著者
柿本 竜治 金 華永 吉田 護 藤見 俊夫
出版者
The City Planning Institute of Japan
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.321-326, 2014
被引用文献数
4

本研究は,予防的避難の阻害要因と促進要因を探ることを目的とする.そこで,阿蘇市および南阿蘇で行った避難意識に関するアンケート調査を用いて,防護動機理論に基づいて避難の意識構造分析を行った.その結果,阻害要因は,避難移動や避難所で過ごすこと等の負担,すなわち,避難行動を起こすことに伴う負担感であることが分かった.一方,促進要因となっているのは,どれくらいの確率で被災するか,どの程度の被害かといった自然災害に対する脅威であることが分かった.さらに,熊本市龍田地区の北部九州豪雨災害時の避難行動の調査結果を用いて,災害に対する不安度モデルを推定した.災害に対する不安度モデルの推定結果より,災害が差し迫っていない早い時間の避難の呼び掛けでも避難を促す効果があることが分かった.