著者
金井 郁
出版者
社会政策学会
雑誌
社会政策 (ISSN:18831850)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.8-22, 2018-10-30 (Released:2020-10-30)
参考文献数
12
被引用文献数
3

本稿では,同居する親が本人の親か配偶者の親か,核家族世帯なのかといった世帯類型に着目しながら,福井県において未就学児を育てる男女の労働と生活の実態を考察することで「福井モデル」をジェンダー視角から検討し直すことを目的とする。 分析の結果,以下の点が明らかになった。福井県では三世代同居が一様に女性の就業確率を高めるのではなく,女性本人の親と同居することが就業確率を高め,家事の頻度は男女ともに三世代同居することで軽減されるが,男性はもともと女性よりも頻度が少ない家事をさらに軽減させる。一方,男性が自分の親と同居することは,毎日子どもの世話をすることにむしろマイナスの効果がある。三世代同居で親が子育てや家事を支援し女性の正社員就業を促す,という単純な構図ではなく,世帯内のジェンダー平等を阻害する可能性があることも示唆される。
著者
金井 郁夫
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.31-41, 1964-06-30 (Released:2008-11-10)
参考文献数
8
被引用文献数
1

1960年から1963年までの4年間に調査した,70個のツバメの巣に関するデーターをまとめた結果を次に記す。1.造巣作業中,巣での滞在期間は平均34秒,泥の運搬間隔の平均は73秒で,1時間の回数は平均27回である。仕事は主に午前中行い,造巣日数は平均10日である。2.縦の変異は4.8~12.1cmで平均が7.9cm,標準偏差は1.05である。3.横の変異は7.5~14cmで平均が9.9cm,標準偏差は1.23である。4.縦横差の変異は0~6cmで平均が1.7cmである。5.縦横平均の変異7~13cmで平行が8.9cm,標準偏差は1.09である。6.深さの変異は1.5~5cmで平均が3.2cm,標準偏差は0.27である。7.外高の変異は2~32cmで平均が7.8cm,標準偏差は6.04である。8.巣上空間の変異は4~42cmで平均が10.8cm,標準偏差は2.78である。9.旧巣と新巣の測定差は,縦で0.3cm(3.8%)古巣,横で0.9cm(9.1%)古巣,縦横変異(差)で0.4cm(24%)新巣,縦横平均で1.4cm(16%)古巣,深さでは0.4cm(1.1%)古巣,外高で0.8cm(10%)古巣,巣上空間で2.5cm(23%)古巣の方が大きい。10.屋外と屋内の測定差は,縦で0.1cm(1.3%)外,横で0.4cm(4%)外,差で0.4cm(23.%)外,縦横平均で0.1cm(1.1%)内,深さで0,外高で1.6cm(2.1%)内,巣上空間で4.8cm(44%)外が大きい。11.各調査項目とも一般に旧巣が新巣より大きい。但し,縦横変異は新巣が大である。屋外と屋内を比べると,巣の上面積と巣立ちの空間は屋外の方が大きい。他はすべて屋内巣が大である。12.ツバメの巣は一般に横長である。縦と横は比例し,縦横平均に対し深さは変異の幅が狭い。営巣に必要な空間は6~74cmで平均19cmである。縦横平均と容積指数,深さと容積指数は比例している。