著者
野口 正典 松岡 啓 野田 進士 江藤 耕作
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.75, no.7, pp.1154-1160, 1984-07-20
被引用文献数
3

陰嚢奇形そのものは少なく、また、その中でも会陰部副陰嚢と呼ばれる陰嚢奇形は非常に稀である。われわれは、不完全型陰茎前位陰嚢を合併した会陰部副陰嚢の1例を経験したので、報告する。症例は、3歳の男児で身長96.4cm、体重16.6kg、栄養状態良好、正常な発育を呈しており、1983年2月14日、外性器の異常を訴え当科へ入院した。会陰部左側に陰嚢様の腫瘤を認めた。縫線は陰茎、陰嚢では正常な位置に認め、会陰部腫瘤の右側を囲むような走行であった。両側の睾丸は腫瘤前方のそれぞれの陰嚢内に認めた。また、不完全型陰茎前位陰嚢の合併も認められた。染色体検査、排泄性腎孟造影、尿道膀胱造影などを含めた臨床検査所見に異常所見は認められなかった。1983年2月25日、Glenn-Andersonの方法に準じた陰嚢形成術、ならびに会陰部副陰嚢切除術を施行した。病理組織学的に、摘出物は正常陰嚢皮膚と診断された。術後経過良好で満足すべき結果が得られた。会陰部副陰嚢に関して、現在までに報告された7例を集計し、若干の文献的考察を加えた。会陰部正中線上の副陰嚢は陰唇陰嚢ひだの三重発生の結果であり、また会陰部左側の副陰嚢は陰唇陰嚢ひだの二重分割後の異常移動によるものと想像した。
著者
福嶋 慶繁 出口 大輔 目加田 慶人 森 健策 村瀬 洋 鳥脇 純一郎 野口 正典
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MI, 医用画像 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.91, pp.29-34, 2004-05-21
参考文献数
5

本稿では,前立腺摘出標本画像を用いた前立腺針生検シミュレーション結果と,従来行ってきたX線CT像へ仮想的な病変を埋め込んだ場合の生検結果との比較を行う.前立腺針生検とは,前立腺に生検針を刺し組織を採取する組織診断法である.前立腺針生検では,病変組織を確実に採取しかつ患者への負担の少ない生検手法が求められる.そこで,101症例の前立腺摘出標本画像から作成した仮想前立腺に対して針生検シュミレーションを行い生検手法の評価を行う.利用した前立腺摘出標本は3mm間隔でスライスされた前立腺の断面画像に対し医師が病変部を示したものであり,その断面画像より前立腺を再構成したものが仮想前立腺である.作成した仮想前立腺に対して仮想針生検を行い,各生検手法の病変検出率と病変採取体積を評価した.実験の結果,病変検出率は,従来のX線CT像を用いた結果との相関値が0.77と非常に強い正の相関があり,X線CT像に対して仮想的に病変を発生させた仮想前立腺の有効性を確認した.