著者
武山 真弓 野矢 厚
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPM, 電子部品・材料
巻号頁・発行日
vol.97, no.355, pp.47-52, 1997-10-31

我々はこれまで、安定なCuコンタクト系を得るためには、バリヤの材料としての特質ばかりでなく、構造の要因が重要であることを報告してきた。本研究では、アモルファスライクな構造を持つZrN膜をCu/Si間の拡散バリヤとして用い、その熱的安定性を検討した結果、800℃でも十分安定なコンタクトが得られることがわかった。更に、ZrNバリヤは200Åと極めて薄い膜厚とした場合においても、750℃で1時間の熱処理に耐え得る優れたバリヤ特性を示すことが実証された。この結果は、将来のCuメタライゼーション技術にとって極めて有用であるものと結論づけることができる。
著者
佐々木 克孝 山根 美佐雄 阿部 良夫 野矢 厚
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C-II, エレクトロニクス, II-電子素子・応用 (ISSN:09151907)
巻号頁・発行日
vol.78, no.3, pp.113-118, 1995-03-25
被引用文献数
8

Ta_2N陽極酸化膜キャパシタの有する高耐熱な特徴が,酸化膜厚を薄くした際にどの程度まで維持できるかを明らかにするため,化成電圧を低減させて作製したキャパシタのtanδ,容量温度係数および漏れ電流特性に及ぼす熱処理温度の増加の影響を検討し以下の知見を得た.80V程度まで化成電圧を低減させた陽極酸化膜キャパシタでも,熱処理温度が400℃までの範囲であればtanδと容量温度係数に熱劣化は生じない.漏れ電流特性についても,化成電圧を低減させても定性的に同様な傾向を示し,電気伝導機構に変化はない.一方,80V化成したこのTa_2N陽極酸化膜キャパシタの漏れ電流特性は,熱処理温度300℃まではほとんど変化しないが,350℃では急増する.しかしながら,同じ静電容量が得られる160V化成したTa陽極酸化膜キャパシタと比較すると,この80V化成したTa_2N陽極酸化膜キャパシタは,tanδ,容量温度係数,漏れ電流のいずれの点でも耐熱性が大幅に改善される.以上のことにより,Ta_2N化合物の利用は酸化膜を薄くしても耐熱性を保持するうえで極めて有効な方策となることを明らかにした.