著者
岩瀬 弘明 村田 伸 日沖 義治 北尾 沙友里 中村 純子 中井 良哉 村上 貴士 窓場 勝之
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.87-91, 2014-07-01 (Released:2014-09-12)
参考文献数
24

【目的】iPad アプリケーション「Touch the Numbers」の信頼性と妥当性について検討した。【方法】健常成人34名を対象とした。信頼性の検討には級内相関係数ICC(1,1)と最小可検変化量(MDC)を用いた。また,妥当性の検討はTMT-A との関連から求めたピアソンの積率相関係数から検討した。【結果】ICC=0.66(95%CI:0.42‐0.81),MDC95は6.3秒であった。また,Touch the Numbers とTMT‐A との間に有意な相関(r =0.57,p<0.01)が認められた。【結論】これらの知見から,Touch the Numbers の再現性と妥当性が確認され,注意機能検査として使用できる可能性が示された。
著者
岩瀬 弘明 東 智里 村上 貴士 中井 良哉 窓場 勝之 村田 伸
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.185-190, 2018-01-31 (Released:2018-02-23)
参考文献数
24

本研究は,脳血管障害患者に対する長下肢装具導入までの日数と麻痺側運動機能およびFunctional Independence Measure(FIM)変化率との関係について明らかにすることである。対象はA病院に入院治療を受けた脳血管障害患者のうち,長下肢装具を作成したものとした。調査項目は年齢と性別,疾患名,発症から長下肢装具導入までの日数,および長下肢装具完成時とリハビリテーション終了時のStroke Impairment Assessment Set(SIAS)とFIM とした。統計解析は,発症から長下肢装具導入までの日数とSIAS(麻痺側運動機能)の変化率,およびFIM 中項目の変化率との関係について偏相関分析を用いて検討した。その結果,発症から長下肢装具完成までの日数と有意な相関が認められたのは,SIAS の体幹機能とFIM の排泄コントロール,移乗・移動の4項目であり,発症から早期に長下肢装具を導入してリハビリテーションを行うことで,体幹機能および移乗,移動能力,排泄コントロールの改善に繋がる可能性が示された。
著者
岩瀬 弘明 村上 貴士 中井 良哉 東 智里 舩田 雅之 重田 裕子 日沖 義治 窓場 勝之 村田 伸
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.63-67, 2017-07-31 (Released:2017-09-13)
参考文献数
18
被引用文献数
3 1

本研究の目的は,大腿骨近位部骨折を呈した超高齢患者の在宅退院に関連する因子を明らかにすることである。研究デザインは後方視的観察研究で,2012年4月から2014年3月にA病院の回復期リハビリテーション病棟に入院していた85歳以上の大腿骨近位部骨折患者のうち,在宅あるいは施設に退院した者とした。調査項目は年齢と性別,身長,体重,術式のほか,FIM 運動項目とFIM 認知項目,MMSE,握力,同居家族の有無とした。統計解析は,退院先を目的変数としたロジスティック回帰分析を用いて検討した。解析の結果,退院先に独立して関連する因子として抽出されたのは,FIM 運動項目と同居家族の有無であった。これらのことから,大腿骨近位部骨折を呈した超高齢患者の在宅復帰を促進するためには,ADL 動作の自立度を高めるようなアプローチと住宅改修や福祉用具の導入といった環境整備が重要視されること,同居家族の有無が重要となることが示された。
著者
岩瀬 弘明 村田 伸 日沖 義治 北尾 沙友里 中村 純子 中井 良哉 村上 貴士 窓場 勝之
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.1-4, 2013 (Released:2013-09-12)
参考文献数
16
被引用文献数
3 2

本研究の目的は,TMT-A が認知機能低下を識別するための有用な評価法となり得るのか否かについて検討することである。方法は,入院中の高齢患者31名を対象にTMTA を測定し,MMSE,FIM-C との関連について検討した。その結果,MMSE,FIM-C との間に有意な負の相関が認められた。また,TMT-A の所要時間が5分未満の対象者は,そのすべてがMMSE のカットオフ値である24点以上であり,認知機能低下の疑いが低かった。一方,TMT-A の所要時間が5分以上の対象者は,その多くがMMSE23点以下であり,認知機能の低下が疑われた。本研究の結果から,TMT-A の施行時間に5分以上を要する患者には,MMSE を行う必要性が示唆された。すなわち,TMT-A はMMSE を行うか否かのスクリーニングテストとして有用である可能性が示された。
著者
山下 拳人 森田 千瑛 土居 更紗 山口 理佳 日沖 義治 村上 貴士 古野 俊佑 兒玉 隆之
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.29-34, 2017-04-14 (Released:2017-04-15)
参考文献数
34
被引用文献数
1

目的:理学療法場面において,セラピストの親和・非親和的な非言語対応が対象者の脳内神経活動に及ぼす影響について検討した。対象と方法:対象は健常成人男性12名とした。初めに安静開眼2分,そして親和・非親和条件動画を其々観察し,再び安静開眼を2分行った。結果:親和条件では,内側前頭皮質や前部帯状回に有意に高い神経活動性を認めた。非親和条件では,島や扁桃体,頭頂葉連合野に有意に高い神経活動性を認めた。結論:親和条件では,リラックス状態の持続,意欲や動機づけを形成する脳領域の神経活動が認められ,非親和条件では,陰性情動の持続,不安や疼痛刺激が誘発される脳内の神経活動が認められた。これらのことより,非言語コミュニケーションの違いがラポール形成の脳内神経基盤に機能的差異を及ぼすことが示唆された。