著者
藤見 俊夫
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究では,洪水ハザードマップの閲覧を妨げる心理的要因について検証した.その結果,災害リスクについて楽観的であること,防災への関心が薄いこと,マップの閲覧が面倒であること,水害のリスクへの不安を回避すること,避難への自己効力感が低いことが,ハザードマップの閲覧を妨げる心理的要因であった.ハザードマップの閲覧を促すナッジ政策として,閲覧の手間を促すナッジは有効であった.被験者に社会規範や水害のリスクを強調するナッジ政策は,いずれもメッセージへの納得度が高い人については効果的であった.メッセージに納得しない人は閲覧を避ける傾向があった.
著者
大本 照憲 藤見 俊夫 小場 隆太
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
水工学論文集 (ISSN:09167374)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.451-456, 2008 (Released:2010-08-25)
参考文献数
5
被引用文献数
8 3

There are two measures to reduce human damage resulting from a flood flow, that is, preventive public facilities as hardware-like aspect and residents' evacuation from inundation flow risk as software-like aspect. Since the former has a practical limit when the facilities are attacked by the flood flow beyond their strength, at that time the latter becomes important. From this viewpoint, we picked up six areas from the Sendai river basin affected by flood disaster at the latter half of July in 2006 and executed questionnaire survey to the residents about evacuation activities, needs of disaster information, understanding of flood hazard map and awareness to flood disaster. Moreover, we analyzed effects of disaster forces on evacuation activity. This paper showed that social cohesion played an important part in a community's ability to respond to flood disasters.
著者
柿本 竜治 金 華永 吉田 護 藤見 俊夫
出版者
The City Planning Institute of Japan
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.321-326, 2014
被引用文献数
4

本研究は,予防的避難の阻害要因と促進要因を探ることを目的とする.そこで,阿蘇市および南阿蘇で行った避難意識に関するアンケート調査を用いて,防護動機理論に基づいて避難の意識構造分析を行った.その結果,阻害要因は,避難移動や避難所で過ごすこと等の負担,すなわち,避難行動を起こすことに伴う負担感であることが分かった.一方,促進要因となっているのは,どれくらいの確率で被災するか,どの程度の被害かといった自然災害に対する脅威であることが分かった.さらに,熊本市龍田地区の北部九州豪雨災害時の避難行動の調査結果を用いて,災害に対する不安度モデルを推定した.災害に対する不安度モデルの推定結果より,災害が差し迫っていない早い時間の避難の呼び掛けでも避難を促す効果があることが分かった.