著者
江木 伸子 廣瀬 理恵子 平尾 和子 野田 誠司 齋尾 恭子
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
pp.NSKKK-D-22-00088, (Released:2023-06-05)

大豆分離タンパク質 (SPI)の部分的酵素加水分解が乳化安定性に影響することは既に報告されている.著者らは市販の部分的加水分解された大豆タンパク質素材を用いて,乳化安定性の高いエマルションの調製について報告した.本報の目的は,数種の熱帯果実の果汁をSPIに直接反応させることにより,SPIから保形性および安定性の高いエマルションを調製することである.その結果,パイナップル,キウイ,イチジク,メロン,パパイア(未熟)の果汁をSPIと反応させることにより,擬塑性流動を示し,保形性のある安定なエマルションを,パパイン酵素と同様に調製できることを明らかにした.本研究の範囲において,果実の種類,産地,熟度,果汁とSPIの反応条件により,エマルションの外観,SDS–PAGEによるタンパク質分解物のパターン,流動曲線による物性等が変化した.電気泳動パターンでは11Sの酸性サブユニットの消失とエマルションの安定性との関係が示唆された.
著者
野田 誠司
出版者
東京都立食品技術センター
雑誌
東京都立食品技術センタ-研究報告 (ISSN:09197214)
巻号頁・発行日
no.15, pp.7-10, 2006-03

マグロすり身を50℃、60分間加熱、85℃、20分間加熱または2段加熱(50℃、60分間加熱後、85℃、20分間加熱)して作製した3種類の加熱ゲルについて、保水性、色調及び食味の比較検討を行った。(1)2段加熱ゲルは、通常の85℃、20分間加熱ゲルと比較して、0-100秒付近までの圧搾初期における圧出水分量は少なく、保水性が高かった。(2)加熱条件による色調の差異はほとんど認められなかった。(3)食味検査では、2段加熱したゲルの方が85℃、20分間加熱したゲルと比較して弾力性に優れ、水っぽさやパサパサ感も少なく、総合的に評価が高かった。以上より、マグロすり身においては、2段加熱法によって品質の高いかまぼこを製造できることが保水性、色調及び食味検査から判断しても示唆された。