- 著者
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林 健太郎
野口 泉
- 出版者
- 公益社団法人大気環境学会
- 雑誌
- 大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
- 巻号頁・発行日
- vol.41, no.5, pp.279-287, 2006-09-01
- 被引用文献数
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5
アルカリ含浸ろ紙を2段としたフィルターパック法を用いて,茨城県つくば市のシバ草地における2004年6月29日〜2005年1月11日のガス状の亜硝酸(HONO)および硝酸(HNO_3)の濃度および濃度勾配を観測した。暖候季および寒候季のHONO濃度はそれぞれ0.86および1.2ppb(v/v),HNO_3濃度はそれぞれ1.0および0.23ppbであり,HONO濃度はHNO_3濃度と同程度であった。一方,暖候季および寒候季の地上4-2m間のHONOの濃度勾配はそれぞれ-0.012および-0.027ppb m^<-1>,HNO_3の濃度勾配はそれぞれ0.10および0.008ppb m^<-1>であった。負の濃度勾配はネットフラックスが発生であることをあらわし,HONOが地表から発生していることに加えて,発生量が乾性沈着量を上回っていることが示された。地表からのHONOの発生は,気相-地表系の不均一反応による二酸化窒素からのHONOの生成によると考えられる。大気-地表間のHONOの交換はネットフラックスとして定量されるべきであり,沈着速度の推計では地表からのHONOの発生を考慮する必要がある。