- 著者
-
山本 晃輔
野村 幸正
- 出版者
- 日本認知心理学会
- 雑誌
- 認知心理学研究 (ISSN:13487264)
- 巻号頁・発行日
- vol.7, no.2, pp.127-135, 2010-02-28 (Released:2010-11-25)
- 参考文献数
- 24
- 被引用文献数
-
3
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本研究の目的は,におい手がかりの命名,感情喚起度,および快-不快度が自伝的記憶の想起にどのように影響を及ぼすのかを検証することであった.実験では,118名の参加者に30種類のにおい刺激について,熟知度,感情喚起度,快-不快度の評定と命名を求め,さらに,それらを手がかりとして自伝的記憶の想起が可能であるかどうかを報告させた.記憶が想起された場合には,それについて鮮明度,感情喚起度,快-不快度を評定させた.実験の結果,正しく命名されたにおいは,そうではないにおいよりも熟知度が高く,かつ情動的であった.加えて,感情一致効果がみられた.また,正しく命名されたにおい手がかりによって想起された自伝的記憶は,命名されなかったにおい手がかりによって想起されたそれよりも鮮明でありかつ情動的であった.これらの結果はにおい手がかりによる自伝的記憶の想起において,命名と感情が重要な役割を果たしていることを示唆している.