著者
野崎 京子
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.25, no.5, pp.494-506, 2005 (Released:2005-09-28)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

ここ数年, 女性医師の増加傾向が著しい. 平成16年度の新臨床研修医制度導入により, 従来の大学医局を中心とした労働供給システムが変化し, 病院現場における労働力不足が深刻になってきた. そのため, 病院の管理的立場での対策が取り上げられるようになった. 日本臨床麻酔学会第24回大会におけるシンポジウム 「女性医師の生産性」 が設けられたのもその意味があったと思われる. そもそも, 女性の労働生産性について考えるとき, 単なる生物学的な差をもって男性との差を論ずることはできない. 文化的・社会的背景からくる性別役割分担意識が大きく影響している. まず, 労働基準法など母性保護・育児支援に関する現行の法律の尊重が重要である. また, 文明国として男女共同参画社会の実現に向けての社会的・個人的努力が必要であり, そのためには医療現場におけるさまざまな工夫が期待される. そのような施策により, 女性医師の生産性は現在より高くなっていくと予想されるので, 現時点で女性医師に特有の社会システムを構築するのは時期尚早であろう.
著者
野崎 京子
出版者
京都産業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

平成19年『強制収容とアイデンティティ・シフト:日系二世・三世の「日本」と「アメリカ」』を出版した。平成20年、移民の出身地と受け入れ地(国)との比較分析をテーマにブラジルに出張、沖縄等の出自地を捉えてトランスナショナルに位置する「新日系人」やペルー日系人強制収容などを研究、その成果は平成21年10月、カリフォルニア大(バークレイ校)での招待講演「日本と日系:太平洋環の繋がり」に提示した。
著者
野崎 京子
出版者
東京大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2010

二酸化炭素は炭素化合物の燃焼最終生成物であり,熱力学的に安定な,不活性な化合物である.一方で,二酸化炭素は安価で豊富な炭素資源であり,その有効利用は科学的興味に留まらず,社会的にも大きなインパクトをもつ.二酸化炭素を活性化し有機合成にもちいるには,より安定な結合を生成する系を選び,かつ反応の活性化エネルギーを下げる触媒を開発しなければならない.本研究では,二酸化炭素の活性化を鍵とする以下の二つの反応について,新規9族金属錯体の開発に重点をおき触媒開発に取り組み、以下の成果を挙げた。1)二酸化炭素還元反応の高活性化と可逆性の検討われわれが開発したピンサー配位子をもつイリジウム錯体は,水酸化カリウム存在下での二酸化炭素と水素の反応で,これまでで最高の活性を示した.この塩基をトリエタノールアミンに変更することで逆反応であるギ酸の分解も行えることを示した。水素の安定的な貯蔵方法としてギ酸を用いる可能性を拓いた。2)エポキシドと二酸化炭素の交互共重合反応の触媒開発これまでの研究で最も高い活性を示していたクロムやコバルトのサレン錯体に代えて、チタンやゲルマニウムなどの錯体が触媒作用を示すことを明らかにした。クロムやコバルトが3価の金属であり、サレンがジアニオン配位子だったのを、チタンやゲルマニウムなどの4価金属に変更した際、配位子もトリアニオン性にしてトータルの電荷を保ったことが成功の鍵である。より低毒性の金属を用いられるようになったことで、生成物の利用範囲が格段に広がった。