著者
岩瀬 弘明 村上 貴士 中井 良哉 東 智里 舩田 雅之 重田 裕子 日沖 義治 窓場 勝之 村田 伸
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.63-67, 2017-07-31 (Released:2017-09-13)
参考文献数
18
被引用文献数
3 1

本研究の目的は,大腿骨近位部骨折を呈した超高齢患者の在宅退院に関連する因子を明らかにすることである。研究デザインは後方視的観察研究で,2012年4月から2014年3月にA病院の回復期リハビリテーション病棟に入院していた85歳以上の大腿骨近位部骨折患者のうち,在宅あるいは施設に退院した者とした。調査項目は年齢と性別,身長,体重,術式のほか,FIM 運動項目とFIM 認知項目,MMSE,握力,同居家族の有無とした。統計解析は,退院先を目的変数としたロジスティック回帰分析を用いて検討した。解析の結果,退院先に独立して関連する因子として抽出されたのは,FIM 運動項目と同居家族の有無であった。これらのことから,大腿骨近位部骨折を呈した超高齢患者の在宅復帰を促進するためには,ADL 動作の自立度を高めるようなアプローチと住宅改修や福祉用具の導入といった環境整備が重要視されること,同居家族の有無が重要となることが示された。
著者
岩瀬 弘明 村田 伸 阿波 邦彦 松尾 奈々 山﨑 康平 米山 智彦 小松 直正 重田 裕子 窓場 勝之
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.163-167, 2013 (Released:2013-05-24)
参考文献数
22

本研究の目的は,高齢入院患者を対象に,異なる歩行速度における下肢筋力の貢献度を明らかにすることである。方法は,入院中の高齢患者13名を対象に,光学式歩行分析装置を用いて最速歩行と最大低速歩行の歩行パラメーターを計測した。また下肢筋力の代表値として,大腿四頭筋筋力と足把持力を評価した。歩行条件別に下肢筋力との関連を検討した結果,足把持力は最大低速歩行時の歩行率,歩幅,重複歩距離,立脚時間,遊脚時間との間に有意な相関が認められた。一方,大腿四頭筋筋力は最速歩行時の歩行率,立脚時間,遊脚時間との間に相関を示す傾向が認められた。最速歩行時の足趾把持力および最大低速歩行時の大腿四頭筋筋力は,すべての歩行パラメーターと有意な相関は認められなかった。これらの知見から,足把持力は最大低速歩行時の姿勢の安定化に関与している可能性が示された。一方,大腿四頭筋筋力は,身体を前方へ進める推進力としての役割が大きいことが推察された。