- 著者
-
野坂 隆文
- 出版者
- 日本調理科学会
- 雑誌
- 日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成28年度大会(一社)日本調理科学会
- 巻号頁・発行日
- pp.156, 2016 (Released:2016-08-28)
【目的】食を通じた健康志向が高まる日本では,難消化性デキストリンを健康成分として用いた健康食品が多数開発されている。現状では,特定保健用食品や機能性表示食品として清涼飲料水等の飲料に用いられることが多く,その反面,調理加工品での使用や、調理に直接用いるケースは余り多くはない。本調査では、日本料理・西洋料理のベースとなる4つのスープと難消化性デキストリンとの相性を調査し,これらと組み合わせた新たな健康食品の検討,並びにその特性を活かした調理ツールとしての難消化性デキストリンの利用方法を検討する。【方法】日本料理のベースとして,味噌汁とすまし汁,西洋料理のベースとして,チキンブイヨンとフュメドポアソンを試料とし,一般的な使用例に基づき,スープベース2.5Lに対し,難消化性デキストリン125gを溶かした。本校栄養士科の生徒計51名を対象に,4つの試料において,難消化性デキストリンを付加したものと付加していないものをそれぞれ試飲比較し,味・あと味・香り・舌触り・のどごし・総合評価の各項目において,採点法による評価を行った。【結果】難消化性デキストリン付加試料では,すべての項目における各平均点が,付加していないものと比較して差がないと判断する0点を上回った。特に総合評価が高かったのはチキンブイヨンであったが,他の試料との有意差は見られなかった。対象者はとろみを好む傾向があり,難消化性デキストリン付加によるとろみの発生により,その関連する要素であるあと味やのどごしについて,やや好意的な評価が多く見られた。対象者の嗜好や五感の感じ方には個人差があるが,本調査では難消化性デキストリンと様々なスープとの良相性が示唆された。