著者
原 修一 角皆 潤 小松 大祐 中川 書子 芦 寿一郎 中村 光一 砂村 倫成 土岐 知弘
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2014年度日本地球化学会第61回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.44, 2014 (Released:2014-09-12)

高知県沖の足摺海丘(山頂水深543m)直上の海水中ではメタンの高濃度異常が観測されており、この海丘から海水中にメタンが放出されているものと考えられている。本研究では、この足摺海丘のメタン湧出フラックスや、大気へのメタン漏出の可能性の有無を検討することを目的として、2013年9月に足摺海丘およびその周辺において海水試料を採取し、海丘直上及び周辺海水中のメタン濃度分布を定量化した。更にメタンの炭素・水素安定同位体比も同時に分析し、その成因が微生物起源か、それとも熱分解起源であるのか、また海水中における微生物酸化分解の有無に関する考察を行った。分析の結果、足摺海丘直上の試料から高濃度のメタンが検出された(最高145 nmol/L)。また海水中のメタン濃度分布から、海丘から見て北東方向の水深450 m~660 mの範囲に、メタンプルームが広がっていることが明らかになった。
著者
角皆 潤 谷本 浩志 神田 譲太 野口 泉 小松 大祐
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、東アジア域では初となる一般水環境試料中に含まれるNO_3^-のΔ^<17>O組成定量を実現し、そのNO_3中に含まれる大気由来のNO_3^(NO_3^-_<atm>)の混合比のトレーサーとしてのΔ^<17>O組成の信頼性を検証するとともに、その有用性を実証することを目的としている。特に、全NO_3^-中に占めるNO_3_<atm> 混合比は、定常状態下では、総NO_3^-供給速度に対する大気からのNO_3^-_<atm>沈着速度の相対比に等しいので、これを活用する。まず北海道の利尻島において、長期に渡って湿性沈着試料を集めてNO_3_<atm>のΔ^<17>O組成の連続観測を成功させ、その年平均値(Δ^<17>O_<atm>)を見積もった。次に同島の森林域から流出する地下水試料中のNO_3について、Δ^<17>O値定量を実現し、Δ^<17>O_<atm> との比較から、大気から沈着した窒素が森林生態系によって浄化される過程を定量的に評価した。さらに摩周湖の湖水中に溶存するNO_3のΔ^<17>O組成の分布を定量し、大気から貧栄養の水環境下に沈着したNO_3^-_<atm>の挙動を定量化した。