著者
山川 烈 鈴木 倫保 山川 俊貴 粟生 修司 石塚 智 堀尾 恵一 藤井 正美 野村 貞宏 大和田 祐二 グレゴリエビッチ ジミン・レフ 常盤 達司 井上 貴雄 丸田 雄一 藤岡 裕士
出版者
九州工業大学
雑誌
特別推進研究
巻号頁・発行日
2008

抗てんかん薬が全く効かず,いつ発現するかわからない発作の恐怖におびえているてんかん患者が国内外に全人口の約0. 2%いる.これらの患者を救う道は,外科手術である.現在の外科手術では,「てんかん原性域」と呼ばれる発作の震源地の位置を脳波から推定し,それを切除しているが,後遺障害のリスクが大きい.本研究では,その「てんかん原性域」を精度よく推定し,頭蓋骨にあけた小さな穴から凍結プローブやレーザー焼灼プローブを刺入し,「てんかん原性域」を限定して破壊する後遺障害リスクの少ない外科手術法を考案した.
著者
末廣 栄一 石原 秀行 藤山 雄一 清平 美和 土師 康平 野村 貞宏 鈴木 倫保
出版者
一般社団法人日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.10, pp.614-620, 2019 (Released:2019-10-25)
参考文献数
25
被引用文献数
4 4

日本の頭部外傷患者の高齢化は年々進行しており, われわれはこの超高齢社会を見据えた独自の治療方針を確立しなければならない. 急性硬膜下血腫や遅発性の症状増悪が高齢者頭部外傷には多くみられるが, 近年注目されているのは抗血栓薬内服患者の増加である. 日本頭部外傷データバンク/プロジェクト2015によると, 高齢者の31%が抗血栓薬を内服していた. さらにこれらの患者の特徴として, 低エネルギー外傷 (転倒・転落) による受傷機転が多く, 病態として出血性病変が多く, 経過としてはtalk & deteriorateの頻度が多いことがわかった. この状況への適切な対応は, 軽症であっても早期に頭部CTを撮影し, 出血性病変を認めた際は抗血栓薬の中和を考慮することである.
著者
末廣 栄一 藤山 雄一 杉本 至健 五島 久陽 篠山 瑞也 小泉 博靖 石原 秀行 野村 貞宏 鈴木 倫保
出版者
一般社団法人日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.178-184, 2016 (Released:2017-03-25)
参考文献数
17
被引用文献数
4 2

One Week Study 2012 (日本頭部外傷データバンク) によると, 軽症・中等症頭部外傷は入院を要する頭部外傷の86%を占め, 頻繁に遭遇する病態である. 中等症頭部外傷においては15%, 軽症頭部外傷においては7.6%の割合で重症化し, 外科的治療が必要となっており, 軽視せずに慎重な判断や対応が重要である. 入院後は, 重症化の危険因子を踏まえたうえで, 積極的な経過観察が重要となる. 頭蓋内病変の有無や重症化の予測ツールとしてS-100B proteinやD-dimerなどの血液biomarkerが注目を浴びており, 自験例も含めて紹介する. 軽症・中等症頭部外傷においては, “重症化” への対応と同様に, 高次脳機能障害や脳震盪後症候群などの社会的問題への対応も重要である. 今後, 脳神経外科医が真摯に取り組むべき分野である.