 (ISSN:02873028)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.47-51, 2007

現在,共働き家庭や働く女性,母子・父子家庭の増加,地域環境の変化,学校週五日制の導入などに件い,学童保育の需要が高まっている.それは,帰宅途中の子どもの誘拐や殺傷事件が報じられ,放課後の子どもの生活が安全で且つ安心な場にとの要求,また,学校が競争的な環境が強まっているがゆえに,学童保育を子どもの人間的な発達を求める機会と場として望む親も増え,質の高い保育ニーズが求められている.しかし,1997年6月に学童保育が「放課後児童健全育成事業]として法制化されかにもかかわらず,具体的な施設の最低基準等が明記されず,また,学童保育指導員の資格や専門性が不明確である.そこで,学童保育の課題を明らかにするにあたって,本校では,わが国における学童保育の歴史を整理した.